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2012年1月15日 (日)

野田首相は国民を説得して味方につけよ

 年が改まっても、国内外の情勢は厳しくなるばかり。ユーロをめぐる緊迫した政治・経済の動向から目を離せない。中東諸国の不安定は続いている。大国も国内政治の動向が注目される。日本は、といえば、政治、経済、社会のどこを見ても、チャレンジ精神を欠いた官僚組織や企業、そこに属する人々のマンネリ、弛緩ぶりを如実に反映した出来事が相次いでいる。

 通常国会を前に、野田総理大臣が岡田克也氏を副総理にするなど内閣改造を行なった。だが、メディアの世論調査は野田内閣の支持率低下などのトレンドが変わらないことを示している。そして、消費税引き上げに反対する人が増えてきている。野田政権の前途は非常に厳しいものがある。

 内閣改造直後の総理大臣記者会見をテレビで見ていて、3つの感想を抱いた。1つは、メモなどを見ないで話したことである。政治家は言葉が命だといわれる。野田氏は自分の考え、意見を率直に述べていた。これには好感をもった。2つ目は、「‥‥させていただく」といった、へりくだりの言葉づかいが気になった。民主主義国家では、国の指導者である総理大臣が国民を説得し、引っ張っていく必要がある。それなのに、やたらおかしな謙譲語をつかうのはいかがなものか。この変な言葉づかいは与野党を問わず広がっており、教育上もよろしくない。

 3つ目として、野田氏は社会保障と税の一体改革を取り上げ、財政破綻を避けるためにも消費税の2段階引き上げが必要だと訴え、3月末までに法案を提出すると語ったが、説明が不十分だという点である。総理の話は、若い世代や未来の世代に、生きがいや夢を与えるものではなかったし、現役から退きつつある団塊の世代や高齢者に対し、必要な負担を受け入れてもらえるほどの説得力もなかった。

 財政改革について付け加えると、首相は、現在の危機的な財政構造を数字を示して説明し、いつまでに、どれだけ改善するか、の中長期および短期の目標を示し、それを実現するために、どうやって既存の歳出を減らすか、どうやって税収を増やすか、そしてどれだけ増税せざるをえないか――を具体的に示すべきだった。だが、抽象的な説明にとどまった。

 消費税の引き上げは政治家にとっては最も触れたくない課題である。国益を真剣に考える政治家といえども、よほどの覚悟を必要とする。しかし、財政危機の意味を国民にわかりやすく説明し、理解してもらう努力を積み重ねれば、最終的には国民も受け入れる。そう思うしかない。与党内の反対勢力もあれば、野党の反対もある。それを乗り越えるには、国民に理解してもらい、支持してもらうことが絶対に必要である。そして、そのためには、あらゆる個別利益を超えた公正、公平な制度の構築が求められる。

 既得権益をなくすため、一般会計に限らず、あらゆる歳出を俎上にあげ、国民から問題点の指摘を受け付けることにすれば、問題点が浮き彫りになる。社会保険料と税金の徴収を1つの組織にすると、大幅な増収が見込めるし、益税といわれるようなものを生むやりかたの消費税徴収は是正しなければならない。そうした改革を必要とする分野は限りなくある。それらは過去20年の経済停滞の負の遺産である。

 若い世代や未来の世代に希望を与えることができる国にすることが目下の日本の主要なテーマの1つである。野田総理(ないしそのあとの人)がそのために一歩も二歩も踏み出していけるような政治・社会情勢を何としてでも実現することがわが国のことしの課題である。 

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