« 2013年11月 | トップページ | 2014年1月 »

2013年12月30日 (月)

スカイツリーから見た東京の姿

 東京スカイツリーを見に行ってきた。地上350mの高さにある「天望デッキ」から360度、景観を満喫した。さらに450mの高さのところにある「天望回廊」に行った。真下のほうを眺めると、さらに高いところに来たという実感がした。塔に上がったのは午後だったが、快晴で、遠くの山々がかなり見えたし、富士山もなんとか見ることができた。陽が沈む前あたりからは富士山の輪郭がはっきりしだした。

 スカイツリーの上から眺めた東京は、川と海のおかげで独自の景観を保っているものの、家屋・建物が360度にわたってびっしりと密集して地べたに張り付いているという感じがした。スカイツリーに近いところは低層の家屋・建物ばかりで、誰かが「墓石が果てしなく並んでいるようだ」と言っていたが、なるほど言い得て妙だと思った。

 巨大地震が起きると、東京都区部は大きな被害を受けるといわれている。スカイツリーの上から見ていると、地震であちこちに火災が起きたら、そう簡単に安全な場所に避難できないのではないか、と不安になった。住宅を耐火性の強いものにすること、必要に応じて道路を拡幅するなどが喫緊の課題である。それにからんで、住宅の高さ制限を緩和して、もっと建ぺい率も上げて、パリの建物のように高い家をつくるように強力に誘導したらどうか。オリンピックもいいが、巨大密集都市の東京を災害に強い街にすることは、将来世代への最高のプレゼントである。

 スカイツリーに直結したショッピングビル「東京ソラマチ」はファッション・雑貨、レストラン&カフェなどの店が三百数十にも及ぶ。このビルの中にチケットの売り場や並ぶところもある。したがって、一旦、このビルに入ったら、そこで食事、買い物などもすませる人がほとんどだろう。私が行った12月29日も、どのフロアも客で混んでいた。

 しかし、これだと、周辺の地元商店にほとんど客が行かない。ソラマチに地元の商店がたくさん入り、また、ソラマチと地元商店街とがつながっているような形態だったら、共存共栄、つまりWin Winが可能だったのでは、と思う。

 初めてスカイツリーにのぼった。しかし、押上駅から来て、どこで入場券を売っているのか、さっぱりわからず、あちこちで聞いたりして、やっと入場券を買う前段階としての登録券入手にたどりついた。要所要所に、わかりやすい案内表示をする必要がある。建築物としてのスカイツリーはすばらしい。日本の技術は誇っていい。しかし、顧客へのサービスとなると、まだまだ遅れている。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月27日 (金)

『暗闘 尖閣国有化』から学ぶこと

 尖閣諸島を石原知事の東京都が購入するという話に端を発し、野田首相の民主党政権が国有化(政府が購入すること)に踏み切るまでの経緯を詳細にフォローした本を読んだ。春原剛著『暗闘 尖閣国有化』(2013年7月20日刊)である。

 中国政府や中国共産党などの内部を直接取材できないから、もっぱら日本サイド及び米国の関係者に取材して書いたものだが、丹念に、かつ詳細に経緯や問題点を記述しているので、読み応えがあった。同書の中で、我々が心にとめておかなければならない指摘と思われる点を以下に記す――

 第一に、尖閣問題では、中国側の挑発に乗ってはいけないということだ。中国は尖閣に対する領有権を主張するため、公船を連日送り込み、軍用機を飛ばしたりする。自衛隊艦艇へのレーダー照射事件も起きた。そうした挑発に乗って日本側が対抗措置を講ずれば、中国側は日本を非難し、さらなる対抗措置をとろうとするだろう。

 富国強兵の道を邁進する中国は、尖閣などの対立で、場合によっては武力行使も辞さないという姿勢を打ち出している。ことし1月14日付けの「解放軍報」では、中国人民解放軍に「戦争の準備をせよ」との指示が出たことを報じている。

 第二に、日本はいざというときは日米安保条約がある、と米国を頼りにしている。しかし、米国は無人の小島である尖閣諸島の紛争で、世界第二の大国、中国と戦争することを望んではいない。まして、日本が米国の意に反する行動をとるようなときには、米国は日本を助けないだろう。国際情勢は無慈悲なものである。安倍首相による今回の靖国参拝は、日米安保条約を基盤とする日本の安全保障政策を危うくする可能性がある。

 第三に、安倍首相は自民党政権になってすぐ、民主党政権時代の対中政策を”弱腰外交”と評し、外交敗北と言った。しかし、民主党政権の防衛相だった森本敏氏は、民主党政権との違いを際立たせようとする「安倍政権は賢明でもなく、注意深くもない」、「中国は日本を挑発する口実を探しているのだ」と警告する。

 森本氏は防衛相だったとき、防衛省内でこう言った。「一度、領有権を主張したからには、中国はそれを実現するため、これから何十年もかけて我々に挑んでくる。その際、決して我がほうから中国を挑発しない。次に中国にも日本を挑発させるようなことをしてはならない」と。――

 安倍首相が就任して1年。自らの信念を貫くことを重視するあまり、日本国家および国民の平和と繁栄とをないがしろにしてしまうおそれはないか。2014年には日本の国民は大きな岐路に立たされるかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

安倍首相靖国参拝の危うさ

 12月26日、安倍総理大臣が靖国神社に参拝した。現役の総理大臣が靖国参拝をすれば何が起こるか、承知のうえで踏み切ったのだろう。

 しかし、首相談話で「中国、韓国に敬意を持って友好関係を築いていきたいと願っています」と言っても、友好関係どころか国交すら危うくしかねないことは明らかではなかろうか。首相は一国の運命を預かっているのに、自分の意見、主張を通すことを優先しているようにみえる。

 先日、平田オリザ氏の会見で、興味深い指摘があった。民主政治は対話(dialogue)に基づくもので、Aという意見とBという意見とが議論し、Cという新たな結論を導き出す。これに対し、対論(debate)は、Aという意見とBという意見とが、どちらが正しいか闘い、負けたほうが勝ったほうの意見に従う。そして、安倍首相の政治はこの対論だという。

 平田氏によると、日本人は異なる国、言語、宗教などの人たちを説得する対話の能力が欠けており、このままでは、グローバル化した世界で日本国は長くは持たない。そうだとすれば、安倍首相の靖国参拝は、周辺国との関係悪化をもたらし、日本の孤立、衰退への道となるかもしれない。

 自民党を中心とする与党は衆参両院の多数を握り、強引な政治運営を行なうようになっている。かつては党内に多様な意見があり、総理・総裁であっても、待ったがしばしばかかった。そうした良識派によるブレーキがなくなったいま、安倍首相の好き勝手に政治が行われるのは国益に背くことになりかねない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月25日 (水)

14年度予算(案)の一般会計は新規国債を41兆円も

 安倍内閣は24日、2014年度の予算案を決定した。一般会計は過去最大の95兆8823億円で、今年度当初予算より3.5%も多い。13年度補正予算案(5.5兆円)と合わせると100兆円を突破する。

 2014年度一般会計の歳出95.9兆円の内訳を見ると、社会保障費が30.5兆円と4.8%も増えるなど、歳出の抑制がろくに行なわれていない。金融の超緩和と財政の大盤振る舞いで景気を顕著に浮揚させようという安倍政権の意図がはっきりと見える。

 積極予算を裏打ちする歳入を見ると、新規国債発行額は13年度に比べれば3.7%少ないものの、41.3兆円に達する。しかし、消費税アップと景気回復を反映して、税収が13年度比16%増の50.0兆円見込まれるのであれば、税収増6.9兆円のできるだけ多くを新規国債の減額に充てるのが財政改革に資する政策だ。財政再建、つまり国債残高の削減は、税収が増えたときにやるべきものである。さもなければ、好況時も国債発行残高が増え続け、いずれ近い将来に破綻に至る。

 財政は本来、そのときどきの政治の重要テーマにそって歳出の中身が変わっていく。それに見合う財源の確保も、誰がどういう形でどれだけ担うかが争点となる。いまはまだ「play now pay later」、「先楽後憂」で、将来世代に負担を先送りしている。身の丈に合った暮らしへの転換を求められる時代になったのに、政治、政治家も、官僚たちも、高成長時代の思考から脱しきれないのである。そして現在の国民の多くも、それをよしとしている。

 しかし、それでは、子供たちや将来世代に暗い展望しか与えないことになる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月23日 (月)

ことしの後半、ずっと高値で推移する野菜

 ふだん、食材など日常の買い物を自分ですることが多い。大体、決まった店に行くので、生鮮食品の価格動向が実感としてわかる。今年を振り返って痛感するのは野菜の値段が高いことである。キャベツ、レタス、きゅうり、大根、茄子など、挙げれば実に多い。野菜ほどではないが、果物や肉、魚なども1年前に比べると概して値段が上がっているように感じる。

 例年、正月を控えて全般に値上がりするが、いまも、そういう流れになっていて、値下がりしそうにない。

 旬の野菜は供給増で安いのが普通だが、ことしの後半あたりから、旬であっても高値で推移している。株価ならそれもいいが、野菜が高いままというのは、消費者としては困る。なぜ、小売り価格が高位安定か、メディアもどこも原因を追究していない。個人的な推察では、酷暑や台風襲来などで野菜などのできが悪かったのかと思う。ハウス栽培が増えているが、そこにも天候異変が響いたのではないか。

 地球温暖化の進行で、世界中が異常気象の悪影響を受けている。赤道に近い地域に雪が降ったりするし、世界のあちこちで、豪雨のために川が氾濫し、山崩れが起きたりしている。石炭燃焼などで発生する二酸化炭素の排出増加で、今後ますますこうした異常気象による災害は増えると見込まれる。農作物などの収穫も打撃を受ける頻度が増すだろう。

 ところで、通常、景気動向を判断する場合、季節性などの変動要因を除去したコアCPI(生鮮食品を除いた消費者物価指数)を採る。日銀の金融政策も、コアCPIを物差しにしている。しかし、このごろの野菜の小売価格動向を見ていると、野菜の値段は季節要因で変動するという見方は適切か疑わしいように思えてきた。

 したがって、消費者物価上昇の度合を見るには、生鮮食品抜きのコアCPIではなく、小売物価総合指数のほうが適切に思えてくる。来年のことを言うと鬼が笑う。でも、来年の野菜の価格動向に注視したい。アベノミクスでは、値上がりは歓迎だろうが、どうなるか。

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月18日 (水)

政府は民間の事業活動に干渉しすぎる

 18日の日本経済新聞夕刊によると、安倍首相は、「補正予算案に盛り込んだ中小企業の設備投資を促す補助金を支給する判断基準として、賃上げ実施の企業を優先する意向を表明した」という。補助金支給の対象となる企業を選ぶときの審査項目の一つに、賃上げを加えるということのようだ。

 企業の内部留保が厚いのに、賃金を上げない企業が多いといわれ、政府は経済界に賃上げの実施を求めている。しかし、企業によって賃金水準がまちまちなのに、今回のように、賃金水準を無視して、賃上げをしたか否かで補助金を支給する、しないというのは、大ざっぱすぎる。もちろん、補助金支給の判断基準には商品・サービスの革新性といった要素もあるが、学者などで構成する評価委員会が、革新的な企業・事業を判定できるという発想自体もピントはずれだ。

 安倍政権になってから、政府がインフラ輸出を後押しするとか、産業、企業活動に特定の物差しをつくって”成長産業”を支援するといったターゲティング政策が顕著になっている。当然、国が資金援助をするという仕組みだ。

 しかし、財政危機に直面している日本国政府としては、カネをばらまく政策よりも、規制を撤廃して自由に競争させるほうが理にかなっている。

 そして、補助金で釣って賃上げを促すよりは、最低賃金設定の底上げを進めることのほうが、財政支出も要らないし、低賃金で働く人たちに広く均霑するだろう。

 政府がやたら介入する傾向は望ましくない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月16日 (月)

除染は何のため、誰のため?と問う多田順一郎氏

 日本記者クラブが16日に催した勉強会で、NPO放射線安全フォーラムの多田順一郎氏(伊達市市政アドバイザーなどを兼務)が”フクシマ”に関する「除染と線量」について私見を述べた。

 その中で、①除染は年間1㍉シーベルト以下まで達成したとしても”不完全な復旧”であり、したがって、除染で”原状回復”は不可能、②除染をしても何一つ新しい価値が生まれてこない、ゼネコンに札束が行くだけ、③年間1㍉シーベルト以下に除染しなくても、十数㍉シーベルトなら健康に暮らしていける、必ずや、少し汚染の残る環境と妥協して生きていく勇気が生まれるだろう、④線量の高い地域は除染せず、国が買い上げて、移住による再出発を支援するほうが合理的、と主張。

 また、中間貯蔵施設と県外最終処分についての政府の見解は悪しきリップサービスで、「国民の誰一人として、県外最終処分が実現できると思わないだろう」と批判、各市町村がそれぞれ小規模な産業廃棄物処分場を持つのがよいと提案した。いまの仮置き場について、住民は当初、危険なものだと思っていたが、実際にはそうでもないと思うようになっている、と指摘した。

 放射線安全フォーラムでは飯舘村の長泥地区で試験除染を実施した。そこから学んだことを踏まえて、除染で「農地の一番よい部分の表土を5cmも剝ぎ取って、山砂を入れるというようなことで、農地が水田として使えるとは思えない」、「山林では腐葉土層を剝ぎ取れば、大雨で山崩れしかねないし、山林から除染廃棄物を運び出す手段もない。収穫物に吸収されない方策をとるべきだ」などと語った。

 また、多田氏は、「数兆円の費用を除染に使ったものの、その効果ははっきりせず、首長選挙で現職が軒並み敗れていることに象徴されるように、住民の不満がうっ積している」と言い、その原因は東電賠償という枠組みをはめてしまった点にあると述べた。賠償である以上、原状回復が基本であり、除染して(住民が元通りの生活に)帰還することが唯一のシナリオになっているというわけだ。その結果、多くの人がこの除染という幻想にとりつかれ、宙ぶらりんに歳月を過ごしていると見る。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月13日 (金)

地球温暖化、今世紀の人類の行動は2100年に定常状態を実現するか

 エコプロダクツ展が12日から東京ビッグサイトで開かれている。初日は記念シンポジウムが行われた。講師の1人、安井至氏(独立行政法人 製品評価技術基盤機構理事長、元東京大学教授)は「今つくる地球の未来~2100年からのバックキャスト~」と題して講演し、地球温暖化がどのような悪影響をもたらすか、人類はそれにどう対処したらいいか、について語った。

 いまのような温室効果ガスの排出が続くと、2100年において人類の誰もが感じる状態は①気候変動が起きて異常気象が大変になっている、②海面上昇で農地が消失し、環境難民が出始めている、③自然破壊が起きて地域の食料供給が不安定、④渇水状態で日常生活が不便、⑤豊かさが感じられない社会だ――と安井氏は予測する。

 2050~2100年においても、気候変動・異常気象はかなり危機的な状況になり、生物多様性喪失も深刻だと地球破綻の姿を予測する。

 人類の生存に関わるこのような危機にどう立ち向かうか。2100年にまず定常状態を実現することを目標にしようと安井氏は語った。定常状態とは、ハーマン・デイリーが唱えた概念で、二酸化炭素などによる環境負荷を増やさない範囲での経済活動しか行わないことを意味する。地球温暖化に対して、安井氏は「ほぼ自然エネルギーだけの2100年」というわかりやすい目標を示したわけである。

 安井氏は、講演の冒頭で、人類史的なスコープで見ると、2100年はヒト(人類)の生存形態を変える頃だと述べた。「21世紀前半の人類の行動が引き起こした諸問題の解決が21世紀後半の最大の課題になって、最大限の努力をせざるをえない」とし、「その結果、気候変動、資源、生物多様性、食料などの問題の解決が実現し始める」、「また、地下資源からの離脱が試みられる」との視点を聴衆に提示した。

 講演の内容は、人類の将来について危機的な状況を予測しており、悲観的な気持ちになるが、技術屋さんのせいか、あえて多少なりとも楽観的になるようなシナリオを示しているように思えた。2050年といえば、あと30数年である。人類生存の危機が間近に迫っていることを世界のリーダーたちは無視しているのだろう、わが安倍さんも。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月11日 (水)

経済対策は財政悪化に拍車をかけるのでは

 最近の報道によると、安倍首相は「財政の悪化は財務省が言うほどひどくはない」という趣旨の発言をしたようだ。どんな文脈の中での発言か定かでないが、首相の経済対策への取り組みをみると、財政危機への認識が不十分だと思わざるをえない。

 政府は2013年度の補正予算案として5.5兆円規模の歳出を計画している。消費増税による景気の落ち込みを避け、かつ成長力の底上げを図るという。長年、停滞してきた日本経済を活性化するきっかけをつくったアベノミクスの”続編”ということだろう。

 しかし、筋論で言うと、13年度の予算を上回る税収は本来、国債残高の削減に充てるべきものである。景気が悪い時に国債発行でマクロの経済対策を行ない、景気が良くなって税収が増えたときに国債を償還するという考え方だ。景気が良くなっても国債を大量に発行し続けたら、国債残高は増加の一途をたどり、いずれ財政破綻にいたる。

 消費税の増税は、そうした財政悪化のトレンドに歯止めをかけるもので、首相は、国民に対し、歳出抑制などによる財政健全化がきわめて重要であることをよく説明しなければならない。

 国会で特定秘密保護法を強引に成立させた安倍首相は、国民に対する説明が足りなかったと事後的に反省してみせた。それと同様に、補正予算案の作成にあたっても、景気対策のことばかり言うのでなく、財政危機がより深刻化するという点についても、十分に説明し、国民の納得を得る必要がある。

 国の”借金”がGDPの2倍に達し、先進国の中で最も深刻な財政状態にある。そのことを国民に周知し、歳出を効率化したり、大幅に減らしたりする政策に転じなければならない。すなわち、サラリーマンの高所得者への課税を重くするとか、公共事業予算を減らす、農業予算を削減する、社会保障費のムダを削るなど、身の丈に合った財政政策にシフトすることが求められる。

 今回の補正予算案についても、そうした視点でとらえることが重要だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月 6日 (金)

数の力しか頭にない自民・公明

 特定秘密保護法案を衆参両院とも数の力で押し切る自民・公明両党の姿を見ると、いろいろなことを思う。

 1つは、これだけ重要な法律の案について、政権与党の中から異論が出て当然ではないかと考えるが、なぜか出てこない。所属議員が多く、派閥もある自民党において異論を唱える議員がいない。また、自民党の行き過ぎにままブレーキをかける公明党が今回、自民党にぴったりくっついている。どうしてか。

 先の衆議院選挙で、自民党では戦争を体験し、平和を重視する古参議員などが落選した。いまの国会の有力自民党議員は戦後世代であり、戦争体験などに基づく明確な主張や個性を持つ人が見当たらない。党首であり、総理大臣である安倍氏はタカ派的だが、彼の主張に従順についていく議員たちばかりだ。また、公明党はもともと宗教に根差す政党であり、普通の民主主義政党とは異なる。体質的に秘密保護になじんでいるから、疑問を持たないのだろう。

 日本はいま、重大な岐路に立っている。中国との関係をどうやって改善するか、少子高齢化の流れの中で、どうやって社会保障制度を持続可能にするか、それと関連して、財政危機をどう打開するかなど、難しい問題に直面している。このため、政府は国民に望ましい将来展望を示し、説得する必要がある。したがって、政治のリーダーの役割はきわめて重いが、こんなやりかたの与党・安倍政権には不安を感じてしまう。

 第2に、特定秘密保護法案には少なからぬ数の国民が疑問を抱いており、国会周辺デモのように、反対の意思を表す動きもある。衆議院、参議院とも、野党から問題点の指摘や第三者機関によるチェックが必要との指摘がなされている。それらを無視して、法案を通そうとする与党の議員は、自分の頭で考えることなく、上に言われた通りに動く軍隊のようにみえる。かつての自民党は党内に異論を抱え、それが活力の源泉にもなっていたが、その良き伝統が完全に失われた。小選挙区制の弊害?だろうか。

 また、安倍首相、菅官房長官、石破自民党幹事長ら指導層は、法案の問題点が指摘されても、ほとんど無視して、スケジュールを優先し、平然と「十分に審議が尽くされた」と言う。かつてなかった独裁ぶりだ。これでは自由民主党の党名が泣く。それに、うっかり自民党に投票したことを悔いている国民の声が聞こえてくるような気がする。

 第3に、与党は衆議院では委員会、本会議とも強行採決を行なったが、参議院まで同じやりかたをするとはどういうことか。良識の府とか言われる参議院がこれでは、存在の意義が疑われる。衆議院だけの一院制にして、費用を節減したほうがいいのではないか。そう毒づきたくなる。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月 5日 (木)

秋田の風力発電の見学とフォーラムに参加

 市民風車(風力発電所)「天風丸」を見に行ってきた。秋田県潟上市にあり、操業開始から、ことしで10年になる。男鹿半島の根っこにあり、秋田市中心部からクルマで30分ぐらいのところだった。

 「天風丸」以外に、「風こまち」(秋田市)、「竿太朗」(同)も見てきた。いずれも、日本海の強い風を受けてビュンビュン回っていた。途中、降りだした激しい雨と風がにわかに止んで、きれいな虹がかかったりしたのが印象的だった。これらの市民風車は、いずれも、おおぜいの市民が出資しており、タワーの下部に、出資者の名前が書いてある。

 これらの風力発電所を建設した主体は特定非営利活動法人北海道グリーンファンド。見学会の翌日は、秋田市内のホテルで、公開フォーラム「地域の資源を地域で生かす~これからの秋田の再生可能エネルギー」が開催された。主催はあきた新エネルギー研究会などである。参加して知ったこと、感じたことを記す。

①秋田県は鉱物、風、緑などの資源が豊富。ことし11月現在で115基の風力発電所がある(発電能力は3月現在13.9万KW)。北海道、青森、鹿児島に次ぐ第4位である。そして、新規計画は発電能力で31.0万KWにものぼる。また、地熱発電も全国で5カ所あるうちの2カ所が秋田県内にあり、今後も期待できる。農地に太陽光発電所をつくるという話もある。バイオマス発電はいまは水面下の動きだが、数万KWが入ってくるのではないかという。

②ただし、県内企業が主導する風力発電所建設計画は4分の1強にすぎない。地域の資源は地域(地元)の活性化に生かしたいという気持ちが県民に強い。風力発電では、維持管理業務が長期にわたる仕事で、かつ費用がかかるので雇用拡大につながること、また、自己資本に対し、使用資本が大きいので、金融面で地元の金融機関が活躍できることが強調されていた。

③生協関係者は、食べ物の産直に努めてきたが、”フクシマ”を経て、エネルギーについても産直に乗り出している。結果として、風力発電所を設置した地域との間で人の交流が生まれたりしている。

④たまたま、この2日間は、テレビでドラマ「オリンピックの身代金」を放映していた。いまから半世紀前の頃という設定だが、犯人たちは秋田県出身で、秋田県からの出稼ぎ者が東京などでいかにつらい目にあったか、という怨念が犯罪の背景にある。フォーラムでも、「いまだに出稼ぎせざるをえない。中央から自立しないといけない」という意識のもと、風力発電所の建設、メンテナンスなどに関する仕事を県外資本にゆだねず、地元で担うべきだという趣旨の発言が少なくなかった。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月 4日 (水)

本好きの遺した本の始末

 新潟県村上市と言えば、鮭塩引街道で知られる。でも、12月の初めにここを訪れたら、二階の軒先に塩引きした鮭を吊り下げている家が何軒かあっただけ。芭蕉が訪れた頃は各戸の軒先にびっしり並んでいたのではないかと想像した。

 そこから少し離れた商店街に足を運ぶと、ポスターで吉永小百合さんが「鮭」という大きな一文字の暖簾と一緒に写っている店Kがある。この店には観光客がおおぜい訪れ、店内にはたくさんの鮭がさかさに吊るされている。こうして干している鮭はざっと1000本という。

 大量に塩引き鮭をつくっている店はこの地域に15軒ぐらいあるそうで、上記の店を出て向かい側、斜め右のあたりにも1軒ある。Uという店だ。そこに隣接している鮮魚料理の店Iに入って昼食をとった。

 そこで驚いたのは、西側の壁一面がまるで図書館のようにたくさんの本が並んでいたことである。文学書と歴史書が多く、ハードカバーの本ばかりである。借りたい人には貸すという。若い女店員に聞くと、次のような経緯があった。

 中学か高校の英語の先生が亡くなり、家族が蔵書の始末で悩んでいた。そこで、この先生と同級生で親しかったここの地主が、蔵書を壁一面に収容できるような内装にした建物をつくった。地主は医者で、ほかのところで開業しているので、土地が空いていた。そこを有効活用しようとしたわけだ。隣のUの経営者も同じく同級生だったので、この建物の一角を借りてIという店を始めたというわけだ。

 店員によると、二階にも同様に蔵書を受け入れて並べているという。二階は見なかったが、こっちは歴史の先生が亡くなり、蔵書を受け入れたのだそうだ。

 以上、当の地主から聞いたわけではない話だから、誤解もあるかもしれない。

 ただ、年配者には書棚にある自分の書物に愛着があり、なかなか捨てられないという人が多い。私もそうだ。しかし、現実には、蔵書を古書店に持っていっても、売れないか、二束三文にしかならない。大学の教授が引退するとき、大学図書館に寄贈しようとしてもよほど貴重な書物でない限り、断られるのが普通と聞く。

 そんな中で、村上市の事例は、特殊なケースであるにせよ、本好きにとってはうれしい話だ。ネットで読める時代になったが、形があり、外観を眺める、手で持ち、ページを繰り、読むという本の持つ魅力は捨て難い。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月 3日 (火)

特例公債の急速な増加傾向

 国の国債残高、借入金および政府保証債務は今年9月末現在で1011兆円と大台を突破した。GDPの約2倍という驚くべき金額だが、発表後、ほとんど話題にもならない。

 そして、近く政府がまとめる経済対策(補正予算)も、来年春に行なわれる消費増税による需要減退にいまから備えるだけでなく、オリンピックや防災・安全対策などと銘打った公共事業、低所得者などへの現金給付など、大規模な財政支出となるようだ。国債という打ち出の小槌を安倍政権はフルに使おうとしている。

 財務省の資料によると、国債残高は今年度末に750兆円となる見込み。2008年度末に546兆円だったのが、わずか5年間で200兆円余も増える。年平均およそ40兆円の増加である。デフレで沈滞する経済を支えるために財政が出動するのはやむをえないが、経済構造の改革もなしに、いたずらにカネをばらまいていたという感は否めない。今年度末には、財政赤字を埋めるための特例国債の残高が481兆円と、年間のGDPとほぼ等しい数値レベルに達する。こうしたトレンドを変える必要がある。

 消費増税は少子高齢化する日本の経済社会をまともに運営するための基礎的な第一歩である。益税などを排し、税収を漏れなく徴収する体制が求められる。

 歳出については、無論、厳しく抑制する必要がある。社会保障費の効率化や削減は無論のこと、農業政策も減反をやめる代わりに別の形でばらまくようないい加減な政策をやめる必要がある。本能的に権限拡大をめざす官僚の予算拡大要求を抑えないと、国債残高の膨張に歯止めをかけることは難しい。

 安倍内閣はアベノミクスという名のもとに、官僚支配の拡大強化につながる政策を打ち出している。そして、それらに対抗する野党の政策らしいものが見えない。これから日本経済はどうなるのか。不気味な感じがするのは否めない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年11月 | トップページ | 2014年1月 »