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2012年6月12日 (火)

財政再建先送りができないと皆が思った瞬間、破綻する

 大竹文雄大阪大学教授が月刊雑誌『中央公論』7月号の対談で、財政再建はいつまで先送りできるものかと聞かれて、「誰もが少しでも先送りできるなら先送りしたいということで来ている。みんなが先送りできないと思った瞬間に破綻することになる」と、禅問答のような話をしている。

 この対談の前のほうで、「私を含めて日本の経済学者の多くは悲観的です。財政再建を実現するためには消費税率を20~30%ぐらいにまで上げなければならないのに、現在の5%を10%に引き上げるだけでも難しいのですから、そこまで上げられるかというと、非常に疑問です」と語っている。大竹氏は、財政破綻は避けられないと想定しているようである。

 財政再建を図るには、大幅な歳出削減、成長政策、消費税や相続税などの増税が必要である。そのうち、最初に挙げた大幅な歳出削減には全く手がついていない。民主党のマニフェストは国民をだましたに等しい。一般会計予算で圧倒的なウエートを占める社会保障関係の歳出を効率化しなければいけないが、国会議員には、そのような問題意識はない。地方交付税交付金も地方分権の推進と相まってむだの排除が欠かせない。

 二番目の成長政策も大事だが、そのうち、規制の撤廃・緩和は既得権益層の抵抗が強いため、なかなか進まない。日銀がもっと金融緩和をすればデフレから脱却できるという意見の経済学者、エコノミストもいるが、すでに日銀は国債買い入れや基金を通じて有価証券を相当に購入しているので、これ以上何をするのかという指摘もある。

 三番目の増税は、消費税増税論議の陰で、相続税の課税強化がすんなりと決まった。資産課税で世代間格差を縮めるのは結構な話だ(租税法定主義だから、国会での審議が尽くされたのかは疑問がある)。国会ではもっぱら消費税引き上げ法案の取り扱いで大騒ぎになっているが、いまの8%、10%への2段階引き上げが実現しても、社会保障に増収分の全てを充てる方針なので、国の債務は膨らみ続ける。

 そうした日本財政の深刻な実態を国民に訴え、現在の消費税引き上げ法案は財政再建に向けての初めの一歩にすぎないことを国民に広く知ってもらわなければいけない。メディアは民主党内の対立など愚にもつかないことを追いかけることに一生懸命で、危機の実相を国民に知らせ、どうしたらよいかを国民に考えさせる役割を果たしていない。大竹教授ら財政再建を危ぶむ経済学者は学者の責務として、政治に対して結束して警告を発すべきである。彼らが評論家であっては困る。

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