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2012年8月 1日 (水)

原発周辺自治体の油断

 原子力発電所の周辺自治体がかつて原発に関してどうだったか、そして、それをどう報じたかを検証する記事「原発とメディア」が朝日新聞の夕刊に連載中だ。直近の記事で興味深いのが、電力会社から地元自治体に巨額のカネが提供されていた事実だ。

 電力会社からの寄付といっても、実態は自治体側からの資金提供要請に応えるものが多かった。要するに、地元がカネをくれ、というのに対し、電力会社は仕方なくカネを出していたわけだ。また、それを法的に許していたのである。

 それで自治体はより裕福になり、ハコモノなどをたくさんつくった。住民も多くはそれらによる利益を享受していた。だが、周辺自治体は、万が一を考えて、住民の安全などを確保するための投資にはカネを使わなかった。先日テレビで見た米国の原発の周辺自治体は、放射能漏えい事故に備えて出動する対策車などを常備している。絶対に安全だとは考えないから、いざという緊急事態を予測し、それに備えている。この日米の彼我の差は大きい。

 東京電力が原発事故を起こしたため、東電が袋叩きにあっている。しかし、地元自治体も、万が一の事故を全く想定しておらず、あまりにも能天気だったのではないか。自治体の首長、議会、職員だけでなく、地域住民もそうだったのだ。朝日の連載は、そのことを読者に伝えているように思う。

 何か大きな事件が起きると、張本人は社会から厳しく制裁を受ける。しかし、事件が起きるまでの過程や背景を調べると、メディアが指摘するように、周りにいろいろな問題が潜んでいることがわかる。

 フクシマの原発事故の原因追及が国会、政府や民間で行なわれている。だが、多くの利害関係者による絶え間のないチェックこそが原発の製造・運転に関わる人たちに緊張感を与え、リスクの最小化努力が持続するのである。したがって、政府、電力会社、原子炉メーカーや、メディア、それに福島県および市町村も、事故の責任の一端を担う立場だろう。

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