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2013年1月 4日 (金)

新聞が捉えてほしい潮流

 「紅白」などの話の続きを。例年通り、元旦の主要新聞6紙にざっと目を通した。農水省の重要機密がネット侵入で盗まれていたという特ダネを除き、驚くようなニュースはなかった。しかし、連載企画記事や特集記事も、IT技術の革新についての特集を除けば、大したものは見当たらなかった。

 全くと言っていいほど記事がなかった分野が地球温暖化問題である。世界のあちこちで台風の規模が大きくなり、豪雨・洪水や竜巻などが起きるようになった。また、世界は京都議定書の第1約束期間の期限である2012年までに、温暖化の勢いを止めることはできなかった。米国や中国などの主要排出国が手をこまねいているため、このままでは人類の生存を危うくする深刻かつ大規模な異常気象が起きるだろう。

 日本はフクシマですっかり温暖化への取り組みがさめてしまった。石炭や天然ガスを燃料とする火力発電を増やしたため、温暖化を促す二酸化炭素の排出増はやむをえないという見方が支配的である。温暖化対策などを理由に原発再開を求める声はあるが、温暖化問題は国民の関心からはずれた。しかし、問題の重要性や深刻さを踏まえたら、新聞は温暖化問題を継続して取り上げてしかるべきだった。

 携帯電話はスマホなどが中心になり、電車の中でも、実に多くの人たちが小さい画面を凝視している。技術革新が著しいこの分野では、新サービスが相次ぎ、利用者はさまざまな便益を享受している。新聞界も購読者の減少傾向に対応して電子新聞を出している。メディアはこうしたネット化対応とともに、この先端分野に立ち遅れた日本のエレクトロニクスメーカーの工場閉鎖や人員整理、あるいは経営建て直しなどを報道している。

 しかし、新聞はネット化の潮流に乗ることに必死であり、ネット化の負の側面を見詰めているか疑わしい。紙の新聞は紙面の下段にあるベタ記事(1段見出しの記事)にも目が行く可能性があるが、電子新聞の読者は主要な記事には目を通しても、画面が小さいので、ベタ記事まで読む可能性は低い。また、紙の新聞と異なり、関心分野の記事だけ読むという読者も多いと思う。

  紙の新聞には文化、暮らし、教育、趣味、マナーなどいろいろな分野の記事が載っており、知らず知らずのうちに常識を身に付ける効用がある。ネット化は教養、人生観、人間関係などにプラス・マイナスのさまざまな影響を及ぼす。子供の勉学の時間や意欲にも悪影響を及ぼしているおそれもある。そうだとすれば、将来の日本の経済社会の発展が危ぶまれる。そうした問題意識が新聞に足りない。

 正月休みに会ったある家族は、奥さんが2人目の子供の育児休暇がこの春に切れるので、職場に復帰するつもりだと言っていた。しかし、上の子が通っている東京都練馬区の保育所に2人目の子が入れるかわからないという。入れないと、毎日、2人の乳幼児を別々の保育所に連れていかねばならない。それだと夫婦共働きなので仕事の都合からも無理があると語っていた。したがって、上の子の通う保育所がノーだと、奥さんは勤めをやめるしかないとのことだった。

 いまの日本は女性が働ける環境を整えることが焦眉の課題の1つである。しかし、役所は予算がないとか、補助金がないとかを理由に、住民の希望にそわなくても平気だ。国政や地方政治にたずさわる政治家も、住民の切なる願いに寄り添うハートを持っているか疑わしい。これは単なる1つの例にすぎないが、新聞はそうした住民の目線に即した記事をもっと載せてほしいものだ。紅白歌合戦の舞台裏に記者を張り付け、歌手が舞台から戻るたびに感想を聞いて電子新聞に速報する――なんてことを大新聞がやっている。ネット化の嵐に直面して、大新聞は正常な感覚を失いつつあるのかもしれない。

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