« 約70年前に日立が定めた「経理心得」 | トップページ | 国の「債務管理リポート2012」に表われた危機 »

2012年7月 6日 (金)

官僚は個人としてはいい人が多いが‥

 中央官庁の官僚は個人的に付き合うと、いい人が多い。能力もすぐれている。ところが、組織として動くときの官僚は全く別人格となる。長い間、そう思ってきた。退職した高級官僚からも、「現役はおかしい」という批判をちょくちょく聞く。

 『自衛する老後――介護崩壊を防げるか』(河内孝著)を読んだら、あとがきの部分でこんなことが書かれてある。「介護保険のコンセプト自体は、極めてシンプルだ。ところが、これが7兆円だ8兆円だという、途方もないお金を呑み込む恐竜に化けると、善意と連帯は、利権と権限、思惑の濁流に押し流されてしまう。この複雑怪奇な体系に‥‥」、「いつも思うのだが、個人としての官僚は、ほとんど高潔で見識もある。公平に見て、民間人より正義感も強い。その同じ人が組織の仮面をかぶると、なぜ、あそこまで変身してしまうのか?」

 官僚は自分たちの権益に関わる話になると、絶対に譲ろうとしない。今日のように財政危機が深刻化し、消費税増税が政治の争点になっているようなときでも、自らの権益を死守する。そうした事例がまた現われた。国家公務員の共済年金の「職域加算」の見直しに関して出された政府の有識者会議の報告書がそれだ。

 民間企業に勤める人たちの厚生年金と公務員の共済年金とを2015年に一元化することになっている。その際、公務員だけが得ている上乗せ給付「職域加算」を廃止するのが筋だが、形を変えて残そうというのが有識者会議の結論だ。廃止される職域加算に見合う新しい上乗せ年金を新設するというのである。

 民間には企業年金があるが、これは退職金の分割払いにすぎないし、企業年金を持たない企業はたくさんある。しかし、霞が関の官僚たちは、あくまで企業年金に見合う金額を公務員すべてが上乗せ受給できるような制度改正を主張し、有識者会議なる得体の知れない組織にお墨付きを出させたわけである。民間の企業年金は社員および企業が拠出したカネである。職域加算も新たな上乗せ年金も、税金の投入を前提としている。カネの出所が根本から違っている。そうした根本的な違いを無視して公務員がうまい汁を吸い続けようとしている。

 いまの民主党政権ほど霞が関にとって御しやすい政権はない、と高級官僚たちはほくそえんでいるという。国民の生活が第一、などと調子のいいことを言って政権を握った民主党(その中には小沢一郎一派もいた)だが、所詮は素人集団で、霞が関を抑えるどころか、いいようにあごで使われている面が多分にある。

|

« 約70年前に日立が定めた「経理心得」 | トップページ | 国の「債務管理リポート2012」に表われた危機 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/55134259

この記事へのトラックバック一覧です: 官僚は個人としてはいい人が多いが‥:

« 約70年前に日立が定めた「経理心得」 | トップページ | 国の「債務管理リポート2012」に表われた危機 »