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2012年1月17日 (火)

柯隆氏に聞く中国最新事情

 富士通総研経済研究所主席研究員、柯隆氏の日本記者クラブでの会見(16日)は最新の中国事情を聞くことができ、とても参考になった。以下に、私なりの理解で紹介する――

・中国経済は2010年まではオリンピックなどによるイベント・エコノミーで2ケタ成長をしていたが、11年はトーンダウン。12年は胡錦濤、温家宝らトップが交代する年なので、花道を用意して成長率を下げないようにするだろう。中国の強みは国内貯蓄が多いこと、家計30%、政府・企業22%に達する。ものづくりも相当強くなっている。

・工業製品は過剰な競争で値下がりしている。食品は値上がりしている。これは農業用の肥料、ビニルなどの価格が上昇しているため。それに、物流の改革が遅れている。

・中国では社長と労働者とでは収入が天と地の差だ。日本の社長は世界で最も質素な生活をしている。本来の労働組合の活動を認め、低い労働分配率を上げるべきだ。農家は彼らの利益を代表する組織がない。

・課税は累進だが、賃金所得に限っている。その他所得は定率で低い。中国で一番大きいのは資産所得で、次に多いのが移転所得だが、税務調査が難しい。相続税は導入していない。

・市場経済の一番の基盤はクレディビリティ(信用)だが、中国ではそれが欠如している。文化大革命は中国の古典文化の命を断った。孔子、孟子などの古典教育をやめてしまったので、ほかに拠るべき文化が何もなくなった。そのため、すべておカネで判断する社会になった。いま文革の負の遺産のつけを支払っているところだ。この支払いは30年、40年、50年とかかる。

・日本は性善説だが、中国は性悪説の国だ。日本の企業が中国に進出したら、性悪説に立て。日中関係では、日本の若者はたくましさを身につけねばいけない。

・(日本について)失われた20年、デフレに悩まされてきた。エコノミストはずっとケインズ政策を処方箋としてきた。それで財政が悪化したのだから、もういい加減にしたらどうか。大企業はこの間、コスト削減ばかりやってきている。結果としてブランド力は下がっている。日本企業は高品質とブランド力を生かす経営に変わるべきだ。

・中国では知的財産権が保護されない。コピーがはやる。バイオなどでのイノベーションが起きないのはそのせいだ。国民が皆、知財保護に向かわないと、中国では分野によってはイノベーションが進まない。

・胡錦濤、温家宝は過去9年間、何もしなかった。国有企業の民営化は行なわれなかった。政治改革もしなかった。まともな市場経済にならない。だから年間10万件ぐらい暴動が起きる。習近平に代わったら、政治改革、市場経済の徹底、国有企業の民営化をやらなければいけない。

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