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2013年7月 7日 (日)

一宮競輪場廃止論の背景にある公営ギャンブルの衰退

 自治労がネットで、愛知県の一宮競輪場の存続を求める署名活動を呼び掛けている。一ヵ月ちょっと前、谷一夫一宮市長が今年度限りで競輪事業から撤退し、市営一宮競輪場を廃止するとの方針を表明したのに対し、自治労は雇用および地域経済にマイナスだとして「廃止は一宮市民に大きな損失」と反対しているわけだ。

 谷市長は、2010年度から市の一般会計への繰出金(つまり利益の納付)がなく、地方財政の健全化に貢献できていないこと、および、今後、収益の確保を見込みがたいこととを廃止の理由に挙げている。過去、555億円も市財政に貢献した一宮競輪事業だが、今年度は黒字が見込めても、中長期的に貢献は望めないという判断である。

 公営ギャンブルは地域経済にとってプラスなのか、マイナスなのか。存続すべきか、否か。一宮市は2009年5月に外部の有識者による「一宮市競輪あり方検討委員会」を設置し、2010年2月に報告書をまとめた。そして、その後の改革や情勢変化を受けて、2012年6月に再度、委員会を設置。ことし2月に報告書がまとまった。

 それらの報告書を通読してわかった最大のポイントは、競輪の斜陽化であり、ほかの公営ギャンブルも、競輪ほどではないにしても、軒並み衰退の傾向にあることだ。

 2011年度の全国競輪売上は6229億円で、2007年度より26%減った。ちなみに中央競馬は17%減、地方競馬13%減、競艇9%減、オートレース23%減である。競輪の来場者数は2007年度の814万人から2011年度は490万人と4割減。

 競輪の売り上げは1991年度に最高で1兆9553億円だったというから、上記の数字はバブル崩壊後の長期経済低迷を如実に反映している。また、どうやって調べたのかわからないが、来場者の平均年齢は1991年度に49.8才だったが、2009年度は57.0才と高齢化しているという。

 一宮競輪場では過去、従業員の削減、賃金引き下げなどを実施。所管官庁の経済産業省も全国共通で、開催枠組みの見直しや賞典費引き下げなどを行なったりした。そうした改革を踏まえても、一宮競輪の持続は困難だとみられるにいたったわけである。

 かつては地方自治体の財政に貢献した公営ギャンブルが、近年は地域によっては逆に自治体財政の足を引っ張るリスク要因になってきている。公営ギャンブル自体の良し悪しはさておき、デフレや庶民の余暇の楽しみ方が変わってきたことが、競輪の斜陽化を招いているのだろう。地方自治体財政と密接にからむ公営ギャンブル全体を俎上に載せた制度論議が案外、近い将来に始まるかもしれない。

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