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2012年9月15日 (土)

日本記者クラブ会報「特派員が語る日中40年」から学ぶこと

 尖閣諸島問題で、日中国交正常化40周年を記念する行事は中止され、40周年を祝うような状況では全くなくなった。この深刻な日中の緊張関係をどうときほぐしたらいいのか、目下見当もつかない。

 それに対する直接の答ではないが、日本記者クラブの会報(9月10日号)を読んでいたら、参考になる特集があった。中国に特派員として滞在したことがあるジャーナリスト4人の座談会(7月4日実施)「特派員が語る日中40年」がそれだ。田畑光永、金子秀敏、加藤青延、古谷浩一の各氏の話は興味が尽きない。

・2005年の反日デモは、最初は、当局がしかけた抗議活動ではないかという印象を受けた。プラカードはほとんど印刷されたようなきれいなもので、スローガンもよく似ていた。デモのあと学生たちが学校に帰れるようにバスがたくさん用意されていた。(加藤)

・このデモで、子供を肩車しているお父さんとかが参加していた。学生たちと歩きながらいろいろ話した。一方で、暴徒化する人々や、ペットボトルを日本大使館に投げつける人々がいた。(古谷)

・中国人は我々に「積極的なよい報道をしろ」と言う。新聞はコントロール可能だと考えている。(金子)

・日本人はわりと建前とか肩書きで人を信用するが、中国人は自分が知っている度合というか、はっきり確信を持たない限りは人を信用しない。(田畑)

・一昔前まで、中国は名刺の肩書はほとんど役に立たない世界だった。ただ、ひとたび関係が強まると、何でもありの世界。どうしてこんなことができるのかというようなことまで何でもしてくれる。少し前は、賄賂では動かないことも多かった。それ以上に人間関係が重要だった。(加藤)

・国交正常化の頃、日本人の中国観の中に、過去の戦争に対する贖罪意識がかなり大きなウエートを占めていた。今は違う。普通の国同士の関係になったという気持ちが強い。むしろ最近では、日本を脅かす相手というマイナスイメージを持つ人が多いのではないか。中国を極めて実利的に付き合う相手としてとらえるようになった。贖罪感はなくなって、是々非々の世界だ。日本と中国の力関係が変わることで、ばかにされるんじゃないかという不安感や恐怖感が日本人の心の中に広がりつつある。(加藤)

・軍備増強に走る中国に対して、日本はより大人の立場から、平和の重要性を訴え、いさめていくべきではないか。中国と対立を深めることは日本に何の利益ももたらさない。対立をエスカレートして日中経済関係に亀裂が生じれば、日本経済は一気に輝きを失い、世界中から「日本売り」が始まる可能性すらありうる。(加藤)

・中国は、農地を収奪された農民の暴動という形で社会の不安定が高まるのではないか。(金子)

・中国は拡大しやすい社会資本投資にどんどんお金を集中する形で成長してきたが、世界中が不況で、でき上がった生産能力を持っていく場がなくなっている。(田畑)

・古代の巨大なワニなどが身体が大きくなりすぎて絶滅したのと同じようなパターンに中国がはまる可能性があるという気がする。地方の末端は中央の唱えるお題目を無視して権力の乱用や汚職腐敗がはびこっている。しかも既得権益層が固定化し、私利私欲の中の独占が起きている。統治構造のゆがみで末端からどんどん腐り始めて壊死している。(加藤)

・日中関係は戦略的互恵関係以外に道はないと思うが、1つ困るのは、中国がいまや日本を必要としなくなった可能性があることだ。(金子)

・日本の若い記者でも、尖閣列島を我が国固有の領土だなどと書いたりしているが、たった百何年前に日本の領土に編入したものが何で固有の領土なのだ。あの島は何万年も前からあそこにあるのに。メディアはもうちょっと異論や少数意見こそニュースだと思って議論のネタになるような話を日中関係でもやってほしい。(田畑)

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