« AIJ投資顧問にひっかかった背景 | トップページ | 福島原発の民間事故調報告書は必読の書 »

2012年2月27日 (月)

NIMBY>絆(きずな)

 2009年度 一般廃棄物発生量       4625万トン  最終処分量    507万トン

         産業廃棄物 〃      4億0366万トン      〃      1670万トン

 2011年   大震災によるがれき     2252万トン

             うち 岩手県       475万トン

                 宮城県        1569万トン

                 福島県       208万トン

 我が国の廃棄物発生量は近年、徐々に少なくなっている。それでも、1年間に出る一般廃棄物は生活系が3297万トン、事業系が1327万トンに達する。これに対し、産業廃棄物は4億トンにも及ぶ。もっとも、廃棄物のリサイクルなど再資源化が進み、最終埋め立て処分するのは産廃で1670万トン、一廃で507万トンである。毎年、日本全体でそれぐらいを国土のどこかに埋め立て・投棄しているのである。

 一方、3.11の東日本大震災で発生したがれきは、主に津波による家屋、工場、自動車などの倒壊・漂着によるもので、3県の総量は2252万トン(福島県は原発事故の一部警戒区域を含まず)と一般廃棄物の半年分の重量に近い。被災地のあちこちに、石炭のボタ山みたいに積み上がっている。

 このがれきのうち、仮置き場搬入を経て分別や焼却などの中間処理をしたのは約5%、117万トン(2月20日現在)だと環境省は発表している。3県の中だけでは処理能力が限られているため、1年近く経っても、がれきの山がほとんどそのままに残っているわけだ。

 被災地では、がれきの処理にあたって、一部を他の都道府県に引き受けてもらう希望を表明している。ところが、この広域処理を受け入れた地方自治体はごく一部にとどまる。NIMBY(not  in  my  backyard)、即ち、被災地以外の地域住民はがれきの放射能が許容範囲内のものであっても、よそから、そのがれきを受け入れることに強く反対するからである。

 3.11で住むところを失い、食べるものや衣類などにも困った被災者に対し、全国から温かい助けの手が差し伸べられた。以後、日本では絆(きずな)がことあるごとに強調されるようになった。したがって、お互い困ったときに助け合うのは当然だと思っていた。しかし、がれき処理の協力が進まないという事実は、NIMBYのほうが絆よりも強いことを示している。

 放射性セシウムなどで汚染された土地などの除染で、3県のみならず、ホットスポットといわれる地域においても、汚染土などを詰めた容器・袋をどう始末するかが、がれき同様、大きな問題になってきている。福島県ではこの中間貯蔵施設をめぐって政府、県、町村での話し合いが難航している。そのかげには、迷惑施設を忌避したいという住民のNIMBYがうかがえる。

 近年、中央集権から地方自治・地域主権への移行が政治の課題の1つになっている。しかし、地域の問題は事情を知悉する地域が責任をもって解決するのが望ましいとはいえ、コミュニティーを構成する人々が重要な問題で納得する解決策を見出せないようでは、住民自治は進まない。がれきの山がボタ山のごとく、何年も何年も被災地に残るのかどうか。全国の地域住民の姿勢や自治体のリーダーシップがきびしく問われているように思う。

|

« AIJ投資顧問にひっかかった背景 | トップページ | 福島原発の民間事故調報告書は必読の書 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: NIMBY>絆(きずな):

« AIJ投資顧問にひっかかった背景 | トップページ | 福島原発の民間事故調報告書は必読の書 »