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2012年4月22日 (日)

「日本でいちばん大切にしたい会社」を読む

 坂本光司著『日本でいちばん大切にしたい会社 3』を読んだ。清月記、徳武産業、日本レーザーなど、人を大切にする中小企業7社を取り上げ、今日の成功に至るまでの苦労、経緯を紹介している。どの企業の話も、涙なしでは読めない。

 本社が仙台市にある葬儀社、清月記の項では、同社の社員が東日本大震災の犠牲者に対して、人間の尊厳を大事にして、遺体の仮埋葬、掘り起こし、葬儀、火葬に献身的に働いた様子が紹介されている。人は、ここまで仕事を通じて社会につくせるのか、と深い感動を覚えた。

 日本レーザー(東京都新宿区)の経営理念は「会社は人を採用するためにあり、雇用が最大のセーフティーネットである」。会社は誰のものか? 社員のものであり、お客さまのものでもある。社員の成長が会社の成長である。近藤宣之社長はそう言う。

 正社員の3分の1が障がい者である、印章製造販売会社、大谷(新潟市)は障がい者に働く喜び・幸せを提供したい、という経営理念で運営されている。

 著者は「はじめに」の中で、人を大切にする経営というときの人は、5人いる、即ち、「社員とその家族」、「社外社員とその家族」、「現在顧客と未来顧客」、「障がい者や高齢者などの社会的弱者」、「出資者・支援者」だという。そして、現実には、多くの経営者が業績、成長、シェア、ランキングといったものを重視する間違った経営をしていると指摘する。「業績や成長は正しい経営を行っているかどうかの結果の現象であり、目的にしてはならない」と言い切っている。

 本書は、取り上げられている会社の経営者が、どのように苦労を重ねて成功するに至ったかを丹念に聞き取っているのだが、その核心は人間尊重である。言うはやすく、行なうは難しであるが、それを貫き通した先に、事業の発展がある。

 今日、大企業や、株式公開企業においても、人間尊重の理念は否定されてはいないが、現実には、競争に勝ち抜くことや成果を挙げることが優先されている。そのため、従業員が健康を害し、精神的に病んだりすることもあるし、人員整理が強行されたりする。仕事優先で家庭生活にしわよせが行くこともある。

 『日本でいちばん大切にしたい会社』は、会社が本来あるべき姿を提示することによって、病んだ我々の企業社会をまともな軌道に乗せようとしている。その意義は大きい。

 

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