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2012年6月 2日 (土)

野村ホールディングスの株主提案

 野村証券のあるOBは現役時代に財形貯蓄かなんかで3銘柄を対象に株式投資をしていたそうだ。その頃はいずれも優良株だった東京電力、オリンパス光学(オリンパス)、そして自分が働いていた野村証券(野村ホールディングス)の3銘柄である。いま、3銘柄とも株価は大幅に下がって大損をした状態が続いている。

 その野村ホールディングスが6月27日に株主総会を開く。日本経済新聞や朝日新聞の報道によると、ことし3月期、渡部賢一取締役代表執行役グループCEOら執行役6人の報酬総額は9億6500万円だと招集通知の中で開示した。「過去の業績に対し支払われる繰り延べ報酬(計5億8700万円)が加わったことなど」(日経)によるもので、1人あたりの平均報酬は1億6083万円で、昨年3月期より79%増えたそうだ。

 この株主総会招集通知の内容でおもしろいのが株主提案(第2号議案から第19号議案まで18本もある)だ。1人の株主が100件もの提案をしたのに対し、会社側が総会に付議する要件を備えたもののみを議案として並べたものである。

 いくつか紹介すると、社名が長すぎるので意識改革のため「野菜ホールディングス」に変更せよ(第2号議案)、役員報酬の総額に「期末株価×勤務時間×対象人数」の上限を設けよ(第4号議案)、収益対人件費率(人件費÷収益のことか? 引用者)を2割以下にし、株主総会における万歳三唱を取りやめる旨定款に明記せよ(第5号議案)など、破天荒だったり、首をかしげたりする内容の注文が多い。

 しかし、それらの底流にある株主の不満には、もっともなものもある。お手盛りの高報酬がずさんな経営の原因である(第4号議案の理由)、年2回の大型公募増資によって1株価値の希薄化を招きながらも取締役は誰1人明確な責任をとっていない(第6号議案の理由)、今後、増資はライツ・イッシュー(株主割り当て)のみとし、株主総会で決議して行なう旨を定款に明記せよ(第9号議案)などを読むと、株主提案の背後に、多くの個人株主の不満を感じる。

 会社の取締役会はすべての株主提案に反対している。しかし、反対と言うだけで、その根拠が書かれていない項目が多いのには疑問を抱く。株価の長期低落で、個人株主のやり場のない怒りや不満がこの株主提案にぶちまけられているような感じがするが、それに対して、資本市場の重要な担い手である野村ホールディングスの経営陣が木で鼻をくくるような対応をしているだけでいいのだろうか。

 世界的な金融危機に直面して、内外の金融、証券会社は厳しい局面に立たされている。野村ホールディングスもしかり。だが、グローバル化に真っ向からチャレンジするには、いまの野村の経営陣はこじんまりとしていすぎる。もっと多彩な人材を擁し、企業活力を高める経営に転じる必要がある。野村に限らず、日本の主要企業は株主提案の背後にある多くの株主たちの思いをしっかりと受け止めてほしい。

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