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2012年4月21日 (土)

朝日新聞の記者よ、しっかりしてくれ

 4月21日の朝日新聞夕刊は一面の左上に「公務員減ったら安全は?」という記事を載せている。国家公務員の2013年度新規採用者数が全省庁で09年度比56%減と決まり、警察庁や法務省、国土交通省は一律削減なので、「治安や市民の安全は大丈夫なのか。」という視点で書かれた記事だ。

 刑務所や拘置所は慢性的な人不足。職員採用が減るとどんな問題が出るかを紹介している。また、仕事が増えている海上保安庁の幹部が職員採用減で危機感を募らせていると言う。

 そして識者のコメントとして、新藤宗幸元千葉大学教授の話を載せている。「削減を進める方向性は間違っていない。ただ、5割を超える削減率は極端だ。‥‥(中略)‥‥目に見える数字だけを減らして現場の負担を増やす手法には疑問がある。治安悪化や行政サービスの低下という形で国民にも跳ね返ってくるだろう。」と語っている。

 このほか、「採用減でこんな所に影響も?」と題するグラフが付いていて、例えば、警察庁の場合だと、「51.7%減 非常時の連絡に支障、皇族警備が手薄に」といった悪影響があるという。全体として、読者は、治安や市民の安全は大丈夫ではないという感想を抱くだろう。

 しかし、従来通りの員数を新規採用し続けないと、本当にだめなのか。官庁は、部署によって忙しいところとひまなところがある。忙しいところといえども、必要性が乏しくなった仕事を従来通りおおぜいでやっていることが多い。効率性や生産性を無視した、いわゆるお役所仕事なのである。

 財政が窮迫している今日、行政は民間にできることは民間に任せ、小さな政府にすることが必要不可欠である。そのために、トータルとして過剰な公務員数を減らすことは当然である。小さな政府にふさわしい各部門の適正人員を決め、過剰な人員はある程度時間をかけて減らし、逆に不足する部門には定員を増やして異動も実施する、ということになろう。

 その過程では、現在の公務員を解雇できないので、新規採用を大幅にしぼることが現実的である。そうすれば、役人自ら仕事のやりかたを否応なしに変えるだろうし、部課などの組織やポストも統合し、減らしていくだろう。おそらく、そうしたやりかたによってしか、お役所の効率化はできない。その過程で、多少、問題が起こるが、それを割り切っていかない限り、行政改革・効率化は不可能である。

 民間企業であれば、新規採用者数を半分に減らしたり、ゼロにすることはよくあることだ。その場合、企業で働く人たちは仕事の中身を吟味し、仕事のやりかたを変えたり、相対的に人員にゆとりのあるところから異動させたりして、効率性、生産性を高める努力をする。何年も新卒者がゼロだと、いろいろ歪みが出ることは否めないが、新卒者数を半分に減らすぐらいはごく普通のことだ。

 したがって、公務員の新規採用削減を問題視する記事は、行政改革を真っ向から否定する類いのものである。縦割りの官庁のセクト主義を批判せず、しかもお役所仕事を是認したままで採用減を問題にする記事は、役所の代弁にすぎない。

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