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2013年12月27日 (金)

『暗闘 尖閣国有化』から学ぶこと

 尖閣諸島を石原知事の東京都が購入するという話に端を発し、野田首相の民主党政権が国有化(政府が購入すること)に踏み切るまでの経緯を詳細にフォローした本を読んだ。春原剛著『暗闘 尖閣国有化』(2013年7月20日刊)である。

 中国政府や中国共産党などの内部を直接取材できないから、もっぱら日本サイド及び米国の関係者に取材して書いたものだが、丹念に、かつ詳細に経緯や問題点を記述しているので、読み応えがあった。同書の中で、我々が心にとめておかなければならない指摘と思われる点を以下に記す――

 第一に、尖閣問題では、中国側の挑発に乗ってはいけないということだ。中国は尖閣に対する領有権を主張するため、公船を連日送り込み、軍用機を飛ばしたりする。自衛隊艦艇へのレーダー照射事件も起きた。そうした挑発に乗って日本側が対抗措置を講ずれば、中国側は日本を非難し、さらなる対抗措置をとろうとするだろう。

 富国強兵の道を邁進する中国は、尖閣などの対立で、場合によっては武力行使も辞さないという姿勢を打ち出している。ことし1月14日付けの「解放軍報」では、中国人民解放軍に「戦争の準備をせよ」との指示が出たことを報じている。

 第二に、日本はいざというときは日米安保条約がある、と米国を頼りにしている。しかし、米国は無人の小島である尖閣諸島の紛争で、世界第二の大国、中国と戦争することを望んではいない。まして、日本が米国の意に反する行動をとるようなときには、米国は日本を助けないだろう。国際情勢は無慈悲なものである。安倍首相による今回の靖国参拝は、日米安保条約を基盤とする日本の安全保障政策を危うくする可能性がある。

 第三に、安倍首相は自民党政権になってすぐ、民主党政権時代の対中政策を”弱腰外交”と評し、外交敗北と言った。しかし、民主党政権の防衛相だった森本敏氏は、民主党政権との違いを際立たせようとする「安倍政権は賢明でもなく、注意深くもない」、「中国は日本を挑発する口実を探しているのだ」と警告する。

 森本氏は防衛相だったとき、防衛省内でこう言った。「一度、領有権を主張したからには、中国はそれを実現するため、これから何十年もかけて我々に挑んでくる。その際、決して我がほうから中国を挑発しない。次に中国にも日本を挑発させるようなことをしてはならない」と。――

 安倍首相が就任して1年。自らの信念を貫くことを重視するあまり、日本国家および国民の平和と繁栄とをないがしろにしてしまうおそれはないか。2014年には日本の国民は大きな岐路に立たされるかもしれない。

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