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2013年7月18日 (木)

政治家はかくあれかし

 パリにはヴェリブという自転車貸し出しのシステムがある。2年前に訪れたとき、パリは無論のこと、それ以外の都市でも貸し出し自転車の置き場を見かけた。中国でも、数年前、浙江省で見た。事故を起こし、資源を大量に使い、環境汚染を起こすなど社会的な問題を抱えるクルマ社会に比べると、自転車は優しい乗り物である。

 日本では、自転車が歩行者にぶつかって死傷させる事故が少なくないし、最近、裁判でぶつけた側が多額の損害賠償の支払いを命じられたりして、自転車の社会的な存在意義はあまり評価されていないようにみえる。しかし、中長期的にみれば、欧米だけでなく、アジアでも始まった自転車貸し出し制度を日本でも導入することが望ましい。問題は、そうした潮流を引き起こそうとする政治的リーダーが日本にはいないことである。

 政治家は理想を掲げ、岩をもうがつ強固な意思と実行力を備えていてほしい。しかし、参議院選挙でも明らかなように、政党、候補者のほとんどが「あっちの水は苦いよ、こっちの水が甘いよ」といった類の公約や演説をするだけだ。日本の国内外をめぐるさまざまな厳しい現実を訴え、どういう国、社会をつくっていくか、そのためには何を耐えなければならないのか、といったことからほど遠いのである。政党、候補者の人たちは、適当に有権者をだまくらかしたら勝ちだ、と思っているのだろうか。あるいは、局部しか見えず、全体を見る鳥の目を持たないために、この国は、自分が言う通りにしていたら、うまくゆく、と錯覚しているのだろうか。

 ヴェリブの誕生(2007年7月)には、すぐれた政治指導者の存在があった。NPO法人自転車活用推進研究会の小林成基事務局長によると、パリ市のドラノエ市長は、制度実施の1年前に市民アンケートをとったが、「街中に自転車があり、自由に使えるのは便利だと思うか」に対し、99%が反対したという。それでも、市長は、「失敗したら2008年3月の市長選挙で投票してくれなくてもいい」とまで言って、導入に踏み切ったという。また、導入当初、慣れないため、街中が大渋滞し、市長に対するリコール運動まで起きた。しかし、その後、利用者が増え、大成功となり、次の市長選挙では圧勝したという。(『かたつむり通信』2013年7月号より)

 ここに政治の指導者のあるべき姿がみえる。自らの政治的生命をかけて、理想を追求する。そのためには有権者にとことんわかってもらう努力をする。それでも、わかってもらえないときがあるが、そのときは敢然と理想の実現に身を投ずる。

 

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