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2013年2月14日 (木)

地球温暖化のゆくえに関する2冊の本は刺激的

 福島原発事故を境に、日本は地球温暖化への取り組みの先頭集団から脱落した。しかし、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出は世界的に増え続け、温暖化による地球環境の変化は人類の生存を危うくするのではないかと危惧されている。

 最近、温暖化問題に関して読んだ2冊の書物は、この問題へのとらえかたがきわめて対照的である。とともに、温暖化の影響がいかに大きな広がりと深さを持ち、人類が真剣に対応策を考え、実施しなければならないか、を詳細に述べている。日本の政府も国民も、温暖化問題と人類の未来とについて真剣に考える必要がある。

 2冊の本とは、ジェームズ・ハンセン著『地球温暖化との闘い~すべては未来の子どもたちのために』と、カート・ステージャ著『10万年の未来地球史~気候、地形、生命はどうなるか?』である。

 ハンセンの本を読むと、化石燃料からの温室効果ガス排出量を段階的に止めていかなければ、気候災害が激しくなり、地球上の生物の生存が危うくなる。転換点(ティッピングポイント)を超えると、もはや手に負えない。石油、ガス、石炭、タールサンドやシェールオイルの埋蔵量をすべて燃焼したら、暴走温室効果により、生物のいない金星と同様になるという。現在、すでに390ppmに近い大気中の二酸化炭素濃度を350ppmまで下げることが必要だという著者は、代替エネルギーとして太陽光などとともに、原子力にも大きな期待を寄せ、日本の原子力技術を評価している。

 ステージャが書いた本は、何万年とか何十万年といった過去の地球史を参照しながら、また、地域ごとの気象、生態などの違いを指摘しながら、温暖化によって起きる気候災害などの現象が言われているような単純なものではないと指摘。起きてくる災害などにどう対応するか、という観点を大事にしている。そして、5万年先に始まる氷河期は人類の生存を危うくするが、いまの地球温暖化のおかげで氷河期にはならないと言う。温暖化は人類史でみれば悪いことばかりではない、という視点を教わった。

 化石燃料を使い果たしたら、そのとき、人類は化石燃料に頼ってきたエネルギーや化学物質の代わりがなくて大変なことになる。したがって、できるだけ脱化石燃料を進め、保存しておくべきだというのもうなづける。

 両書とも、専門的な話であり、かつ広い分野にわたる内容なので、読んでもわからないところが多い。しかし、地球温暖化を単純にとらえがちな素人に対し、専門家がどう考えているのかを教えてくれる。日本においても、こうした高いレベルの論議が交わされることができれば、国民の意識もレベルアップするだろう。

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