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2013年7月11日 (木)

埼玉県民共済の退職給与引当金問題

 埼玉県が埼玉県民共済生活協同組合の役員の退職給与引当金が多すぎるとして、引き下げるよう指導しているという。常勤理事の退職引当金だけで6億6千万円余になるのが、公共性、公益性の観点から多すぎるということのようだ。

 読売新聞の記事によると、正木萬平組合長理事は「総代会に提案するなど手続きは踏んでいる。株式会社だったら、私が100億円もらっても足りないぐらいじゃないか」と反論したという。正木氏は何を言っているのか、不審に思って、少し調べたら、事情がわかってきた。

 正木氏は2010年に渋沢栄一賞を受賞している。受賞理由は「日本で初めて年齢や性別に関係なく掛け金も保障も一律で格安な掛け金の「生命共済」事業を開始するなど画期的なビジネスモデルを構築した」ことである。

 埼玉県金属労組の書記長だった同氏は、1973年に県民共済生協を設立した。そして、共済事業のコストにあたる人件費や物件費の割合をぎりぎりまで引き下げ、資産の運用収入で賄えるようにすることをめざしてきた。近年は共済金と割戻金との合計が掛け金に占める割合(還元率)が96%余になっている。だが、一方で、新たにブライダル事業や紳士服事業にも手を広げている。

 このように正木氏は起業家(アントルプルヌール)精神に充ちている。県民共済の事業を起こし、発展させた功績は大きい。仮に、民間企業の創始者だとすれば、保有株式の価値が何十億円、何百億円になったかもしれない。「100億円もらっても足りないぐらい」という発言は、民間営利事業の創業者のような気持ちになってきている表れではなかろうか。

 非営利主義をかかげ、法人税、法人事業税、固定資産税の減免を受けている点で、県民共済は営利企業と立場が異なる。創始者、正木氏の功績はほかの常勤理事とは異なり絶大だが、いつの間にか、非営利の創業の精神からずれてきているのではないか。88歳という年齢からも、ワンマンで、諫言する者がいなくなっているような気がする。

 

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