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2012年9月 7日 (金)

最も財政悪化が深刻な日本で財政再建が争点にならない不思議

 民主党および自民党の総裁選がニュース報道のもっぱらのテーマ。民主党は間近に迫る衆議院解散で頭がいっぱい。野田首相では選挙に勝てないと思う議員たちは、自薦他薦で首相のクビのすげかえをねらって必死だ。また、マニフェストにあげたバラマキ政策の多くを継続しようとしている。

 自民党も谷垣総裁にとって代わろうと総裁選に立候補する意向の議員たちが何人もいる。だが、自民党が下野してから、どんな反省をしたのか定かではないから、自民党が政権を握ったら、また利権政治が復活するだけということになりかねない。

 鳩山、菅両政権を経て、いまの野田政権は官僚機構に乗っかった政治になっている。自民党政治も、もともと官僚政治だったのだから、民主党、自民党のいずれが政権を担ったとしても、日本の政治は大きな違いはなさそうだ。

 だが、国内外が激動を続けているときに、政治家が前例尊重を基本とする官僚機構に依存した政策や政治行動をとっていたら、日本の前途は暗い。

 なかでも不安なのは、財政再建が政治の主要な争点になっていないことだ。米国の大統領選挙では、共和党が財政再建を争点の柱の1つに挙げている。フランスやイタリアなどでも、大統領が財政再建を掲げている。ギリシャなどの破たん国家ないし破たん寸前の国家は言うまでもなく、財政赤字の対GDP比を引き下げるようEUから求められている。

 そうした国々と単純な比較はできないにせよ、日本の財政赤字はフロー、ストックのいずれも最悪の状況にある。それなのに、本気で財政再建に政治、政治家が取り組む気配は皆無に等しい。

 2013年度予算編成の時期にあたるが、断片的に報道される1つひとつが財政破たんへの歩みを示している。厚生労働省の所管する社会保障費だけで30兆円を超えるという。税収が40兆円台前半にすぎないのに。地方交付税交付金が18兆円ぐらいだから、ほかの省庁の活動はすべて国債という借金で賄うしかないということだ。

 13年度の国債費は24.6兆円で、今年度よりも2.7兆円増えるという。仮に税収が全部で44兆円だと想定すると、国債の利子および償還を差し引いた残りの20兆円程度で一般会計すべてを賄うのが無借金経営のありかただ。そんな無茶なことを、という考えもあるが、足らず前はすべて国債発行で調達するのを当然だと考えるのも財政健全化とはほど遠い考えだ。

 現在の政争で、今年度の赤字国債発行法案が成立していないので、政府は地方交付税交付金などの支出を抑える方針という。このため、歳出の予算案が成立しているにもかかわらず、歳入関係の法案が国会を通らないのは問題だとの主張も聞かれる。しかし、赤字国債発行の意味や規模、その将来への影響などを、この際、考えるのは大事なことだ。

 歳出がやたら膨らむのを当然視して赤字国債をどんどん出すという異常な財政運営を毎年、当然のように続ければ、どんな将来が待っているか。家計と政府とは違う、と小賢しいことを言っていると、いずれ政府は家計をめちゃめちゃにする公算大である。

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