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2012年1月25日 (水)

消費税引き上げが国会の主テーマになったが‥‥

 通常国会で野田首相が消費税引き上げを真っ向から提起した。民主党内の意見の対立や野党の反対などもあり、すんなりと消費税引き上げが通るとは思えないが、ここまでこぎつけたことは評価したい。危機的な財政状況を真面目に受け止めたら、まず10%までの引き上げをできるだけ早く実現することが必要だということを国民に訴えた意義は大きいと思う。

 ただ、24日、内閣府が発表した、消費増税で国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)がどうなるかの中長期試算によると、2015年度にGDPに対する赤字の割合を10年度の半分(3.2%)に減らすという国際公約が16年度にしか達成できない。そして、20年度までに黒字化するとしていたのが、3.0%の赤字になるという。消費税率をさらに6%上乗せする必要があることを意味する。野田政権が打ち出した消費税引き上げ案では財政健全化を達成することはできないというわけだ。

 野田首相も10%までの引き上げですべて解決するというような発言をしたことはない。でも、日本の財政危機がいかに深刻かをわかりやすく説明し、どういうステップで財政再建を果たすか、できるだけ具体的に国民に説明する必要があった。そのためにも、経済とフクシマとは全く異なるが、福島第一原発の処理に関してと似たような財政再建の工程表を示し、今回、提起した消費税の10%までの引き上げはその一里塚であることを明示すべきだった。

 今回の消費税引き上げ案は社会保障と税の一体改革という装いをしている。その結果、もっぱら、社会保障を充実するための増税ということで国民の賛同を得ようという形になっている。安住財務相の全国行脚なるものも、そうしたロジックで行なわれている。一体改革とはいうものの、小宮山厚生労働相とのペアで各地を回っているわけではない。単なる増税キャンペーンにすぎないわけである。厚労相にしてみれば、社会保障費が年々増えるのは当たり前で、足りない財源を確保するのが財務相の仕事でしょう、という感じだ。

 しかし、巨額の社会保障費には、ものすごく無駄がある。年金や医療などは国民に身近なものだから、いかに無駄が多いかを国民の多くは知っている。また、高齢者や公務員を過度に優遇している差別も知っている。しかし、既得権益を擁護する勢力が強く、厚労省はメスを入れようとしない。

 徴税したり、社会保険料を徴収する側にも、徴収洩れを減らしたり、業務を効率化する余地が相当にある。

 それらをパッケージとして消費税引き上げと一緒に実施することも絶対に必要である。野田首相は以上のような問題点を包括した一体改革を推し進めるべきだろう。消費税引き上げの実現を最優先する財務省の思惑に乗せられては失敗するおそれが多分にある。

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