« 中央銀行の役割をめぐって | トップページ | 辻堂駅前に巨大なショッピングモール »

2012年4月14日 (土)

官優遇を改めない民主党政権

 野田首相から成る民主党政権は会社員の厚生年金と公務員の共済年金とを「一元化」する法案を13日の閣議で決定した。共済年金は厚生年金よりも給付額が多く、かつ保険料が低い。民主党の掲げる税と社会保障の一体改革はこの官優遇を是正するふれこみだったが、法案は官民格差を温存したまま、みかけ上の「一元化」を行なうものである。

 これは、民間企業の統合で、持ち株会社の下に旧来の会社2つがそのまま存続し、人事制度や給与制度の違いなどを残しているようなものだ。これでは、事業の一体化や効率化が行なわれないし、両社の間の格差なども続き、統合の成果はあがらない。

 現在の年金制度だと、公務員のほうが会社員より保険料が安い。労使合計で共済年金は月収の約15.86%、厚生年金は同16.41%である。そして報酬比例の年金給付額は共済年金が月に約12万円、厚生年金が同10万円となっている。共済年金独特の上乗せ給付(職域加算)があるからだ。この官民格差は公務員を優遇するために税金を多く投入していることを意味する。

 法案はみかけ上は2つの年金制度を一つにし、厚生年金という名称にするが、保険料率の統一を2018年に遅らせる。また、それぞれが持っている積立金をすべて一緒にするのでなく、共済年金の積立金45兆円のうち、20兆円は独自に共済年金側に残す。法案では職域加算を廃止し、それに代わる年金制度をつくることになっているが、いずれにせよ、官優遇の何らかの仕組みを残し、その原資に充てる。さらに、共済年金の積立金の運用・管理にあたる事務組織はそのまま残すことになっている。もし、資金の運用に失敗したら、国費で穴埋めすることになりかねない。言ってみれば、見掛けの一本化はするが、官民格差を維持するため、2つの年金制度が実質的に残るわけだ。

 このように、一本化とはいうものの、官優遇を実質的に維持するのが法案の実態だ。将来、共済年金は受給者1人を支える現役が厚生年金よりも少なくなる。そのときには、厚生年金と完全に一体化して、公務員の年金の原資を厚生年金の積立金からいただこうという魂胆も垣間見える。

 かくの通り、民主党政権は徹底した官優遇の立場をとっている。そして、当然のことながら、官優遇に注ぎ込まれる国費(税金)の削減という問題意識は全くうかがえない。財政危機のもと、どうして、こんなに官優遇を推進するのか。社会主義国家、全体主義国家のような国以外では考えにくいほどの官民格差である。それらの国と共通した要素が民主党政権にはあるのだろう。

|

« 中央銀行の役割をめぐって | トップページ | 辻堂駅前に巨大なショッピングモール »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/54471439

この記事へのトラックバック一覧です: 官優遇を改めない民主党政権:

« 中央銀行の役割をめぐって | トップページ | 辻堂駅前に巨大なショッピングモール »