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2013年8月 6日 (火)

社会保障制度改革国民会議の報告書

 年をとるにつれて医者通いが増える。あちこちの病院や街の医者、そして薬局に行くようになると、見えてくるものがある。検査がよくあること、それに、処方される薬が多いことがままある。個人的な経験だと、3か月ごとに病院の眼科に通っているが、毎回、必ず視力検査を受ける。看護婦が担当しており、それが終わってから、医師の診察を受ける。年に一度ぐらい歯科に行くと、X線の撮影をされる。

 医師が書いた処方箋を、病院の周りにある薬局に持っていく。薬剤師は「どんな様子ですか」などと話しかけてくる。薬の効能などについてはすでに医師から聞いているので、特に薬剤師から教わることはまずない。しかし、薬局は、薬剤師が患者にどうってことない話をするだけで何百円という収入になる。医薬分業を実施した結果、病院の周りにいくつも薬局ができたのは、処方箋に基づく薬の販売にうまみがあるからだ。

 医療、介護、年金、少子化対策といった社会保障制度の改革を議論してきた政府の社会保障制度改革国民会議が5日、報告書を発表した。社会保障の総費用は年間およそ100兆円にも達し、いまなお年々3兆円増えている。しかも、国の一般会計で、社会保障制度関連歳出は税収に近い規模に及ぶ。これで、国の財政が順調に回るわけがない。そのツケが国債の大量発行である。今回の報告書は、社会保障制度を充実し、それを持続可能にするため、消費税増税で財源を増やすとともに、給付の重点化・効率化を図るよう求めている。

 しかし、社会保障制度や、それを支える財政制度に対して、従来、繰り返し指摘されてきた問題点が素通りされているという印象を受ける。例えば、医療費に関して言えば、カルテの電子化を早急に徹底し、過剰な検査、病院ごとの検査、過剰な投薬などをチェックする仕組みを完成する必要がある。

 また、中小企業に対する消費税のいわゆる益税化を是正しなければならないというようなことは触れられていない。消費税の引き上げに伴い、実施すべきだろう。

 報告書は、こうした既得権にからむ改革を避けて通っている。国民会議のメンバーは社会保障分野の学者、専門家が中心であり、財政、税制などを踏まえた総合的な視点でどこまで議論したのか疑わしい。

 社会保障制度および経済制度とは一体で議論し、政治が焦点を絞るべきだろう。その意味で、今回の報告は、あくまで叩き台として国会で参考にされる程度のものである。

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コメント

薬局が乱立しているのに、成り立っているのはおかしいですよね。本来なら小規模の薬局では採算がとれるはずはない。医院ごとに存在しているのは、不合理ですね。

投稿: 中村仁 | 2013年8月 7日 (水) 10時39分

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