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2012年6月 2日 (土)

中国では労働者の経営参加の制度ができた

 中国では、中国共産党の傘下にある全国総工会およびその支部組織が労働組合的なものとして存在する。しかし、近年、企業において、従業員の代表としての取締役や監査役を選出し、経営方針などの決定に際して労働者の意見を反映させるという新たな制度が法制化されているという。経営参加という点で、中国は日本の労働組合よりも制度上、先に進んだと言えなくもない。

 経営民主ネットワークがこのほど開催したセミナーで、麗澤大学の梶田幸雄教授がこの新しい動きを解説した。

 同教授が、「労働者の経営参与制度」として紹介したのは、企業が経営戦略・方針・方法の決定に際して、労働者の代表である従業員取締役および従業員監査役に議決権を与える仕組み。

 中国では、会社法により、株式を発行する会社の取締役会の構成員に従業員代表を入れなければならない。この代表は従業員代表大会その他で民主的に選出する。一方、有限責任会社では、2社以上の国有企業またはその他の国有投資主体が投資して設立した有限会社の場合、取締役会に会社の従業員代表を入れなければならない。その他の有限責任会社では、従業員代表を取締役会に入れることができる。いずれも、従業員代表は民主的選挙で選ぶ。

 また、会社法には、従業員監査役についても規定がある。株式会社は監査役会を設け、監査役は3名以上でなければならない。また、有限責任会社も監査役会(3名以上)を必ず設けなければならない。ただし、株主数が比較的少ないか、企業規模が比較的小さい有限責任会社は1~2名の監査役を置けば、監査役会を設置しなくてもよい。そして、いずれも、従業員代表の監査役の比率は3分の1を下回ってはならない。

 従業員取締役、従業員監査役の仕組みは中国の会社法制がドイツの法制を基本にしてつくられていることを反映している。国有企業では、2009年3月30日に発布された法律で従業員取締役の特別職責について詳しく取り決めている。従業員代表の取締役への評価や、従業員大会に報告したり、従業員の要求や意見をとりいれるフィードバックなどについても法律に細かく定められている。

 現実には、会社法、民営企業法、外資企業法など所有形態別に法律があり、また、法律通りにガバナンスがきちんと行なわれている企業は少ない。だが、梶田教授のレクチャーを聞いていると、中国共産党の基盤が弱くなって、労働組合に権限が移ることにより、従業員取締役、従業員監査役が次第に定着してゆく可能性があると思うようになった。

 同教授は「日本でも従業員監査役制度を採用していいのでは」と語っていたが、日本が準備している会社法改正案には、そうした踏み込んだ論点は残念ながら全くない。日本の労働組合も同様だ。中国の全国総工会が従業員取締役、従業員監査役の導入に積極的であるのと比べると、日本の労働運動は問題意識がなさすぎるのかも。

 

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