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2013年6月 1日 (土)

国際労働運動の再編

 1年前の6月、3つの産業別国際労働運動組織が統合してインダストリオール(IndustriALL Global Union)が結成された。140ヵ国、350組織、5000万人におよび、日本からはUAゼンセン同盟、ICEM-JAF(日本化学エネルギー鉱山労働組合協議会)、JCM(全日本金属産業労働組合協議会)が参加している。

 4月下旬にバングラデシュの首都近郊の縫製工場が崩壊し、1100人以上もの労働者が亡くなったあと、、ベネトン、H&M、マークス・アンド・スペンサーなど欧米のファッション大手や小売り業者40社余りは、同国内の1000以上にのぼる縫製工場の防火・ビル安全協定(アコード)を結んだ。インダストリオールは、別の国際労働運動組織、UNI・Global・Unionとともに、労働者の安全を守るために安全協定の実現を促したという。企業のグローバル化に伴って、労働運動も変容を迫られているが、こうした視点からの報道は無きに等しい。

 たまたま国際労働運動に関わってきた人の話を聞いたら、こうした世界の動向の一端を知ることができた。日本の企業もグローバル化しているのだから、労働運動の視点からの世界の潮流をメディアには報じてもらいたい。それに、連合をはじめとする日本のナショナルセンターには、もっと世界の労働運動に積極的に参加し、引っ張っていってもらいたいと思う。

 インダストリオールができた背景には、経済のグローバル化がある。先進国の企業は活動拠点を途上国に移し、先進国の雇用は失業者の増大や不安定雇用が広がっている。つれて、国内の労働組合も組織率の低下などに直面している。また、グローバル企業が事業内容を柔軟に変えているのに対し、従来の産別労働組織ではそうした企業の事業構造変容に対応しきれなくなっている。

 このため、サプライチェーンの観点から、企業の事業展開に対応した労働運動組織に改めたのがインダストリオールだとも言える。同組織は、繊維、自動車、化学、エネルギー、情報通信、電機電子、ガラス、セメント、紙パルプ、造船、鉱山など主要な産業の多くの労働運動を包含しており、グローバル資本に対抗するための組合組織の強化をめざしている。

 バングラデシュのビル倒壊に端を発するアコードは、先進国を中心とする国際労働運動組織が途上国の労働者の労働条件改善に協力するという意義がある。グローバル企業が当然のごとく、より低い賃金を求めて生産拠点などを途上国に移していくことに、労働運動の立場から”異議”を申し立てたという解釈もできるのではないか。国際的な共闘も始まっているので、インダストリオールの活動は要注目だ。

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