« 2009~2013年度の5年間で国債発行残高は177兆円も増える | トップページ | 映画「約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」を見て »

2013年1月31日 (木)

働くことに生き甲斐や喜びがある経済社会か

 『ブラック企業~日本を食いつぶす妖怪』(今野晴貴著)を読んだ。伝統的な製造業が縮小し、サービス産業など第三次産業が日本経済の大きな割合を占めている。ところが、労働組合が力を持ち、終身雇用を維持してきた製造業の大企業と違い、サービス産業などでは社員として採用した若者を人権や法を無視して酷使したり、不当にやめさせたりする企業が少なくないという。時には人格が崩壊するまで追い込まれる若者もいて、日本の将来を担うべき世代に暗雲がたれこめている。

 具体的な内容については本書を手に取っていただくとして、上場企業、グローバル企業として名だたる企業が、企業の社会的責任(CSR)を自覚せず、若い人材を物扱いして浪費し、弊履のごとく捨て去る事例を読むと、怒りを感じる。これからの日本を担う若い世代が夢を抱き、仕事にも結婚・家庭にも明るい希望を持つことができるようにすること。それが国や企業の指導層に課せられた責務ではないか。

 おりから春闘のシーズンが始まった。経団連のトップの頭にあるのは、会員企業の支払える総額人件費という観点だけ。大企業の団体ながら目先の問題しか眼中にないので、「ブラック企業」の行動を改めるといった総資本の立場での取り組みはうかがえない。

 また、労働団体の総元締め、連合は人材投資などで1%の賃上げを求めているものの、実態は企業ごとの労使交渉にゆだねている。そして、各単組は経営側の主張する支払原資の枠からはずれた高い賃金を獲得しようと闘争を組む構えにはない。

 労働組合に組織された労働者の割合は20%をとっくに切っている。長時間労働を減らし、人間らしい生活を営むといった基本的な条件すら、いまの労働団体は確保できていないからだ。連合などの傘下の労働者はまだ、多くが長期雇用、年功序列賃金の枠に守られているが、サービス分野などの新興企業の労働者は労働組合がないか、あっても、会社の人事政策の思うがままというところが少なくないようだ。こうした「ブラック企業」とどう闘って、非人間的な人事管理を改めさせていくか。それは本来、ナショナルセンターの主要な使命の一つではないか。

 本書には、「ブラック企業」にどう対処したらよいかの提案もされている。それに付け加えたいのは、連合や全労連などの中央組織が、若い人たちに積極的に手をさしのべ、負けずに闘うことができるような強い支援組織を全国に展開することである。いまの彼らにはきわめて困難な注文だろうが、それをすれば、連合などの組織の発展にもつながるだろう。

|

« 2009~2013年度の5年間で国債発行残高は177兆円も増える | トップページ | 映画「約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」を見て »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/56666932

この記事へのトラックバック一覧です: 働くことに生き甲斐や喜びがある経済社会か:

« 2009~2013年度の5年間で国債発行残高は177兆円も増える | トップページ | 映画「約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」を見て »