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2012年9月 8日 (土)

イトーヨーカ堂正社員半減の因果はめぐる

 イトーヨーカ堂がグループ内他社への転籍や採用抑制によって、2015年度をメドに正社員(現在8600名)を半分に減らす。その一方でパートを6800人増やすという。パートの比率を現在の77%から90%に引き上げ、15年度の人件費総額を100億円減らす(8日付け日本経済新聞朝刊)という。

 これは親会社、セブン&アイ・ホールディングスの方針に基づく。今まで以上にパート主体の経営になるため、パートの給与制度を改め、優れたパートにはいまの給与の2~3倍を支払うとか、店長などに登用する仕組みも設けるという。

 国内では消費が伸びず、他方、流通業界の競争激化、低価格化で消費財メーカーも流通業者も総じて収益が低下傾向にある。したがって、ヨーカ堂が収益改善のため人件費総額の削減に乗り出すのは経営判断として当然である。

 しかし、高い給与水準の社員を減らし、時間当たりの賃金水準が低いパートを増やすというのは、マクロ的にみると、働く人たちの給与水準を切り下げることを意味しよう。その結果、国内の個人消費は低下することになるのではないか。

 そうだとすれば、個人消費の動向に影響されるイトーヨーカ堂などの小売業者は、回り回って個人消費低下の影響を受け、もっと競争激化や収益低下に追い込まれることになりかねない。天につばきするようなものである。

 米国における自動車産業の勃興期には、フォードが大量生産により乗用車の販売価格を引き下げる一方、従業員には、容易に自動車を買えるような高い給与を支払った。大量生産・販売と従業員の労働条件向上とが好循環を形成した。

 これに対し、いまの日本は労働コストを引き下げることしか眼中にない企業が多い。企業が皆そうすればするほど、労働者の所得が減る。また、国内需要の低下で、企業は値段の叩き合いに追い込まれがちだ。したがって、デフレから逃れられない。

 若者の半数近くが非正規雇用であり、いわゆる正社員も労働条件の悪化に苦しんでいるといわれる。こうしたギリギリの状況に、企業も働く人たちもあえいでいる。ヨーカ堂の社員→パートへのシフトはこうした悪循環が日本社会をむしばんでいる表れだと思う。

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コメント

鈴木さん、バカじゃないの

投稿: たなか | 2012年9月21日 (金) 22時14分

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