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2013年2月23日 (土)

スウェーデンとの興味深い違い

 社会保障が行き届いているといわれるスウェーデン。同国と日本との違いを指摘している本を読み、うなづくことが少なくなかった。障害児教育や作業療法士として同国で長く働いていた河本佳子氏の書いた『スウェーデンにおける医療福祉の舞台裏』である。

 その指摘の1つは、日本のほうがはるかに働く者の収入が高いが、スウェーデンは休暇制度がすぐれているという点。最低、年間に25日の休暇がとれ、年齢が上がるにつれ、日数が増える。著者の場合、6週間の有給休暇がとれ、夏場には3週間連続してとるようにと上司から指示が出ていた。日本では、労働基準法で有給休暇がとれると定められているのに消化されないというのは違法だが、なぜ経営者が捕まらないのかと著者は疑問を呈する。

 スウェーデンでは国民1人ひとりが「自然享受権」を持っている。同国国内であれば、「私有地であれ、公有地であれ、森林、山、河、湖、浜辺などどこにでも自由に入って自然を謳歌することができる」。

 同国の経済を支えているのは豊富な資源と高い税金だけではない。中立国である同国は武器を外国に売ってもうけている。潜水艦、戦闘機、地雷なども輸出しているという。

 国政選挙は比例代表制で、街角に各党の選挙小屋が立ち、公約を訴えている。誰もが入りやすく、学校では子供たちに選挙小屋に行かせるようにしている。そこでは、詰めている政治家が一生懸命公約についてわかりやすく説明しているそうだ。

 同国の議会は1つの議題について各党が研究、調査を重ね、その結果を提示し合う。そして長期的展望に立って議論し、最終的には相互理解したうえで結論を出す。しかし、その後、不都合な点が出てくれば、すぐに修正する。必要以上に前例にこだわる日本が見習っていい点とのこと。

 現在のスウェーデンでは、「生活保護費だけでは決して楽な生活を送ることができない。このため、昨今、職業安定所における求職活動を義務づけている」。再教育や研修制度も新設し、トライアル雇用などを創設して若者の自立を促している。「日本も、ただ生活保護費を支給するだけでなく、その金額分ぐらいは公共サービスの派遣人として社会奉仕をしてもらったほうがいいのではないだろうか」。「受給者の労働意欲をかきたてるような仕組みができることを望んでいる」という。

 スウェーデンは福祉先進国である。しかし、こんなことでいいのかと思うほど福祉の恩恵を悪用する人が少なくない。そのわけは、「個」の存在が強過ぎて時に周りが見えないこと、「個」が権利として社会的に守られているからではないか。スウェーデン人にはないものねだりかもしれないが、「集団」と「個」の両方を大切にし、バランスよく相容れる意識改革ができればいいと著者は願っている。

 日本については、お互いの面倒をみるという精神が残っているのなら、それが究極の福祉になるのではないか、と書いている。

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