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2013年11月14日 (木)

即時原発ゼロを求める小泉発言

 小泉純一郎元総理大臣が、わが国の原子力発電所を即時、廃止するよう求めている。そして、安倍首相が決断すれば、それが実現するとの考えを示している。名指しされた安倍首相はそれに応じない。だが、郵政民営化を唱え、それを実現するために国会解散まで行なった信念の人の発言だけに、政界だけでなく、反原発運動などにも波紋が広がる可能性もある。

 小泉氏はフィンランドで建設中の高レベル放射性廃棄物の処分場を視察したことで、核ごみの後始末が困難なこと、つまり「トイレなきマンション」の本質的な問題点に気付いたようだ。しかし、原発をゼロにしたあとのことは「必ず智恵のある人がいい案を出してくれるというのが私の考え」と言うだけ。そこが物足りない。郵政民営化のときと同様、説得力が足りないように思う。

 おりからCOP19(第19回国連気候変動枠組条約締約国会議)がワルシャワで始まったところ。これまでの地球温暖化対策では、温暖化の急速な進行を阻止できず、今世紀のうちに人類の生存を危うくする気候変動のさまざまな現象が起きると予想されている。

 燃やすと二酸化炭素が出る化石燃料と違って、原子力発電は温室効果ガスをほとんど出さないですむ。このため、原子力発電は、温暖化を抑える切り札として、多くの国で運転され、また新しく建設されている。一方で、ドイツは2022年までにすべての原発を停止する方針を打ち出している。そして、風力発電、太陽光発電などの、二酸化炭素を出さないエネルギーへ全面的に切り替えようとしている。

 こうした中で、日本の安倍内閣は原発依存を縮小していく方向を示しているが、それは日本においていちばん可能性が高い政策路線ではなかろうか。即ち、新規の原発建設はもはや日本では不可能である。反対を押し切ってまで新たに建設する力は企業にも政治にもない。

 また、いまの火力発電依存は環境対策上まずいだけでなく、化石燃料輸入による貿易収支の悪化をもたらしている。原発停止と火力再開は電気料金を引き上げ、需要者のエネルギーコストが上がっている。

 一方で、政府は経済的に原発に依存している地域の意向を無視するわけにはいかず、停止中の原発を厳しい審査を経たうえで再稼働させることになろう。

 「フクシマ」の後始末は何十年とかかる。それだけに、原発に関わる技術を保持する電力会社、機器メーカーなどが事業を継続し、競争力を持ち続けることが不可欠である。そうだとすれば、わが国の原発は徐々に縮小していくということになる。

 その一方で、政府は再生可能エネルギーの量的な拡大を進めるだろう。また、軽水炉と違って、圧倒的に安全性の高い原発の研究が進んでいるので、そう遠くない時期に、実用化されることも考えられる。

 小泉氏の発言は単純明快だが、こうした諸事情を踏まえて独自の発言をしてもらえたら良かった。

 

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