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2012年3月26日 (月)

「1年で脱原発」は政府の無能のせいで実現へ

 東京電力柏崎刈羽原発6号機が3月26日に定期点検のため停止した。この結果、稼働している原発は北海道電力泊原発3号機だけになった。これも5月上旬までに停止するので、その時点で、原発54基すべてが止まり、日本は世界に先駆けて“脱原発”を実現することになる。

 昨年5月31日のブログのタイトルは「ドイツ以上に速い? 日本の脱原発」というものだった。日本では、定期検査をほぼ終えて、いつでも運転開始できる原発がいくつかあるが、地元自治体や地域住民の納得が得られず、運転再開はきわめて難しい、と書いた。そして、「そうであれば、日本の脱原発は1年ぐらいで実現する」と書いた。その予想通りに推移している。

 フクシマを受けて、ドイツの政府は17基ある原発を順次止めていき、遅くとも2022年までに脱原発を実現すると決めた。そうした段階的な対応について電力会社側も納得した。しかし、日本では、政府は規制官庁のストレステストをパスした原発の運転を認めようとしていて、脱原発の方針も、その具体的なステップも提示していない。しかし、原発への不安を抱える地元の運転再開反対が脱原発を推進する形になっている。結果として、今後の電力供給が需要を賄えるかどうか、ユーザーに無理な電力消費削減を押し付けることはないか、などの問題が起こりうる。

 したがって、政府は、日本の今後のエネルギー供給はどうあるべきか、その中で、原発をどうするか、という重要な課題に対して、国民にきちんとした方針を示すべきである。ドイツのように、30年を過ぎた原発は廃止し、その他はいついつまでに廃止するといった、具体的な脱原発なり脱原発依存なりのスケジュールを示したほうがいい。さもないと、ことし5月上旬に原発ゼロとなったあと、どの原発も地元の反対で永久に再開できないという可能性も十分出てくる。

 ところで、原発が総崩れになる事態に直面し、電力供給不足が懸念されているにもかかわらず、電力会社に危機感が乏しいのはなぜか。東電のホームページは「当面の電力需給に関しましては安定供給は確保できる見通しですが、無理のない範囲で節電へのご協力をお願いいたします」と言う。原発17基がゼロになっても、当面の安定供給はできるとのこと。夏の需給に関しても、「電力設備の確実な運転・保安に努め、安定供給の確保に最大限の努力を傾注してまいります」と述べている。

 関西電力では、4月は試算だと3%程度の予備率を確保できる見通し。気温変動などによる電力需要の急増や発電所のトラブルなど「不測の事態により、電力需給が逼迫することが考えられます」としながらも、「ご無理のない範囲で、引き続き節電・省エネにご協力いただきますよう‥‥」と述べているだけである。

 通勤ラッシュ時の電車と同じように、電力会社も電力使用のピークに合わせて発電設備を備えている。そのピークがうんと低くなれば、原発ゼロでも供給可能である。そのあたりの実態が国民に明らかにされていない。枝野経済産業相は夏でも強制的な供給制限は必要ないと言っているが、それはこのあたりの事情を知っているからかもしれない。電力会社は、国民に、夏のピークが原発なしで無事切り抜けられる見通しを持っているなら、それを明らかにすべきだろう。 

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