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2013年8月24日 (土)

中国の地方政府による農地収用の背景

 中国の農村に詳しい阿古智子東大大学院准教授が、地方政府の農地収用と財政運営について詳しく述べている記録を読んだ。日本記者クラブで7月11日に行なわれた会見である。興味深いので、紹介する。

 1994年の分税制施行により、企業や個人が政府に収用された土地の使用権を得るには、土地使用権譲渡益や各種の税金を地方政府に納めねばならないことになった。もともと、農村部の土地は村などの集団が所有し、農民は土地経営請負権を持つ。しかし、公共の目的があれば、政府は収用によって集団所有から国有に変更する手続きをとり、非農業用地として開発できる。そういうことになった。

 この分税制施行によって、地方政府は農地を非農地に転用し始め、民間への土地使用権譲渡益など、土地・不動産関連の収入を増やした。この土地・不動産関連収入はいまや地方財源の4割を超えるほどになっているという。

 このように農地の非農地化を推進する地方政府はシャドーバンキングを通じて借金し、自らも高層ビルなどのハコ物をどんどんつくってきた。また、農民の中には、自ら、直接、企業と組んだりして非農地化を行ない、高層ビルなどを建設。レンタル料みたいなものを受け取るというケースもある。

 ところで、都市部の土地収用制度では、土地使用権譲渡金をその地の政府に納めることになっていない。したがって、農村部の地方政府で起きているようなことはないという。

 地方政府の土地収用に伴う補償金は少ない。土地を召し上げられた農民は都市部のスラム街に住むとか、売春をするとか、追い込まれていくという。

 中国の戸籍制度は農村と都市とで分かれており、都市部にいる農民工などは全体で2億人以上に達する。

 湖北省の農村の平均的収入を得ている農民だと、上海に移住すれば、ほぼ全員が生活保護の対象になるという。それほどに都市住民と農村のそれとは格差が大きい。容易ならぬ開きである。都市戸籍と農村戸籍とがいつまでも続く背景には、こうした事情があるようだ。

 

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