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2013年8月27日 (火)

医療費増の裏に”患者紹介ビジネス”とは

 朝日新聞が医療保険制度を悪用する”患者紹介ビジネス”を大きく報じている。訪問診療の診療報酬が外来の15倍と高い点に目をつけ、患者をまとめて医師に紹介した場合、診療報酬の2割とかを医師から受け取るというもの。「医は算術」などと昔から言われてきたが、開業医などの欲につけこんで、患者紹介ビジネスを生み出した連中の悪知恵には感心(?)する。

 いまの日本の医療保険制度にはさまざまな問題点がある。まず過剰診療・過剰投薬である。国が運営する医療保険は、ヤブ医者であろうと、名医であろうと、基本的に同一料金であり、検査づけなどで診療報酬を増やそうとする傾向がある。また、高齢者は費用自己負担が1割とか、生活保護を受けている家庭は無料だとかのため、安易に医者に行くことになりやすい。厚生労働省は、医師がカネもうけに走ることはないという性善説に立っているので、医療保険制度の悪用を防ぐ仕組みづくりに必死に取り組もうとはしない。カルテの電子化がいまもって徹底しないのは、それを示すいい例である。

 グローバル化で、日本国内の企業競争は激しく、雇用情勢も厳しい。このため、振り込め詐欺などのように、悪質な犯罪が増えている。政府が震災復興などに投じている国費も、悪質な事業者の食いものになったりしている。巨額の医療保険を悪用する行為が増えるのも、厳しい経済・雇用事情を反映したものと言える。したがって、社会保障給付がGDPの4分の1にまで膨らみ、このままでは財政破綻が近いという現実を直視して、抜本的な社会保障制度改革を推進する必要がある。医療保険制度の改革もその重要な柱である。

 日本の医療保険は誰でも医療を受けられる制度で、世界に誇れるものといわれる。しかし、医療保険に投ずる国の歳出は増え続け、財政赤字増大の大きな要因となっている。このため、現在の医療保険制度を根本から洗い直して、医療関係の歳出を縮減することも重要な課題となっている。21日に安倍内閣が閣議決定した社会保障プログラム法案は、医療に関しても給付抑制の中身が乏しい。法案がまとまったのは、社会保障制度改革の初めの一歩とみなすことができなくはないが、内容から見ると、財政破綻の危機はさらに深まる。

 

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