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2012年2月18日 (土)

一体改革大綱の閣議決定

 野田内閣が17日の閣議で「社会保障と税の一体改革大綱」を決定した。これを受けて、さっそく岡田副総理、小宮山厚生労働相、安住財務相らが地方に出かけて対話集会を始めた。民主党の内部には消費税引き上げに反対する議員がかなりいるため、一体改革、なかでも消費税増税を実現するのは容易でないが、財政危機を踏まえ、野田総理らが勝負に出たことは評価したい。

 さて、その一体改革大綱だが、「第2部 税制抜本改革」は①社会保障には財源が必要で、負担なくして受益はない、②給付は高齢者中心、負担は現役中心の制度を見直し、世代間・世代内の公平性を確保する必要がある、③我が国財政の健全化は一刻の猶予も許されない―として、特定の人に負担が集中せず、経済活動に及ぼす歪みが小さい消費税を引き上げて社会保障の安定財源にすると述べている。

 具体的には、2014年4月1日より8%に、15年10月1日より10%に上げる。そして、「今回の改革に引き続き、次の改革を実施することとし、今後5年をめどに、そのための所要の法制上の措置を講じることを法案の付則に明記する」(朝日新聞2月18日朝刊)という。高齢化のさらなる進行や財政の健全化を考えれば、消費税をさらに引き上げるしかないことは明らかである。それをほのめかした個所だろうか。

 一体改革は、全体としては、税制を変えることによる税収増を社会保障の強化に充てるという構成である。即ち、消費税引き上げ以外にも、税収増を図るため、相続税の基礎控除を下げるとか、高額所得者の税率引き上げ、証券優遇税制の廃止、所得水準の高い国民健康保険組合への国庫補助引き下げなどを盛り込んでいる。他方、給付付き税額控除の導入(それまでは簡素な給付措置)、基礎年金の低所得者への加算、有期労働契約など雇用対策の見直し、子育て支援など、歳出増につながる政策を列記している。

 だが、単に「検討する」程度の政策もある。したがって、個別の政策ごとの税収増の金額や、社会保障改革の個々の歳出増をいくらと見込んでいるのか、一覧表にして示してほしい。それがあれば、「負担なくして受益なし」になっているかが判断しやすい。

 政府は消費税をすべて社会保障に振り向けるという考え方である。それだと、国の借金を減らすほうに1円も回らない。それで、2020年度までに基礎的財政収支を黒字化するなどの財政健全化目標を達成できるのだろうか。絶対にノーだと思う。

 社会保障を充実して安心できる社会にすることが新たな成長の基盤となるという大綱の認識は認める。だが、財政破綻を防ぐには、ゆるんでいる財政規律をただして放漫な歳出を適正化するとか、税・公的保険料の徴収漏れを小さくするための体制を整えるとか、現在の政府の問題に本気で取り組むべきだろう。

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