« 2013年6月 | トップページ | 2013年8月 »

2013年7月31日 (水)

10年以上前から予測されていた猛暑や豪雨・洪水など

 この夏の暑さは記録的なもの。日本の各地で摂氏35度以上になるところはざらだ。中国の上海では40度を超えるときもあるという。体温よりも高くなったりするのだから、熱中症で倒れる人が出て当然である。

 今年の日本の夏は、北から南まで猛暑に襲われ、また、1時間に100mmを超すような局地的豪雨によって河川が氾濫し、住宅の床上浸水などが起きたりしている。明らかに日本は「南の国」化している。

 世界的にも、西欧、アジアなどあちこちで豪雨による洪水があり、大きな台風や竜巻による被害も米欧などでちょくちょく発生している。山火事も米国などで起きている。

 こうした現象は、地球温暖化が世界的な焦眉の課題となった1990年代から予測されていた。経済成長、人口増加などを背景に、石油・石炭などの化石燃料消費が増え、二酸化炭素の排出量が増えると、地球温暖化が進むというわけである。

 このため、国際的に京都議定書など、温暖化対策が打ち出されたが、米国、中国などがアウトサイダーだったため、二酸化炭素など温室効果ガス排出量は増える一方。2012年以降は、実質的に国際的な温暖化対策は行われなくなっている。日本が”フクシマ”で温暖化対策の推進役を降りたことがその1つの要因になっている。

 2000年ごろは、北極海の氷が溶けることに地球環境の観点から懸念が示されていた。しかし、いまは船舶航行や資源開発の面からプラスに受け止めるようになっている。世界は地球温暖化問題への取り組みを半ば放棄した感じだ。

 このため、ボルネオなどで違法に熱帯雨林を焼いてパーム油生産用に充てる動きがさかんであるなど、温暖化ガス吸収に不可欠の森林保存も容易ではなくなっている。

 経済発展により二酸化炭素排出量で世界一となった中国は、環境保全対策が企業のコスト負担となり、競争力を弱めると判断してのことか、地球温暖化対策に消極的。ついでに言えば、年初に顕著だった中国のPM2.5(微小粒子状物質)は健康を害するほどの高濃度で大気を汚染している。それが冬場に、西日本にまで及ぶほどだ。

 今年の夏の暑さの背景には、このように、世界の国々が温暖化の恐ろしさをまともに受け止めていない現実が存在する。このままでは、年を追って異常気象がもっと荒々しくなるのだろう。災害の犠牲も復興費用も増加の一途をたどるのではないか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年7月28日 (日)

消費税引き上げを国民にわかってもらう努力がうかがえない

 来年4月に安倍内閣が消費税を引き上げるかどうか怪しくなってきた。消費税の引き上げで消費が落ちる可能性が大であることは誰もがわかっている。それなのに、安倍政権は、消費が落ちるおそれが強いときは消費税引き上げを先に延ばすかもしれないという。

 日本財政が先進国で最悪の状態にあることは広く知られている。むしろ、それで、いままでよく破綻しなかったなあというのが先進諸国の本音の日本観ではないか。にもかかわらず、肝心の日本政府は、毎年、税収に匹敵する国債を発行して、税収の倍近い歳出を維持してきた。しかし、ここまで財政状態が悪化したのだから、もうあとがない、財政再建に取り組むべきだ、というのが欧米やIMFの本音だと思われる。

 普通に考えれば、自民党は参院選で勝利し、3年間は自民・公明両党の安定政権を約束されたようなもの。したがって、安倍政権は国際公約もあり、財政再建に真っ先に取り組むのが当然だ。それなのに、なんと、財政再建の初めの一歩である消費税引き上げにびびっているのである。これは、安倍首相が内閣の宿題として、安全保障や外交を重視し、財政再建に取り組むのは政権の基盤を弱めるだけと思っているからではないか。

 財政危機を打破するには、増税、歳出の削減・効率化、経済成長(による税収増)が必要である。社会保障制度の整備・効率化はそれらに含まれる。そして、それらを実現するには、「良薬は口に苦し」、国民が理解し、支持してくれることが欠かせない。

 だが、安倍首相は、国民に厳しい財政状況を理解してもらい、増税や歳出カットなどの犠牲をお願いするという努力をしない。それどころか、参議院選挙でふりまいたバラマキの公約を果たすため、財政支出を膨らまして自民支持層のご機嫌をうかがっているようにみえる。こうした政治は、昔の自民党のやりかたで、およそ財政破綻を避ける努力とは正反対だ。

 28日の朝日新聞のコラム「波聞風聞」(原真人編集委員)で、「この期に及んで日本が2015年に消費税を10%にできなければ」、金融市場はパニックに陥るだろう。「その衝撃と混乱の大きさは増税の影響の比ではないのではないか」と指摘している。コラムの末尾に、そうなったら「海外に移住するか、預金をすべて外貨にしますよ」というあるエコノミストの言葉が引用されている。ありえないことではない。それも1、2年のうちにだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年7月24日 (水)

経済財政白書の財政健全化に関する言及

 平成25年度経済財政白書が発表された。その中の「第3節 財政・社会保障の現状と財政健全化」に目を通した。財政健全化に関する記述でいくつかを紹介すると――

・国債利回り(10年)が、「平成25年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」の前提よりも2%上昇した場合、利払費は14年度2兆円、15年度4.9兆円、16年度8.2兆円増加する。(消費税の1%引き上げで、2.7兆円の税収増だと仮定すると、消費税を上げても利払費増に相当食われることがわかる。)

・海外投資家は国債の先物市場で約4割の売買シェアを占める。現物市場では1割から2割にとどまるが…。彼らは流通市場で一定の影響力を持っている。(超低金利が永続するなどと安心することはできない。)

・リーマンショック後、欧米各国は積極的な財政支出を行なったが、ほとんどの国で、政府支出の拡大は2009年頃までに終わり、その後は歳出削減が進められた。(日本は東北大震災の前から歳出削減らしいことはほとんどしなかった。参議院選挙を終え、歳出増を求める与党の圧力は強まるだろう。)

・ソブリンリスクが顕在した国では、経済が低迷しているなかでも財政健全化策を実施せざるをえず、実質GDPが減少した。他方、英国、フランス、ドイツ、アメリカでは、財政収支を改善させる中で実質GDPも増加した。こうした事例にかんがみれば、財政健全化と経済成長を両立させることも可能と考えられる。(安倍政権もそれを望んでいるが、世界一の借金大国、日本で成功するためには、財政規律がカギとなる。)

・日本は高齢化のペースが早い。このため、財政健全化においては、社会保障制度の徹底した重点化・効率化などを通じた改革が重要な課題となっている。

・社会保障制度を長期的に持続させるには、公的社会支出を重点化・効率化するか、あるいは国民負担を増やすか、もしくは、両方をうまく組み合わせることが必要と考えられる。

・財政状況が極めて悪化した国では、歳出削減や所得税などの増税と併せ、付加価値税率を上げざるをえない例もあった。日本がこのような事態に陥らないためにも、経済再生と財政健全化の両方に向けた取り組みを着実に進める必要がある。(これはいくら強調してもし足りない。単なるお題目にしてはなるまい。)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年7月22日 (月)

野党は反自民で足並みを揃えよ

 21日の参議院選挙は自民党の圧勝だった。いまの日本は国内外で多くの難題を抱えている。その中で、”アベノミクス”なる経済政策を提示して、長年のデフレから脱却しようと訴えた安倍首相率いる自民党が国民の気持ちを引き付けたのだろう。

 野党勢力は主要な課題に関してまちまちの主張をした。反自民の一大勢力を結成することもなかったから、お互いの足を引っ張るような格好だった。有権者としては、この課題ではX党、別の課題ではY党……の主張に賛成ということで、野党に投票したくても、どこか一つの政党・候補者にしぼって投票することが難しかったのではないか。投票所に足が向かわないということもあったのだろう。結果として、自民党および公明党の楽勝に終わったのである。

 したがって選挙結果から明らかなことは次のことである。すなわち、凋落したとはいえ、民主党が第二党であり、同党を含め、みんなの党、日本維新の会、日本共産党といった、今回の選挙で伸びた政党が政策テーマごとでいいから、結束して与党にあたる必要がある。野党が反自民統一戦線を築き、政策ごとの協調を推進することが望ましい。違いを言い立てるよりもとにかく合意し、協調できる部分を探し出すことだ。

 自民党・公明党の与党の中でも、当たり前のことだが、国会議員一人ひとり意見の違いがある。それを一つにまとめていくことが安倍首相のリーダーシップである。しかし、何もかも首相の思うようにはならない。それが民主主義政治である。そして、野党の政治家が無責任にただただ反対を唱えているようでは、民主政治が形骸化する。

 日本の将来を考えると、いまはいろいろな面で大きな岐路に立っている。経済、財政、安全保障、社会保障などの重要なチャレンジで誤った政策を選択すれば、即、日本の凋落につながるおそれが少なくない。こうした客観情勢を与野党を問わず、政治家が皆、きちんと理解、認識することを切に望む。 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年7月18日 (木)

政治家はかくあれかし

 パリにはヴェリブという自転車貸し出しのシステムがある。2年前に訪れたとき、パリは無論のこと、それ以外の都市でも貸し出し自転車の置き場を見かけた。中国でも、数年前、浙江省で見た。事故を起こし、資源を大量に使い、環境汚染を起こすなど社会的な問題を抱えるクルマ社会に比べると、自転車は優しい乗り物である。

 日本では、自転車が歩行者にぶつかって死傷させる事故が少なくないし、最近、裁判でぶつけた側が多額の損害賠償の支払いを命じられたりして、自転車の社会的な存在意義はあまり評価されていないようにみえる。しかし、中長期的にみれば、欧米だけでなく、アジアでも始まった自転車貸し出し制度を日本でも導入することが望ましい。問題は、そうした潮流を引き起こそうとする政治的リーダーが日本にはいないことである。

 政治家は理想を掲げ、岩をもうがつ強固な意思と実行力を備えていてほしい。しかし、参議院選挙でも明らかなように、政党、候補者のほとんどが「あっちの水は苦いよ、こっちの水が甘いよ」といった類の公約や演説をするだけだ。日本の国内外をめぐるさまざまな厳しい現実を訴え、どういう国、社会をつくっていくか、そのためには何を耐えなければならないのか、といったことからほど遠いのである。政党、候補者の人たちは、適当に有権者をだまくらかしたら勝ちだ、と思っているのだろうか。あるいは、局部しか見えず、全体を見る鳥の目を持たないために、この国は、自分が言う通りにしていたら、うまくゆく、と錯覚しているのだろうか。

 ヴェリブの誕生(2007年7月)には、すぐれた政治指導者の存在があった。NPO法人自転車活用推進研究会の小林成基事務局長によると、パリ市のドラノエ市長は、制度実施の1年前に市民アンケートをとったが、「街中に自転車があり、自由に使えるのは便利だと思うか」に対し、99%が反対したという。それでも、市長は、「失敗したら2008年3月の市長選挙で投票してくれなくてもいい」とまで言って、導入に踏み切ったという。また、導入当初、慣れないため、街中が大渋滞し、市長に対するリコール運動まで起きた。しかし、その後、利用者が増え、大成功となり、次の市長選挙では圧勝したという。(『かたつむり通信』2013年7月号より)

 ここに政治の指導者のあるべき姿がみえる。自らの政治的生命をかけて、理想を追求する。そのためには有権者にとことんわかってもらう努力をする。それでも、わかってもらえないときがあるが、そのときは敢然と理想の実現に身を投ずる。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年7月11日 (木)

埼玉県民共済の退職給与引当金問題

 埼玉県が埼玉県民共済生活協同組合の役員の退職給与引当金が多すぎるとして、引き下げるよう指導しているという。常勤理事の退職引当金だけで6億6千万円余になるのが、公共性、公益性の観点から多すぎるということのようだ。

 読売新聞の記事によると、正木萬平組合長理事は「総代会に提案するなど手続きは踏んでいる。株式会社だったら、私が100億円もらっても足りないぐらいじゃないか」と反論したという。正木氏は何を言っているのか、不審に思って、少し調べたら、事情がわかってきた。

 正木氏は2010年に渋沢栄一賞を受賞している。受賞理由は「日本で初めて年齢や性別に関係なく掛け金も保障も一律で格安な掛け金の「生命共済」事業を開始するなど画期的なビジネスモデルを構築した」ことである。

 埼玉県金属労組の書記長だった同氏は、1973年に県民共済生協を設立した。そして、共済事業のコストにあたる人件費や物件費の割合をぎりぎりまで引き下げ、資産の運用収入で賄えるようにすることをめざしてきた。近年は共済金と割戻金との合計が掛け金に占める割合(還元率)が96%余になっている。だが、一方で、新たにブライダル事業や紳士服事業にも手を広げている。

 このように正木氏は起業家(アントルプルヌール)精神に充ちている。県民共済の事業を起こし、発展させた功績は大きい。仮に、民間企業の創始者だとすれば、保有株式の価値が何十億円、何百億円になったかもしれない。「100億円もらっても足りないぐらい」という発言は、民間営利事業の創業者のような気持ちになってきている表れではなかろうか。

 非営利主義をかかげ、法人税、法人事業税、固定資産税の減免を受けている点で、県民共済は営利企業と立場が異なる。創始者、正木氏の功績はほかの常勤理事とは異なり絶大だが、いつの間にか、非営利の創業の精神からずれてきているのではないか。88歳という年齢からも、ワンマンで、諫言する者がいなくなっているような気がする。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年7月 7日 (日)

一宮競輪場廃止論の背景にある公営ギャンブルの衰退

 自治労がネットで、愛知県の一宮競輪場の存続を求める署名活動を呼び掛けている。一ヵ月ちょっと前、谷一夫一宮市長が今年度限りで競輪事業から撤退し、市営一宮競輪場を廃止するとの方針を表明したのに対し、自治労は雇用および地域経済にマイナスだとして「廃止は一宮市民に大きな損失」と反対しているわけだ。

 谷市長は、2010年度から市の一般会計への繰出金(つまり利益の納付)がなく、地方財政の健全化に貢献できていないこと、および、今後、収益の確保を見込みがたいこととを廃止の理由に挙げている。過去、555億円も市財政に貢献した一宮競輪事業だが、今年度は黒字が見込めても、中長期的に貢献は望めないという判断である。

 公営ギャンブルは地域経済にとってプラスなのか、マイナスなのか。存続すべきか、否か。一宮市は2009年5月に外部の有識者による「一宮市競輪あり方検討委員会」を設置し、2010年2月に報告書をまとめた。そして、その後の改革や情勢変化を受けて、2012年6月に再度、委員会を設置。ことし2月に報告書がまとまった。

 それらの報告書を通読してわかった最大のポイントは、競輪の斜陽化であり、ほかの公営ギャンブルも、競輪ほどではないにしても、軒並み衰退の傾向にあることだ。

 2011年度の全国競輪売上は6229億円で、2007年度より26%減った。ちなみに中央競馬は17%減、地方競馬13%減、競艇9%減、オートレース23%減である。競輪の来場者数は2007年度の814万人から2011年度は490万人と4割減。

 競輪の売り上げは1991年度に最高で1兆9553億円だったというから、上記の数字はバブル崩壊後の長期経済低迷を如実に反映している。また、どうやって調べたのかわからないが、来場者の平均年齢は1991年度に49.8才だったが、2009年度は57.0才と高齢化しているという。

 一宮競輪場では過去、従業員の削減、賃金引き下げなどを実施。所管官庁の経済産業省も全国共通で、開催枠組みの見直しや賞典費引き下げなどを行なったりした。そうした改革を踏まえても、一宮競輪の持続は困難だとみられるにいたったわけである。

 かつては地方自治体の財政に貢献した公営ギャンブルが、近年は地域によっては逆に自治体財政の足を引っ張るリスク要因になってきている。公営ギャンブル自体の良し悪しはさておき、デフレや庶民の余暇の楽しみ方が変わってきたことが、競輪の斜陽化を招いているのだろう。地方自治体財政と密接にからむ公営ギャンブル全体を俎上に載せた制度論議が案外、近い将来に始まるかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年7月 6日 (土)

社会保障と財政の持続性欠如

 5日付け日本経済新聞朝刊の「経済教室」で、大和総研の武藤敏郎理事長が社会保障制度の持続可能性をどうやって確保すべきか、を論じている。参議院選挙の政策の論点として取り上げられたのだが、その内容は極めて重大、かつ深刻なものである。立候補者も、有権者も、武藤氏の提起した問題に正面から取り組んで、日本の未来を明るいものにすることを切望する。

 武藤氏の主張は、大和総研が「超高齢日本の30年展望」と題して5月14日に発表したものの要約である。「持続可能な社会保障システムを目指し挑戦する日本」という副題が付けられている。

 それを読むと、「日本財政は、世界一の超高齢社会の運営をしていくにあたり、極めて低い国民負担率と潤沢な引退層向け社会保障給付という点で最大の問題を抱えてしまっている」と記されている。そして、財政赤字の縮小は、増税、歳出削減の実施と、家計消費や企業の投資の活発化とを同時に進めないと実現しないと述べている。

 「経済教室」に書かれているように、現行社会保障制度の負担と給付を続けると、基礎的財政収支(PB)は悪化し続け、2040年度末時点の公債残高は2700兆円、GDPの2.8倍に達すると予測されている。そこに至る前にとっくに国の財政は破綻しているはずだが、ギリシャなど南欧諸国の危機状況をはるかに上回る深刻な事態になっていよう。

 武藤氏は年金支給開始年齢の引き上げなどから成る「改革シナリオ」だけではPBの黒字定着にはいたらないとして、医療費の自己負担割合を全国民一律に3割とするなどの「超改革シナリオ」を提示している。「課題の本質は社会保障制度の持続可能性を確保することにあり、財政収支の改善はその結果である」と武藤氏は指摘している。

 財政危機や社会保障制度の持続性確保などは、短い選挙運動の期間中には取り上げにくいテーマだが、選挙中も選挙後も、ずっと国政の中心テーマの主なものであるべきだ。それを国民にきちんと訴える、そして国民もそれに耳を傾ける、という日が一日も早く来るよう願っている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年7月 4日 (木)

カネを使う選挙公約ばかりでは、国はもたない

 参議院選挙が4日公示された。各政党はあれこれ公約をかかげて有権者の支持獲得に懸命だ。自民党と公明党は参議院の過半数を占めないと政治が進まないとして、与党候補者への投票を呼び掛けている。参議院の野党が単なるいやがらせとしか思えない行動をとったりするからだが、与党が衆参両院の多数を占めるのがよいことだというのなら、参議院はなくていいように思えてくる。

 それはさておき、選挙戦で各政党がさまざまな主張や公約を述べているが、財政再建を正面から取り上げる政党がないのは残念である。約1000兆円の借金を国が抱えていて、先のG8では、アベノミクスもいいが、財政再建に取り組むよう要請されたばかりだ。

 いま、財政再建を唱える民主党は、政権の座にある間、財政健全化どころか、毎年、何十兆円も国の債務を増やした。そして、自民党、公明党の連立政権もまた、大盤振る舞いの国家予算で財政危機に拍車をかけている。成長戦略によって経済成長を図り、税収を増やすという路線は結構だが、大震災の復興予算について、適正な支出にとどめるためのチェックが効いていない。

 また、生活保護費の不正な給付をとめる手立てをとったのはいいが、介護、医療などの給付を膨らむがままにして、過剰な請求を容認している。

 2012年度一般会計で1兆2900億円の剰余金が出た。法人税や所得税が予算を上回ったからである。喜ばしい限りだ。全額を国債発行額の削減に充てるべきだろう。経済成長で税収がふえても、すぐ補正予算の財源にということでは、財政健全化につながらない。

 霞が関の官僚たちは、天下国家の観点で行政にあたるというよりも、自らの属する部署、省庁の利益しか考えない者が多い。また、地方自治体の役人も同様で、国の財政がどうなるかを考慮することなく、所属する役所の利益を優先する。国会議員も、地方議会議員も、似たり寄ったりだ。したがって、いまのままでは国家財政が破綻するまで、つまり行きつくところまで行ってしまうだろう。

 それを改めるには、国会議員が財政危機の実態やその意味を正しく理解して、役人の掌で踊ることなく、財政改革を進めること、同時に、国民に財政健全化が必要不可欠であることをわかってもらうよう懸命に努めることが求められる。容易なことではないが、国会議員にはそれを期待する。ばらまき的な公約を唱える参院選候補者にはノーを。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年7月 1日 (月)

中国で使われる「愛国」という言葉は日本語の借用とか

 7月1日の読売新聞朝刊「翻訳語事情」(苅部直さん)によると、中国のデモで掲げられたりする「愛国無罪」というスローガンの「愛国」は、日本からの輸入だという。

 中国の漢語の本来の意味だと、愛国は統治者が人民を慈しみ、養うことだという。これに対し、日本では、明治以降、「忠君愛国」という形で国民道徳を説く基盤に使われるようになった。こうした日本独特の言葉の使い方を、いまの中国人は真似て、日本を批判しているのだという。

 日本は大陸中国から漢語を輸入し、それを日本語の世界に巧みに取り込んだ。平仮名、片仮名はその典型である。そして、明治以降、日本が中国より先に西欧文明を採り入れたため、中国は日本の単語をそのまま採り込んだりすることも少なくない。

 このように古代中国の発明した漢字を用いる点で日中は文化的に深いつながりを持っている。しかし、同じ漢字圏ということで、相手の国の言葉や表現を誤解するということも起きる。例えば、「国有化」という言葉が意味するものが、日本と中国とでは異なるのに、中国が一気に態度を硬化させたのも、それにあたる。

 隣人(国)関係は近いがゆえにむずかしいことが多い。漢字を発明した中国に日本が歴史的に負うことは少なくないが、中国が宗主国のようなつもりで日本などの近隣諸国に対するのはどうかと思う。”大国”なら、謙虚さが欲しい。「愛国」の話から、そんなことを思ったりする。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年6月 | トップページ | 2013年8月 »