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2013年3月31日 (日)

2011年度の国の連結財務書類を眺める

 財務省は2011年度の一般会計の財務書類、一般会計・特別会計の連結財務書類、そして独立行政法人、国立大学法人等の216法人をも連結した財務書類の3つを発表した。これらのうちの最後のものは、日本国の経済活動に占める政府の大きさを示すものとみてよい。

 その業務費用計算書によると、同年度の業務費用合計は161.6兆円(前年度比2.5兆円増)である。GDPの3分の1近い。主な項目を挙げると、補助金等29.4兆円、厚生年金給付費23.6兆円、地方交付税交付金等21.3兆円、基礎年金給付費17.5兆円、保険金等支払金11.9兆円、人件費9.1兆円、減価償却費8.0兆円、利払費7.8兆円、その他の業務費用22.4兆円など。

 貸借対照表(2011年度末)を見ると、資産合計が768.9兆円に対し、負債合計はというと1223.6兆円。441.2兆円の債務超過である。この債務超過額は前年度末より38.8兆円も増えている。2011年度の租税等財源は45.2兆円なので、その10年分近い規模の債務超過を抱えていることになる。

 なお、負債合計の内訳には、郵便貯金174.4兆円、公的年金預かり金121.9兆円などが含まれている。

 

 

 

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2013年3月29日 (金)

TPPへの参加・不参加と農業のゆくえ

 TPPに日本が参加すべきか否かで国論が2つに割れているようにみえる。最近、読んだ「WEDGE」4月号に原田泰氏が書いている「TPP不参加で農家の生活は苦しくなる」はTPP賛成論である。それによると、農家が安定した生活を送ることができるのは、農外所得および年金収入があるからで、それらの原資を生み出す非農業分野の産業の繁栄がなければ、不可能だと指摘している。日本がTPPに参加しなければ、日本の産業は没落し、それとともに農家の安定した生活も失われるというわけだ。

 この記事に載っている表「農業所得と農外所得」は、毎年、農水省が行い、発表している「農業経営統計調査報告」に基づく。この「水田作付延べ面積規模別」のデータは興味深い内容を含んでいる。たとえば、3ha未満の場合、経営体(ほとんどが家族経営)平均で、農業所得46.0万円、農外所得196.3万円、年金等収入196.4万円、総所得430.7万円である。

 農業だけを取り上げれば、売上から肥料等や人件費を差し引いたら、ほんのわずかしか残らない。0.5ha未満の経営体では、農業所得はマイナス10.1万円である。だが、農外所得186.5万円、年金等収入251.2万円もあり、総所得は422.2万円とゆとりがある。したがって、多くのコメづくり農家は会社、役所勤めなどで稼ぐのと高齢者が受け取る年金とで暮らしている。原田氏が指摘するのはこのことである。

 一方、20ha以上の経営体となると、農業所得1343.4万円、農外所得161.9万円、総所得1519.6万円と、全く様相が異なる。3ha以上でも、農業所得606.4万円、総所得830.8万円である。ひとくちに農業といっても、こんなに違うのである。

 農業の就業人口は251万人、このうち65歳以上が60%である。平均年齢は65.9歳。年々、平均年齢が上がっており、年金受給者は増える一方である。日本農業の現実がこれらの数字に表れている。

 TPPの是非を考えるにあたっては、このような日本農業の相違を踏まえる必要がある。

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2013年3月25日 (月)

小野市の福祉給付適正化への取り組みを支持する

 生活保護給付金や児童扶養手当の受給者がおカネをパチンコ、競輪、競馬などで費消しているケースが少なからずあるといわれる。そうした不適正な費消等を防止するため、兵庫県小野市が「小野市福祉給付制度適正化条例」の制定をめざし、議会に条例案を提出している。蓬莱務市長の方針を支持したい。

 生活保護については、給付金が最低賃金の水準を上回っていることが問題になり、安倍内閣は給付金を減額する方針である。生活保護などの福祉給付制度でもう一つ問題とされるのは、不正受給であり、また、受給者がパチンコなどで給付金を費消しているケースが少なからずあることだ。だが、そこにメスを入れる基礎的自治体はなかったように思う。

 小野市の条例案によると、不正な手段による給付を未然に防止するとともに、給付金を遊技、遊興、賭博などで費消してしまい、生活の維持、安定向上に努める義務に違反する行為を防止することにより、制度の適正な運用と受給者の自立した生活支援に資することを目的としている。

 このために、市は市民、地域社会などと連携協力して不正受給を防止する体制を構築する。その一環として、福祉給付制度適正化協議会を設置し、福祉給付制度適正化推進員を置く。情報提供があった場合、協議会は不正受給に相当する疑わしい事実があると判断した場合、推進員に調査させる。ただし、この調査活動は犯罪捜査のためと解してはならないとしている。

 ところで、生活保護の制度は命綱として絶対に必要である。しかし、できるだけ早期に社会復帰し、生活の糧を自らの労働で稼ぎ出すことを基本とすべきである。そのためには、就職活動や職業能力の向上を支援し、就職したほうが収入が増え、生きがいも増すような方向へ誘導することが望ましい。

 と同時に、基礎的自治体には、不正な申請を断固しりぞける決意と覚悟が欠かせない。東京都特別区では、警察OBを多数雇い、受付窓口に配しているところがある。

 このように、福祉給付制度の適正化に向けて自治体が動き始めたのは、不正受給や給付金の不適切な費消などが一般住民の目に余るようになってきたからだろう。医療費タダという仕組みも生活保護費増大の大きな要因なので、窓口で支払い、あとで清算するとか、1割負担するとかの制度改定も求められる。

 小野市の条例案には、運用いかんでコミュニティに微妙な問題が生じる懸念もないではない。そこは十分に議論し、詰めて良い内容にしていってほしい。

 

 

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2013年3月23日 (土)

桜もほかの花もいっせいに開花

 例年より大幅に桜の満開が早い。満開が伝えられた22日、横浜市の本牧山頂公園を訪れた。京浜東北線の山手駅から山頂公園へと歩き、根岸の海を眺め、遠くには富士山も見える公園内を、西から東へと花をめでる至福の時を持った。横浜ヒザクラの華やかな美しさには目を奪われた。

 山手駅から公園に向かう途中、うぐいすの鳴き声が起伏の激しい住宅地に何度もさえわたった。また、公園からは三溪園まで足を延ばし、同園の庭や建築のすばらしさを味わえた。私にとって、ことし最高の日だった。

 でも、気になることがあった。1つは、山頂公園で、小鳥の姿を全く見かけなかったことである。カラスが1羽、足の細長い水鳥が1羽、空にトンビが3羽、といったぐらい。目白、雀とか、花を食い散らすひよどり、それらの姿を見ることはなかった。単なる偶然なのかもしれないが、意外な体験である。

 もう1つ意外だったのは、公園を歩いていると、実に多くの花が満開だったこと。桜は種類があるが、ほぼ一様に咲き誇っており、木蓮、辛夷も満開だった。花モモ、雪柳、ドウダンツツジ、シャガなども同様。厳しい寒さの日と暖かい日の繰り返しのあと、初夏の陽気のせいで、いっせいに開花のスイッチが入ったからだろう。地球温暖化による気候変動の荒々しさがその背景にある。

 先頃、世界経済フォーラムが作成した『第8回グローバルリスク報告書 2013年版』の日本語版が発表された。そこでは、世界が懸念すべき最重要リスクのうちの3つをくわしく分析している。即ち、健康問題への根拠なき過信、経済、環境面でのストレス、デジタル・ワイルドファイヤーである。そのうちの環境面を読むと、気候変動の緩和についての国際的な合意と対策の実施とが難しくなっており、激しい熱帯低気圧の発生頻度増大、海面上昇による沿海都市の浸水、一部地域での干ばつ悪化など、さまざまな悪影響が出ると指摘している。

 そして、未来の気候リスクに対応するには、数年以内にどうすべきか人類は決断しなければならない。気候のように複雑なシステムは非線形の性質を持つので、影響の予測は困難だとしている。

 温暖化の進行が人類のよって立つ地球システムを根底から崩壊させるおそれすらあるとすれば、上記のような些細な変化を危機にいたる兆候とみなすことも一概に否定しにくい。

 

 

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2013年3月20日 (水)

低下傾向が続く租税負担率、上昇傾向の社会保障負担率

 財務省が19日、国民負担率(対国民所得比)の推計値を発表した。国税・地方税の租税負担率(22.7%)と社会保障負担率(17.3%)とを合わせた国民負担率は平成25年度は40.0%で、24年度より0.2%ポイント下がった。財政赤字(13.3%)を加えた潜在的国民負担率は53.2%で、24年度より0.5%ポイント低かった。

 トレンドを知るため、さかのぼって、平成元年はどうだったか見てみよう。租税負担率が27.7%、社会保障負担率10.2%で、国民負担率は37.9%、財政赤字の国民所得比は1.0%だった。その後の大まかなトレンドを見ると、租税負担率は下がり、社会保障負担率は上がった。そして財政赤字が増えている。平成21年度以降の財政赤字の対国民所得比は5年続けて2ケタだ。

 自民から民主へ、民主から自民へと、政権交代が行われ、それで、財政のばらまきがひどくなった。消費税の引き上げは、税負担を上げるという正攻法で財政危機に立ち向かうものだが、年度ごとの財政赤字をそっくり肩代わりするまでにはとてもいかない。

 いまの歳出には非常にムダが多い。医療、介護などの社会保障分野をはじめとして、東日本被災地の復興関連においても、除染を筆頭に、歳出の見直しと効率化が求められる。

 先進国の潜在的国民負担率をみると、米国は日本より低い。2010年(平成22年)に42.5%で、日本は49.9%だった。それに比べ、ドイツ、英国、フランス、スウェーデンなどは社会保障基金を含むベースの統計だが、それぞれ55.9%、60.4%、69.5%、58.9%となっている。

 これからの日本の道を考えると、高福祉高負担の西欧にならえば、税率アップや徴収強化を図るべしということになる。経済成長で国民所得を増やし、結果として税収が増える程度のことでは、巨額の財政赤字累積の重みに耐えきれまい。経済の活力を維持し、財政再建を図るのは至難の技である。 

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2013年3月16日 (土)

中国の環境汚染は経済優先のせい

 北京をはじめとする中国各地の大気汚染はすさまじい。工場などの排水も有害物質をたくさん含んでいたりする。日本製のマスクが売れるとかいうが、問題の本質はそんなことではなさそう。

 同国の環境保護省の呉暁青次官は15日の記者会見で、環境保護と経済発展を両立させることは困難だと述べ、これ以上の環境悪化を防ぐ取り組みに力を入れると語ったという。これは、経済発展を妨げない範囲でしか環境保全対策を行なわないということを意味する。

 中国にも排ガスや排水に対して排出基準が設けられており、その基準を超えた排出に対しては、罰則がある。しかし、同国の事情に詳しい専門家によると、罰金を払えば汚染物質の排出を続けることが許されている。汚染物質の外部への流出を止めるには大掛かりな設備などの費用がかかるが、罰金ははるかに低コストなので、企業などは罰金を払って操業を続けているという。

 さらに、罰金は地方政府の財政収入となるので、政府としても、企業などが汚染物質の排出を抑えるよりも、罰金を納めてくれるほうを望むという。

 日本や欧米諸国なら、環境汚染に対して、地域住民などが反対運動を起こすし、メディアなどを通じて環境保全を求める運動が起きる。政府もそれを抑圧するようなことはしない。だが、中国では、地域では反対運動が起きても、それをあれこれの手を使って抑える。反対運動を支える民主主義が存在しない。そうした違いが中国における極端な環境汚染を招いている。

 習近平体制が発足したが、経済成長を追求するにしても、いまのような環境汚染を当たり前だというようなことでは、国民の怒りや不満が強まるだろう。早く、環境保護と経済発展の両立を前提とする路線に転換すべきだと思う。

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2013年3月13日 (水)

年1ミリシーベルトの意味

 化学物質のリスク評価で優れた実績を挙げている中西準子氏(産業技術総合研究所フェロー)の著書『リスクと向きあう』を読んだ。その「第1章 福島原発事故に直面して」は、化学物質のリスクと比較しながら、放射線リスクをどう評価したらよいかを述べている。

 「誰しも日常生活では、二つとか三つのリスクを比べながら一定のリスクを受け入れつつ生活しています。しかし、放射線の話になると、リスクはゼロであるべきという議論を耳にします」。だが、放射線の被ばく量が一定値(しきい値)以下でもリスクはあるし、「放射線のリスクをゼロにしたら、別のリスクが生じるのです」。したがって、「そのリスクの大きさを明らかにし、これ以上のリスクはダメだけど、これ以下なら当面受け入れる、その理由はこうですという議論をすべきなのです」。

 放射線の年1ミリシーベルトも安全、つまりリスクゼロと思われているが、そうではない。放射線には、これ以下なら絶対大丈夫という値はない。したがって、一応の許容レベルをどうやって決めるのか、国民の叡智が問われると中西氏は言う。

 国は除染後の空間線量率を1ミリシーベルトにと言っているが、その達成は困難とされる。いままででも政府は除染に1兆円をはるかに上回るカネを使っているが、これからも1ミリシーベルトを掲げて除染を続けたら、その費用は莫大な財政負担となり、国民が背負わねばならない。除染か、移住か、これもトレードオフの問題だという。

 中西氏の問題提起を、政府も国民もしっかり受け止める必要があると思う。

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2013年3月10日 (日)

労組は監査役の機能を持とうという動き

 春闘は大詰めを迎えているが、その中で、労働組合のほうで、中長期の労働運動のありかたを見据えた問題提起が出てきたことに注目したい。それは電機連合(全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会)が春闘、総合労働条件闘争の中で打ち出した「経営対策の充実」である。

 かつてテレビ、半導体ICなどで世界を席巻した電機産業は昔日の面影を失い、三洋電機、シャープ、パナソニック、ソニーなどが業績不振にあえいでいる。その責任は、言うまでもなく、グローバル化や技術革新などの潮流に先手先手で対処する経営方針を打ち出せなかった経営者にある。しかし、労働組合のリーダーたちも、会社の経営方針に疑問を抱きながらも、それをほとんど口にすることなく、もっぱら当面の労働条件の維持改善に努力してきた。

 しかし、それだけでは電機労働者の賃金・一時金などの労働条件を引き上げるどころか、逆に人員削減、給与引き下げなどに追い込まれる単組が相次いでいるのが昨今の状況である。

 そこで、今春闘では、「賃金要求」などと一緒に、「経営対策の充実について」という闘争方針を打ち出した。これは、労組が監査役の機能ぐらいは持とうというもの。「労働組合がテレビや半導体の事業運営に対して、会社側にどれだけ提言できたかといえば、反省がなくもない」。しかし、「小さい工場があちこちにあるのは、競争力がなく、やっていけないと感じていながらも、組合はそのことをきちんと会社側に言ってこなかった。あとで苦労することがわかっていたら、会社側に言うべきだ」。電機連合のトップはそう語った。

 ドイツでは監査役会(日本の取締役会に相当する)に労組の代表が参加している。日本でも、労働組合が経営のチェックや問題提起の役割を担うことができれば、経営改革につながり、日本のコーポレート・ガバナンスの質が向上しよう。

 電機連合のトップは「労働組合の代表が社外取締役に就く発想もあるが、責任をどう考えるか……」とも語っている。いま一つ腰が入らないようにもみえるが、剣ヶ峰に立たされている今日、真剣に労組の経営参加を考えるときである。

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2013年3月 9日 (土)

黒川清氏「変わる世界 日本は変われるか」

 国会事故調(「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」)の委員長を務めた黒川清氏と、「東京電力福島原子力発電所事故に関し国会及び政府に設けられた委員会の提言のフォローアップに関する有識者会議」の座長、北澤宏一氏(民間事故調の委員長を務めた)の記者会見が8日、続けて行われた。北澤氏は有識者会議の報告に関して、また、黒川氏は国会事故調のその後に関して述べた。

 2人の話で印象に残ったいくつかを紹介する。

 福島第一原発の現状について、北澤氏は「小康状態。下手すると病状が悪化して大ごとになることもありうる。2号炉はどうなっているか全く訳がわからない。再臨界もありうる。4号炉(のプール)には燃料棒がある。地上に下ろしても1日に1本だ。その途中に地震が起きたら大変。入れ物を用意しなければならない」と語った。

 また、同氏はエネルギーミックスについて、「世界はこの2年大きく変わった。日本も再生可能エネルギーを安く導入できる状況になった。2年前は転換に相当なコストがかかるので悲愴感があったが、いまや相当楽になった。日本も、いまから3、4年でベストミックスに達するのではないか。その中で、原発を使うかどうかは国民が決めること」と話した。

 黒川氏は「日本は本当に三権分立が機能しているのか。一党支配の50年、立法の85%が行政立法という国で、三権が相互に独立し、牽制しあうということになっていない」と指摘。「行政の人間は同一省庁にずっといて、その中で1年ごとに異動する。原発に対する規制も1年ごとに代わる役人を長としてきた。彼らは組織の利益を守り、前例を踏襲することを優先する。そんな国は世界にない」と述べ、これを変えて三権分立を確立するには、国民の意識が変わらなければならないと語った。

 日本は重要な意思決定ができない国であることが3.11の原発事故で明々白々となった。世界は変わっている。では、日本は変われるか。黒川氏はそこを厳しく問う。

 また、黒川氏は、「役人は公僕である」ということをもっと言うようにメディアに求めた。役人が留学したと言ったら、同氏は「国民の税金で行ったのですね」と言うそうだ。

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2013年3月 7日 (木)

10年後には国債残高が1000兆円に達する(財務省試算)

 安倍新政権の財政拡大政策で国債残高の増加に拍車がかかっている。財務省が発表した「平成25年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」によると、平成25年度末に見込んでいる国債残高は732兆円。それが年度を追って膨らみ、平成34年度末には1015兆円になると見込んでいる。

 この試算は消費税引き上げは無論織り込んでいる。歳出は自然体とし、経済成長率は3%を前提としている。このケースだと、「歳出-税収等」は平成24年度の44.2兆円から、平成28年度41.8兆円になると見込んでいる。巨額の財政赤字が続くわけで、28年度末の基礎的財政収支(PB)の対名目GDP比はマイナス2.4%である。

 一方、歳出は自然体とし、経済成長率を1.5%と前提するケースだと、「歳出-税収等」は43.9兆円となり、PBの対名目GDP比はマイナス3.1%に拡大する。

 また、上記の経済成長率3%の試算では、毎年度の利払費をはじいている。平成25年度末10.06兆円が、34年度末には24.08兆円にまで増大する。金利水準の上昇および国債残高の膨張によるものと思われる。

 ところで、国債残高が増え続けた場合、金利が大幅に上がる可能性が大きくなる。したがって、税収を増やすために消費税をさらに上げるとか、社会保障費などの思い切った削減などで歳出を抑え込むといった財政再建策が求められよう。いままでのように、財政赤字を積み上げて経済運営をすることは年を追って困難になるだろう。

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2013年3月 6日 (水)

働き疲れている労働者?

 鉄鋼、造船重機、非鉄の労働組合で構成する日本基幹産業労働組合連合会(略して基幹労連)が1年あまり前に実施した組合員の総合意識実態調査の結果をまとめ、先に組合員に公表した。そのうち、「改善を希望する労働時間制度」では、年間休日の増加(29.7%)、年次有給休暇の取得促進(19.8%)、1日の所定労働時間の短縮(12.9%)が多かった。

 3つ以内の回答を選択した場合だと、年間休日の増加47.9%、年次有給休暇の取得促進42.5%と上位2つは変わらず。以下、長期連続休暇制度の導入・拡充24.1%、1日の所定労働時間の短縮21.6%、年次有給休暇日数の増加20.8%と続いている。

 基幹労連では、この調査結果は組合員が長時間働いている実態を表していると言う。基幹労連の組合員は工場労働が多い。彼らは出勤せず、休める日がもっと欲しいと思っているのである。そうであれば、まずは、年次有給休暇を全部消化することに労連および各単組は全力を投入すべきではないか。年次有給休暇を100%消化させえないような管理職は処罰せよというぐらいの要求を会社側に突きつけたらいい。年次有給休暇日数の増加なんぞはそのあとの話である。

 「60歳以降も働く理由」(複数回答)については、69.7%が「働かなければ家計が成り立たない」と答えている。次いで、「自分の小遣いに不自由したくない」33.8%、「健康維持のため」31.0%、「住宅ローンが残っている」28.2%、「働くことで生きがいを見つけたい」21.5%、「経験や能力を活かしたい」20.0%などとなっている。

 鉄鋼業では3交代制の現場で、60歳以上の労働者がそのまま働いている。しかし、休日がもっと欲しいという上記の回答が示すように、生活のため、やむをえず60歳以降も働こうとしている人が多いのではなかろうか。

 「60歳以降就労で重視する事柄」として挙げられるのは、「仕事に見合った賃金水準である」が断トツで、53.0%。次が「仕事の体力的負担が軽減される」17.0%である。だが、いま進められている雇用延長は、生活給的な発想であり、給与は年金と合わせれば生活できる水準に抑える流れになっている。この組合員意識調査によれば、労働組合員はそうした流れに納得していないことを示しているのではないか。

 基幹労連もだが、現在の労働組合活動が組合員の意識を反映した労働運動を展開しているか疑わしいと感じることがままある。この意識実態調査の結果を、もっと労働運動のリーダーはじっくり眺め、活動に生かしてほしいものである。

 

 

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2013年3月 2日 (土)

PB悪化と経済財政諮問会議の再開

 2月末に政府の経済財政諮問会議が財政再建の議論を開始した。民主党政権のもとでは開催されなかった同会議を安倍新政権が再開したのは歓迎だ。民間有識者の意見にも耳を傾け、政治主導(官僚主導ではない)で予算をはじめとする経済政策を決めていくという仕組みは小泉政権が採り入れたもので、かなりの成果をあげた。いまや日本経済の危機は小泉政権時代よりはるかに深刻なので、改革実現のため、同会議の運営を官僚主導にはさせないことが求められる。

 国の財政は、長いデフレのためもあり、毎年、たくさんの国債を発行してきた。そのツケがたまりにたまって国と地方の”借金”は約1000兆円にも達している。安倍内閣が決めた2013年度予算案もデフレ脱却や被災地復興費などで大幅な借金依存が続いている。

 しかし、政府は基礎的財政収支(PB)の対GDP比を、2015年度には2010年度の半分に減らし、2020年度には黒字化するという国際公約を守る方針を変えていない。公約では、PBの赤字のGDP比を2015年度に3.2%にする必要があるが、そのためには、2014年度と15年度の2年間で17兆円以上の収支改善が必要(日本経済新聞)という。果たして、そのような劇的な財政健全化ができるのか。

 アベノミクスでは、当面は金融緩和や財政刺激などでデフレ脱却に注力する。そして、そのあと、成長政策の成果である税収増や消費税増税で歳入を増やし、他方で、社会保障費などの効率化などを図るということのようだ。

 安倍首相、甘利内閣府特命担当大臣とも、2015年度のPBの対GDP比半減、2020年度の黒字化の目標達成に向けてあらゆる努力をする意向を表明している。しかし、医療、介護などの社会保障費一つとっても、ムダが実に多いのに、いまの政治には、本気でそれを是正する意思も覚悟もうかがえない。既得権益の擁護を声高に叫ぶ連中の言いなりになっている与党政治家が多いのである。

 消費税には益税などというおかしなものがある。それはやめるべきだ。国税庁と社会保険庁との統合話は雲散霧消してしまったが、税と保険料の徴収を一本化する意義はいまなお大きい。こうした改革のテーマはあちこちにある。与党・政府がそれらを糾合して本気で財政健全化に取り組めば、道は開ける。それには安倍首相らが命をかけてリーダーシップをとることだ。 

 

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