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2011年12月15日 (木)

「オリンパス」の国内大株主はどっちを支持するか

 「オリンパスはこの際、旧経営陣を中心とする病巣をてっ抉し、文字通り人心を一新して再生をめざすべきである」。去る12月6日にオリンパスの第三者委員会(委員長、甲斐中辰夫氏)が提出した報告書は、高山修一社長以下の役員全員の退任を求めたと理解するのが常識だろう。そして、10月14日に当時の菊川清会長以下が取締役会の全会一致で解任したマイケル・ウッドフォード代表取締役・社長執行役員がもとのポストに戻り、会社の再生を図るのだろう。そう思っていた。

 しかし、本来なら、即刻、引責辞任すべき旧経営陣は、来年3~4月に臨時株主総会を開催すると15日発表するとともに、現経営陣に指導、勧告する「経営改革委員会」を設け、3人の委員が就任するということも発表した。旭化成の蛭田史郎前社長らである。

 ウッドフォード氏は高山社長に面会を求めているが、高山氏はそれに応じていない。どうやら、ウッドフォード氏の復帰を認めず、別の人物を代表取締役・社長に就ける意向だとみられる。蛭田氏ら経営改革委員会のメンバーは、そうした高山氏らの意向を受けて、反ウッドフォード路線の経営改革に手を貸すことになる。

 なぜ、高山氏ら現経営陣がウッドフォード氏の復帰を嫌うのか。そのあたりの事情は定かではない。社員がどう受け止めているのかもわからないが、ウッドフォード氏は、ニコニコ動画に出演したときの反応で支持されているという受け止め方をしている。このため、理不尽な理由で解任されたウッドフォード氏の復帰を拒み続けることは、「外国人だからダメ」というおよそグローバル時代に逆行する差別意識が日本企業にまだ強く残っているのではないか、という批判を誘発しかねない。それはまた、他の日本企業に対する外国の見方にも影響しかねない。

 いまのままだと、高山社長らが推す新たな取締役候補と、ウッドフォード氏が推す取締役候補(ウッドフォード氏も含む)とが臨時株主総会で票を争うことになるだろう。そのとき、カギを握るのが金融機関である。ウッドフォード氏が15日の記者会見で、三井住友銀行のトップに会いたいと言っていたのはそのためである。

 2010年9月末現在の同社の株主分布を「会社情報」で見ると、金融が51.1%、投信7.0%、法人10.1%、外国27.2%、個人7.9%である。金融機関がどっち側を支持するかで勝負が決まる。外国の27.2%は多くがウッドフォード氏の側を支持するだろう。国内金融機関の多数が反ウッドフォード氏の立場に立つと、「外国人だからダメ」ということで、対外摩擦を引き起こすおそれもある。

 現に、ウッドフォード氏は15日の会見で、日本企業の間の株式持ち合いは営業上の利益を重視したものであり、オリンパスの飛ばしなどの不正に対して、日本の法人株主のほとんどが批判したりせず、沈黙しているのは問題だと指摘した。また、高山氏たちが自らの支持株主を増やすため、味方をしてくれる大企業に第三者割当増資をしかねない点についても懸念を表明した。経営改革委員会が自己資本充実などといったうわべの理屈にだまされて第三者割当増資を支持したりしたら、アンフェアもきわまれり、ということになる。

 このように、オリンパスの国内大株主がウッドフォード氏側を支持せず、高山氏側を支持するようなことがあれば、それは単にオリンパスだけの問題ではなくなる。日本企業の閉鎖的な仲間内の関係が改めて国際社会において槍玉に上がることになろう。

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