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2013年8月 8日 (木)

原発事故の終息まで電力自由化は慎重に

 東京電力福島第一原子力発電所の建屋近くの地下水が放射能に汚染され、大量に海に流出しているという。これまで汚染水を地上タンクに貯めてきたが、それ以外に海に流れる汚染水がたくさんあることが明らかになったわけである。

 このため、地下水が原発施設に流れ込まないように特殊な壁をつくることが検討されているようだ。朝日新聞によると、工事費は数百億円規模であり、国が費用の一部を負担することにしたという。

 3.11のフクシマ原発事故から2年半近いが、放射能汚染による被害からの回復や損害賠償がいくらになるか、炉心溶融を起こした原発を撤去し終えるのにいくらかかるか、運転再開が認められず廃炉にした場合の損失がいくらになるか、などの費用はある程度予測できようが、それらの費用を誰がどれだけ負担するかは全くわからない。

 目下、事故を起こした張本人、つまり東京電力が費用を負担するのが当然で、東電が背負いきれないとみられる費用を国がやむをえず肩代わりするしかない、というのが報道などで読み取れる方向である。

 しかし、目下、東電は抱える原発が多く、かつ、それらの事故の後始末、および運転再開の見通しが厳しいことから、その発電コストは他社よりも高くならざるをえない。電気料金も9電力のなかで一番高くなっている。

 そうした非常時に、電力の自由化が行われつつある。そして、中部電力が東電管内の三菱系の独立系電力会社を買収し、東電管内で販売競争をしかけるという。

 ということになれば、安く電力を売る独立系(ないし背後の中部電力)から電力を購入する顧客が出てくるのは当然だ。その結果、東電は顧客が減り、電力料金をさらに上げざるをえなくなる。そして、顧客が逃げる、という悪循環に陥る。”フクシマ”の後始末が終わらない中で、電力自由化するのは、東電のさらなる経営悪化を招き、国家管理に導く。要するに、税金の投入に至る。

 9電力体制は一蓮托生の仕組みだったはず。原発の導入も、国の原子力政策をバックに進めてきた。したがって、非常時のいまは、販売面からの自由競争は手控え、かつて、戦時中に全国の電力会社を一本化して日本発送電会社を設立したように、9電力を統合するほうが料金面からみて合理的ではないかとさえ思う。自然エネルギーによる発電を促進することも忘れてはならないが。

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