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2012年11月23日 (金)

日本を「守るために変わる」ことが必要

 財務省の高田英樹氏が民主党政権の国家戦略室に出向した2年間を総括した「国家戦略室の挑戦~政権交代の成果と課題~」を読んだ。90ページ近いもので、私見とはいえ、民主党政権の国家戦略室の誕生、その意義、具体的な取り組みなどをかなりくわしく紹介していて参考になる。

 それだけではない。2003年から3年間、民主主義の先輩国である英国の財務省に出向した際の”異文化”体験をもとに、国家戦略室の成果や問題点を、彼独自の視点で分析しているほか、日本の政治や官僚機構などが是正すべき課題を具体的に指摘している。

 ……と、固苦しく書くと、おもしろくなさそうに思われるかもしれないが、実際に読んでみると、読みやすいうえに、目からうろこが落ちる類いの事実にぶつかる。

 いま、総選挙が行われるのはよいとして、政党の公約がいい加減なので、どこの政党に、誰に、投票したらいいか、悩んでいる選挙民が多いと思う。高田氏の指摘は、読んでもらえばわかるが、日本の選挙制度や、政党および官僚機構などを含めた統治機構のありかたなどにモノ申しており、それらが是正されれば、日本の民主政治は相当よくなると思う。

 英国財務省で受けた異文化体験を、高田氏は「多様性(diversity)」と総括する。「それぞれの職員を個人として尊重する」ということである。性別、人種間の機会均等、多様な文化、バックグラウンドの尊重、弾力的な勤務体系の容認、異なる意見への配慮といったことだ。官僚の退庁は1年を通じてほとんどが夕刻で、5時に帰り始めるという。

 採用はポストが空いた場合、その都度行われる。内部からも外部からも採用し、外国人も役職に就くことがある。オックスフォード大などの大学新卒の採用は少数で、よそで働いた者が多い。採用者の年齢も開きがある。財務省の仕事と直接関係のない出身学部が多く、上のポストに就くには、一旦、退いて、ほかの仕事を経験することを求められる。

 こうした人事のやりかたは、知識、経験、人間関係の蓄積が難しいなどのマイナスもあるが、組織の柔軟性、思考の固定化・保守化を防げる。そして、組織への執着心や縄張り意識を減らせるという。日本の官僚機構を思い浮かべれば、違いがよくわかる。

 高田氏は、日本の官庁が英国のように民間人材を登用すれば、官庁の組織も多様性、柔軟性を持つことができ、その結果、変化に対応し、組織の真の価値を守ることができると言う。「守るために変わる」ことが求められるというわけだ。

 

 

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