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2013年5月29日 (水)

サントリー食品の株式公開

 サントリー食品インターナショナルの東証上場が決まった。さっそく、知り合いから、東証がこの上場を決めたのには違和感を覚えるというメールが届いた。

 私も同じく違和感を抱く。サントリーホールディングスが株式を公開するのが基本なのに、その1部門とも言うべき飲料・食品の会社の株式を公開、上場するという話だからだ。

 サントリーは昔から創業者一族の鳥井・佐治両家の会社として知られ、株式は非公開だった。持ち株会社化してからは、寿不動産がサントリーホールディングスのほとんどの株式を保有。この寿不動産の株主は創業者一族の家族およびサントリー芸術財団およびサントリー文化財団ということらしい。

 上場が決まったサントリー食品インターナショナルは、サントリーホールディングスの1部門である。寿不動産の孫会社に相当する。

 したがって、親会社のサントリーホールディングスや、その上の寿不動産がサントリー食品インターナショナルにどう影響力を行使していくか。それがサントリー食品インターナショナルの株主には全く見えない。同社のガバナンスや情報公開が適切か否か。そこに疑念が生まれかねない。

  サントリーホールディングスはサントリー酒類、サントリーワインインターナショナル、サントリーウエルネスなどの子会社も抱えており、それらの子会社については、株式が非公開である。したがって、それらの子会社とサントリー食品インターナショナルとの間の関わりが適切かどうかが気になる。

 株式公開を機に、サントリー食品インターナショナルは増資で外部から資金を調達する予定だ。そして、企業買収などを行ない、積極的に経営を拡大していく方針のようだ。それを中核に、持ち株会社も大きく発展することをめざしている。だが、持ち株会社の各子会社の盛衰に応じて、公開会社のサントリー食品インターナショナルにしわよせしたりすることがないとは言い切れない。

 本来、持ち株会社が株式を公開するのが常識だが、それだと、寿不動産を通じての、一族による会社支配が続かない。したがって、今回の公開は、外部資金導入による会社の発展と同族支配とを両立させるための変則的な株式公開と受け取るしかない。

 パブリック(公開会社)か、プライベート(非公開会社)か、両方のおいしいところをとろうというのが、今回の子会社株式公開である。それを問題なしとみるか。東証の判断が妥当かについても、疑問が残る。

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2013年5月28日 (火)

次世代の原発? 小型溶融塩炉の実用化競争

 日本の原発は軽水炉タイプで、現在も軽水炉は世界各地で建設されている。しかし、日本のように地震や津波が多発するところでは、フクシマの体験もあって、原発に対する拒絶反応は強い。閉鎖か、再稼働か、の問題は今後も続く。

 知人の教示によれば、放射能汚染などの危険を伴う軽水炉とは全く異なるタイプの小型炉の開発に取り組む動きが世界のあちこちにある。最近、米国の19歳の青年、テイラー・ウイルソンが小型モジュラー溶融塩炉を開発する構想を発表した。

 それによると、ガスを熱して発電に使う、炉は小型で工場生産できる、軽水炉より製造コストも運転コストも安い、燃料はひとたび装填したら30年間補給しなくていい、核廃棄物が少ない、事故が起きたら燃料は原子炉の下にあるタンクに流れ中立化される、常圧で、放射能外部汚染は起きてもごく限定される、途上国の発電や宇宙航行に最適、などのメリットがあるという。

 小型溶融塩炉は、1960年代に米オークリッジ国立研究所でつくられ、6年間運転されたという。したがって、溶融塩炉の原理は新しいものではないが、安全性が高く、量産すれば、軽水炉より発電コストがはるかに安くなるなどさまざまなメリットがあると期待されている。

 このテイラー・ウイルソン以外にも、メルトダウンが起きにくい改良型溶融塩炉を開発するベンチャーが欧米にあり、中国も開発を進めているといわれる。日本にも、”3.11”直後に、溶融塩炉開発をめざすベンチャー企業、トリウム・テック・ソリューションが設立されている。

 知人の教示をもとに、ネットで調べてみたら、以上のように、軽水炉にとって代わる可能性のある、より安全な原発をつくる動きがさかんだとわかった。軽水炉は安全性に問題があるという指摘が以前からなされていたということも知った。

 地球温暖化などを考えると、化石燃料への依存からできるだけ早く抜け出さねばならない。放射能汚染のリスクが限りなく小さい原発が実現するなら、”反原発”か軽水炉かの対立を克服することも可能だ。

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2013年5月26日 (日)

ユニークな「仏像半島」展

 先頃、千葉市美術館で開催中の「仏像半島~房総の美しき仏たち」を観てきた。国宝とされる展示物はなかったが、千葉県の房総半島に焦点をしぼってすぐれた仏像、仏画などを展示していて、十分堪能した。入場者はほとんどいないので、じっくり眺めることができたのがよかった。

 仏像に対する基礎知識がないので、自分で気に入ったもの、珍しいと思ったものなどをここでは取り上げる。重要文化財の薬師如来座像(龍角寺)が最も古いもので、7世紀後半~8世紀初の銅造。そのほかの展示仏は12~14世紀のもの。多くが木造で、銅や鉄の鋳造仏は少ない。鉄製の大きな仏頭(複製)は迫力がある。

 千手観音菩薩立像(大正寺)は「覆面観音」ともいわれ、お面をつけていることがわかる珍しい仏様である。また、11世紀前半制作の兜跋毘沙門天立像(東光院)は、にこやかな女性が肩と手で毘沙門天を支えている。普通は、天邪鬼が踏みつけられている(というか、支えている?)のが常識だが、これは初めて見る組み合わせだ。

 東南アジアでは、お釈迦さまが横になっている巨大な釈迦涅槃像があちこちにある。この展示では、2メートルあるかないかのミニの釈迦涅槃像があった。また、仏像が柄の入ったレースをまとっているようにみえる釈迦如来立像(正覚院)も珍しい。この仏像はしっかりと目を開いている。

 この展示会に出かけた理由の1つは、初代伊八の作である石堂寺多宝塔脇間彫刻(木造、1805年頃か)を見たかったことである。展示は16面もあり、波や動物を躍動的に、かつ立体的に彫る腕前にはただただ驚嘆するばかりだった。

 ところで、展示を見ていると、仏像が人間くさく感じられる時がある。仏像の表情や身体つきが誰かをモデルにしたのではと思えてくるからだ。少し猫背の薬師如来立像だとか…。

 基礎的知識がないままに、このように展示を楽しむことができた。 

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2013年5月25日 (土)

井堀東大教授の「経済教室」

 日本経済新聞の24日付け朝刊「経済教室」は、財政学の東大教授、井堀利宏氏が「財政再建の課題 上」を執筆。見出しには、「『平時』の歳出削減は不可避」、「既得権に踏み込め」、「増税のみでは効果なし」とある。

 結論を紹介すると、ずっと機動的財政運営を続ける余裕はない、財政健全化に方向転換すべきであり、そのためには、政府が相当規模の増税シナリオを提示すること、および、社会保障歳出、地方への補助金、農業補助金、公共事業などの既得権がらみに切り込んで歳出の効率化を図るべきだという。成長戦略としては、大胆な規制改革を行なうよう主張している。

 日本国政府は担う政権政党が変わろうが、景気が変動しようが、財政規律を無視した財政膨張を続けている。プライマリーバランス(基礎的財政収支)を2020年までに黒字化する、という”口約”は民主党から自民党に引き継がれているが、その実現は相当むずかしい状況にある。

 このため、井堀氏は「各年度の財政赤字、公債発行に上限を設定して、中期的にその規模を次第に縮減することにあらかじめコミットする」よう提案している。そうすれば、財政の悪化に応じて、自動的に歳出の削減と増税の予算化をせざるをえなくなるという。こうした財政健全化の中期シナリオを制度化すべきだとしている。

 過去数年の日本財政は国債発行の急増にみられるように急速に悪化している。とても政治が財政再建に本気で取り組んでいるとは思えない。このため、井堀氏の「経済教室」を読んでも、政治が財政再建に本腰で取り組むとは考えにくい。実は、井堀氏自身も悲観的なのではないかとすら憶測する。ハードルがあまりに高いからだ。

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2013年5月20日 (月)

「国民の税金」という意識が乏しい役人

 20日付け朝日新聞朝刊によれば、東日本大震災のがれきを受け入れると手を挙げ、国の復興予算を使って廃棄物処理処分の施設を整備したものの、実際にはがれき処理をしなかった被災地外の自治体・組合が10カ所あるという。そこへの復興予算交付は全部で250億円に達する。環境省は交付金の返還を求めないという。

 一般に、廃棄物処理処分施設をつくる際、自治体側が総費用の28~37%を負担すれば、残りは国が負担してくれる。そして、大震災のがれき処理が大きな問題となったため、環境省は、がれき受け入れを検討する自治体・組合には、負担をゼロとする特例を設けた。それで11、12年度に被災地外の15の自治体・組合に復興予算をつけたという。

 しかし、被災地外で処理処分するがれき量が見込みを大きく下回ったため、結果的に、復興予算が被災地以外の施設整備に投入された形となった。これに対し、環境省は資金の返還を求めない方針だというし、自治体・組合のほうも皆、返還しないようだ。

 こうした経緯を振り返ると、次のようなことが言える。すなわち、被災地が県内で、がれきの処理がしきれない場合、他の自治体が助けるという支え合いが望ましい姿だが、現実は、自治体間のエゴが丸出しになっていて、助け合いが難しい。そこで、国はエサ(カネ)をばらまくことで地方自治体を釣ろうとする。地方自治体は、得するなら、国の政策なるものに食い付く。それで、国は歳出を増やす。そして、プロジェクトが見込み通りの成果を挙げなくても、責任を問わない形ですます。財政にしわよせすることで問題をうやむやにする。

 自治体には、交付金など国からできるだけカネを多くもらおうという意識が強い。国・地方の借金の膨張なんてことは他人事である。また、霞が関の官庁は縦割りで、財務省など一部を除いて、カネを使うのが仕事と思う連中ばかりだ。国民の税金という意識が国・地方の役人にはきわめて乏しいのである。安倍政権が財政再建にどこまで本気か、心配になるが、役人に財政再建策の策定をゆだねたら、決してうまくゆかない。

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2013年5月11日 (土)

地球温暖化および日本財政に暗雲の数字発表

 ハワイの3400メートルの高さにあるマウナロア観測所で9日、二酸化炭素濃度が400ppmを突破したという。高地でこれほどの濃度を計測したのだから、平地の二酸化炭素濃度はもう少し高いのだろう。平地では10年前に約379ppmだった。18世紀の産業革命以前には280ppm程度だった。

 400ppmを恒常的に上回ると、300万年~500万年前の鮮新世の時代と同じだそうだ。イメージがわかないが、こうした地球温暖化によって、気温上昇がいっそう激しくなったり、台風、豪雨、洪水、竜巻などの発生がひんぱん、かつ大規模化しよう。

 いかんせん、世界の主要国は温暖化抑制の取り組みで合意ができていない。気候変動に関する政府間パネルは、人類の生存に危機的な事態を引き起こさないようにするには、産業革命前よりも気温の上昇を2度以内に抑える必要があり、そのためには二酸化炭素の濃度を450ppm以内にとどめるべきだとしている。21世紀、人類はその限界を超えないですむだろうか。

 一方、日本の財務省は2012年度末現在の国の借金のデータを10日、発表した。「国債及び借入金並びに政府保証債務」(IMF方式)は991.6兆円と、大台の1千兆円間近にまで達した。1年前に比べ31.7兆円増えた。国民の1人当たりだと、800万円弱に相当する。政府が新政策を打ち出し、新たな歳出を求めるニュースがひんぱんに報じられているが、歳出カットが行われなければ、借金が雪だるま式に増えるだけだ。

 税収の倍ぐらいを歳出に計上するという傾向は改善されない。当初予算ベースで、2013年度末(来年3月末)には1107.1兆円に膨らむと同省は見込んでいる。内訳をみると、政府短期証券が192.0兆円と2012年度末の115.3兆円より大幅に増えるなどとなっている。

 二酸化炭素濃度が高まろうと、国の借金が天文学的な金額になろうと、生活者の実感とはおよそかけ離れていて、”それがどうした?”と、軽くいなされるだけかもしれない。でも、こっちが無関心であっても、向こうは、このままだといずれ私たちに牙をむく。

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2013年5月 9日 (木)

超ビッグビジネス、トヨタ自動車の決算数字を読む

 トヨタの社風を知りたいなら、司馬遼太郎の『覇王の家』を読むといい――30年以上前、トヨタに詳しい記者に勧められた。家臣が一致結束して殿様のために命をささげて戦うという三河独特の気風、それがトヨタですよと彼は言った。

 8日にトヨタ自動車が発表した13年3月期決算。そして14年3月期決算の予想の数字。それらを読むと、強いトヨタが復活したことがわかる。デフレからいつ脱却できるかわからない日本経済の沈滞状況の中から、トヨタは自らの懸命の自助努力でリーマンショック以前の業績レベルに戻ってきている。三河武士の精神がいまも息づいているのだろう。

 トヨタの前3月期の決算数字を紹介すると、連結決算(米国会計基準)では、売上高が22兆円余、純利益は9621億円である。この売上高は日本の国家予算の5分の1程度にあたる。単独決算だと、売上高10兆円弱、純利益6977億円だ。総資産は連結で35兆円余、単独で11兆円余。連結の研究開発費は8074億円。そして従業員は33万人余である。連結純利益の増加に寄与した要因は、営業面の努力6500億円、原価改善4500億円、為替変動1500億円で、連結純利益の減少に働いた要因は諸経費増加が3000億円、法人税等・非支配持分帰属損失3259億円である。

 これほどの大所帯を気の緩みなく経営できるというのは、経営者の力量というよりも、三河武士の精神に源流を持つ社風・企業風土だろう。

 前3月期のトヨタの自動車国内販売は161万台、輸出が192万台である。国内生産は337万台、海外生産は519万台だ。セグメント会計によると、日本での売り上げは12.8兆円であり、北米は6.3兆円と日本の半分である。欧州は2.1兆円、アジアは4.4兆円だ。グローバル企業だとはいえ、日本にまだ相当、軸足を置いている。そして、研究開発費が連結で8074億円、単独で7109億円が示すように、研究開発はほぼ日本に集中している。

 豊田社長は「もっといいクルマをつくる」ことによって持続的成長をはかると語ったが、その根幹は日本に集中している研究開発部門にかかっているということのようだ。

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2013年5月 8日 (水)

おぞましい政治状況

 参議院では川口順子環境委員長解任を求める決議案を野党7党が提出した。川口氏が中国を訪問し、要人との会談が1日先にずれたため、参院環境委員会が流れた。その責任を追及してのことだ。

 川口氏は北京から環境委員会の開催を延ばすよう要請したが、野党はそれを拒否した。にもかかわらず、川口氏は滞在を延ばして楊国務委員と会ったため、野党が委員会流会の責任を問うたわけである。

 しかし、この件は委員会で謝罪するといった形で解決するのが妥当だと考える。いまの日中関係を正常化することは緊急の課題であり、川口氏が中国の要人と会うために訪中したことは野党もわかっていたはずだ。環境委員会の開催が決まっていたからといって、どんな事態が起きようとも絶対に開催すべきだというのは了見が狭すぎる。

 民主党以下の野党が何でも政争の具にして与党を困らせればいいというのは、もうとっくに卒業していい。

 ところで、この解任決議案提出に名を連ねている日本維新の会は、最近、鳴かず飛ばずの感がある。石原慎太郎共同代表が7日、党内の会合で「維新は賞味期限を迎えつつある」と発言したのは、さすがにいいセンスをしている。

 この会合で、石原氏は国会議員団の総意として橋下徹共同代表(大阪市長)に参議院選挙に立候補するよう求めるという趣旨の発言をしたが、それはどうかと思う。維新の会が精彩を欠いているのは、木に竹を接ぐような政党合併で、もともと維新の会が持っていた、地方に根差す革新性が見えなくなったからである。それは、橋下氏が参院選で国会議員になったとしても、変わらないだろう。橋下氏はめざす大阪の改革をなしとげなければ、維新の会の独自性をアピールするにいたるまい。

 一方、安倍政権は7月の参院選に勝利することの一点にしぼって政治を行なっているようにみえる。打つ手打つ手が先憂後楽とは正反対の先楽後憂である。70歳~75歳の医療費自己負担を特例の1割から早く本来の2割に戻すべきなのに、選挙前にはいじらないという。

 中小企業金融円滑化法が3月末で期限が切れた。政府は同法で金融機関への借金返済を繰り延べさせて、中小企業の延命を図ってきたが、期限切れ後も、倒産を少なくするため、金融機関に圧力をかけている。しかし、自立できそうにない企業に返済繰り延べを認めれば、安易な経営になりやすい。いずれは倒産する可能性が大だ。その負担は金融機関がかぶらざるをえない。その分、金融機関は企業を興す本来の業務がおろそかになる。

 国民栄誉賞もそうだが、安倍政権は目先、安易な人気取りに懸命だ。日中、日韓関係など、日本にとって重要な課題には正面切って取り組もうとしない。彼の眼には、参院選で勝つことしかないような気がする。

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2013年5月 6日 (月)

食・衣の”家庭力”低下

 ゴールデン・ウイークの後半も終わった。4日(土)に横浜・中華街かいわいに昼間行ったら、中華街の縦横の通りはどこもすさまじい人出だった。子供連れではとても歩けないほどに人があふれており、何か突発的な事件が起きたら、群衆は逃げ惑い、死傷者が出かねないとさえ思った。埼玉方面から横浜に電車が乗り入れることができるようになったせいもあるだろう。お客が多いのはいいが、緊急時への備えもする必要がありそうだ。

 中華街に近いところに住み、ちょくちょく中華街に食事に出かけるようになったのは45年ほど前。約2年間いた。当時は、メインの通りは一本だけで、メインから横に入った道にも料理店はあったが、数は知れていた。休日などもそれほど人出はなかった。いまは、縦横のいくつもの通りにもびっしり料理店が立ち並んでいる。隣の元町は、昔もいまもファッションなどで人気がある。裏通りにまでレストランなどの店が展開している。だが、4日の人出は中華街が圧倒的に多かった。近くの山下公園なども人、人、人。

 同じ日、友人は赤レンガ倉庫に行った。そうしたら、やはり、すごい人出だったという。桜木町から港の見える丘公園・外人墓地あたりまでの一帯は歴史的建造物などでつながっていて、一日、散策しても、観光してもあきない。

 45年前の桜木町駅前は造船所の用地であり、みなとみらいはなかった。また赤レンガパークも国際客船ターミナルもなかった。こうして過去と比較すると、港・歴史を活かした横浜は人を引き付ける魅力を備えている。

 都内。近所にある大手スーパーの食品売り場を6日にのぞいた。ことしになって思うのは、おかず、弁当の種類およびその売り場面積が一挙に増えたことである。おかずは実にいろいろある。揚げ物、煮物など、種類が豊富で、ごはんさえ炊けば、今晩の食事の用意はできてしまう。一方、鮮魚の売り場は刺身以外は縮小され、調理人もいなかった。

 1人暮らしや少人数の家庭だと、料理に手間をかけるのが億劫だったりもする。このため、おかずを買ってすませる人が増える。スーパーなどは加工して付加価値をつけたほうが高く売れる。双方のニーズがマッチして、素材を家で料理するという”家庭力”が結果的に落ちている。平均的にみて個人の所得が増えない中で、おかずを買ったり、弁当を買ったりしていると、栄養的に偏りや不足が起きるおそれもある。

 デパートや専門店の入った駅ビルなどを見て驚くのは、女性のファッション関係の店が多いことである。よく閉店するが、すぐ類似の店が商売を始める。いまや、女性が生地や毛糸などを買ってきて、服などを縫ったり、編んだりすることは絶無に近くなった。年配者の一部を除けば、自分で繕うこともしない。

 庶民は既製品の衣料を買って身に付ける。破れたとか、流行遅れになったと思えば、繕ったり手直ししたりすることはせず、捨てる(リサイクルに回すこともある)。だから、割安と思えるものに手が伸びやすい。ユニクロ製品が売れる背景には、こうした”家庭力”の喪失がある。

 食にせよ衣にせよ、私たちは先祖から受け継いできた”家庭力”をほとんど喪失してしまった。しかし、私たちは、東北の大災害のような局面では、家事を営む能力がいかに大事かを知らされた。これからの日本が豊かになる一方ならよいが、さもなければ、個々人の”家庭力”が試される局面にぶつかるのではないか。

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『日本財政 転換の条件』(井手英策著)から

 日本の財政は、国の債務の対GDP比が先進国で最悪である。政府は財政健全化への道程をゴールデン・ウイークが明けたあとに詰めるようだが、従来、表明していた健全化目標をさらに先延ばしする可能性が高い。財政改革というと、歳出減と増税、それに経済成長という答えになるが、2月に出版された『日本財政 転換の指針』は、財政のそもそもの意味・役割から説いていて参考になる。以下にいくつかの論点を紹介する――

 財政の原理について:財政が目指すのは、低所得層が他者から承認され、尊厳をもって生きていける社会、そして、中間層がそのための負担を厭わない社会である。

 財政再建策について:予算の中身を変えるなら個別審査主義でなければならない。だが、日本的な予算風土では、それは難しい。それでシーリング(総額抑制)を導入した。この、支出構造を大きく変えることを諦めた点こそが日本の予算編成の特質である。

 増税について:人々は財政再建のための増税には強く反対している。受益なき負担増は強い抵抗を受け、さらに次の増税の足かせとなる。日本以外の先進国では、現金給付を抑制し、現物給付による生活保障へと力点を移すことによって、幅広い層に租税負担を求めることが可能になっている。

 公共事業の役割:日本の保守政治の底流には、社会保障等による「救済」ではなく、公共事業に代表される「働く機会の提供」を重視する思想があった。したがって、もしも公共事業を削減するのなら、それが果たしてきた社会経済的な機能をどこかで補完すべきである。

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2013年5月 1日 (水)

もどかしい電話での問い合わせ

 家で無線LANによってパソコンを使用しているが、新たにタブレット端末を購入した。連れ合いが家でインターネッを利用して、いろいろな情報を入手したいということが発端である。いざ量販店で購入したのはいいが、家で端末をいじったものの、無線LANがうまく接続しない。その原因がわからず、丸二日間、悪戦苦闘した。

 それで、関係のありそうな業者に相談しようと電話した。高速の光通信および無線LANを依頼した時の窓口業者(インターネットのプロバイダー)、工事を実施した通信大手のサービス窓口、ルーターのメーカー、そしてタブレット(やスマホなど)の開発・販売会社である。電話して一番いらいらするのは、こちらの用件に対する回答をもらうまでに時間がかかることだ。

 顧客サービスの部門に問い合わせの電話をかけると、まず何分も待たされる。3分ぐらいと言われたら、まずその2倍以上かかる(たまたまゴールデンウイークだからよかったが、普段だと、「ただいま混んでおります」というアナウンスの繰り返しで長く待たされる。30分待ったこともある)。案内につながると、まず「電話の内容を記録する」という説明があり、用件の内容に応じて電話のプッシュボタンの1とか2とかを押すようにとのガイドがある。その指示にしたがってボタンを押すと、また、次のどれか、該当するボタンを選んで押すようにと指示される。

 このように、担当者と電話で話せるまでがとても遠い道のりである。今回のように、あちこちに問い合わせをすると、肝心の用向きにたどりつくまでにいい加減くたびれてしまう。

 参ったのは、プッシュボタンを2、3回押したあと、あれこれのガイドがあり、その終わりのほうで「当社のホームページにアクセスし、……してください」との声を聞いたときだ。聞いたことがない専門用語をいくつか並べているので、2度聞き直したが、さっぱり理解できない。しかも2度目の聞き直しの終わりのほうで、電話がプツッと切れた。結局、この会社の人と、全く口をきくことができなかった。なんと無機質な応対であることか。

 無線LANの機器に問題があるのか、タブレット端末に問題があるのか。それとも、操作する私が何か間違えているのか。そんなことで、タブレット端末の開発・販売会社のサービス担当者とは電話で相談したうえで、都内にある相談窓口にアポをとって行った。そこにはおおぜいの相談者が来ていて、十数人の担当者がさばいていた。端末をチェックした結果、それには問題がないとの診断だったが、「ルーターなど無線LANの装置すべてを持ってくればチェックしますよ」と言ってくれた。これでホッと救われた気がした。

 タブレット端末などの商売では機器に操作マニュアルも付いておらず、人が応対して相談するサービスを行なっていない開発・販売会社がある。カネを出せば、量販店なども相談に乗ってくれるが、もともと顧客が使いやすくして売るのが望ましいビジネスのありかただろう。

 ネット時代で情報サービスの革新が進み、若い人でも使いこなすことが難しい。そして、ビジネスにヒューマン・タッチが乏しくなる一方なので、年寄りにはことさら生きにくい時代だと感ずる。しかし、そうした中で、顧客とのコミュニケーションを容易にして顧客を引き付ける逆商法も出てきていい。そんな思いがした。

 ちなみに、二日間、ばたばたした原因は、私の入力のやりかたが間違っていたことである。それに偶然気付いたのだが、そこにいたるまでも容易ではなかった。

 

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