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2013年1月20日 (日)

曽野綾子氏の『働きたくない者は、食べてはならない』

 タイトルが「働きたくない者は、食べてはならない」という刺激的な本を見かけたので手にとった。曽野綾子氏が昨年5月に出した本である。第18章の題が同じ「働きたくない者は、食べてはならない」である。以下の文章は、この第18章に関してのものだ。

 「働きたくない……」は聖書の言葉を引用したもので、「怠け者は食べるな」ということだと言う。そして「毎月生活保護を受けて暮らしている人の中で、お金を受け取りに行ったその足で、いそいそと競輪やパチンコに行く人は結構多いらしいから、能力体力に応じて、労働でいくらか返す制度を作って当然ではないのだろうか」と指摘している。

 著者は、老人に対し、もっと働けと主張する。少子高齢化のため、現役世代が背負う社会保障費などの負担が重くなっているからであるが、それとともに、老人に生きる満足感を与えるためだという。人はお金や介護などを受ける立場にいる間は、もっともっとと野放図に求め、決して満足することはない。しかし、働いて社会に与える立場になると、自分の存在理由、存在意義が見えてくるから満足できる。高齢者にとって、与える生活は生きる満足感をもたらすというのが著者の言いたいことである。

 同章の最後は「老人は死ぬ日まで、できれば働かねばならない。長い歴史の間、そのようにして人間は生きてきたのだ。人間とは倒れる瞬間まで働くものだ。少しもみじめではない。」で締めくくっている。

 この本を読んで私が思ったのは、いまの政治課題の1つである生活保護費切り下げ問題である。働いている低所得者層と比較して、生活保護の受給者のほうが所得が多いのは明らかにおかしい。生活保護費の約半分が医療費だというのも異常にみえる。また、実態は定かでないが、生活保護受給者が生活費を受け取り、パチンコ店に直行するなどというのは制度の欠陥としか思えない。

 このため、政府が生活保護の制度を改める必要があることははっきりしている。ただ、改正にあたってのポイントは、曽野氏の言う、人は死ぬまで働かねばならない、それが生き甲斐になるのだという視点を基礎に置くことではないかと思った。つまり、生活保護を受けたほうが働くよりも得だし、楽だということで労働意欲がなくなるという現行制度を改め、働くほうが充実感や生きがいを感じるという仕組みへの転換である。

 話は飛ぶが、年金生活者も、遊び呆けるのではなく、時にはボランティア活動などでもいいから働いて社会に貢献することが期待されているのではないか。曽野氏の著書からそんな示唆も読み取れる。

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