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2014年2月28日 (金)

予算案をいっさい修正しないで通すのが適切か

 衆議院では2月28日、平成26年度一般会計予算が成立した。これで参議院の審議・議決がどうあろうと、26年度の一般会計予算は政府案通りに執行される。年度内成立を目指していた安倍内閣の意向が実現した。

 だが、70時間余り審議したとはいえ、野党の意見や指摘を受け入れて予算案を修正したのだろうか。財務省が事務方として作成した予算案が完璧なんてことはありえない。与党の議員の中には、野党の指摘になるほどと思ったりした人もいるはずだ。しかし、自民党と大きく異なる立場の野党には一歩たりとも譲ることはできないという硬直的な発想が当たり前になっているように思える。

 国会議員の数で過半数を占めた政党は、国民の多数から負託されたのだから、内閣は何をしてもいいというような誤った議会制民主主義の理解をしているのか、最近の政府・与党は強引な政治運営をしているようにみえる。それでは、対立をあらわにする野党のほうも、余計に硬直的に反対色を強める。

 しかし、中国や韓国が安倍首相の靖国参拝を大きく取り上げて反日キャンペーンを展開し、尖閣などをめぐって軍事的な緊張が高まってきているこの時節に、日本の国会が生産的な議論を行なうことなく、政府も批判勢力を無視して強引な政治運営をしているのは好ましくない。

 日本の国民は、国会や政府が相変わらずばかなことしているとひややかに見ている。だが、そうした傍観的姿勢がかつての大東亜戦争などを許してしまったことを思い出してほしい。国会を、政府を、厳しい国民の目が監視しているという社会にしていきたい。そのためには、まずメディアに監視役としての自覚を求めたい。くだらない放送番組、追及の手が甘い新聞など、気になる。

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戦争のけじめをつけていない?日本

 元総理大臣の村山富市氏が2月27日、日本記者クラブで会見し、①直近の韓国訪問、②アジア諸国への侵略・植民地支配に対する反省とお詫びを表明した村山談話(1995年)、③従軍慰安婦の存在を認めた河野官房長官談話(1993年)などについて見解を述べた。村山氏の話を聞いて一番うなずいたことは、日本が太平洋戦争や中韓侵略などの責任について、日本人自らの手でけじめをつけていないという指摘だった。

 ドイツは第二次世界大戦後、国が東西に分かれ、西ドイツの国民はナチスを裁いた。しかし、日本は、朝鮮戦争のさなかに講和条約を締結。国民自らの手で戦争犯罪やその責任を追及することはなかった。国内は戦争責任が問われる状況になかったのである。しかし、それが近年、外(外国)から問題にされるようになった。村山氏はそう認識している。

 村山氏によると、戦後の日本は子供たちに近現代史、戦後史を教えていない。(日本の侵略戦争と見るか、欧米の植民地支配からのアジア解放の戦争と見るかなど)対立した主張があって、国内の意見が一致しなかった。それに対し、中国も韓国も自らの視点から植民地支配、戦争および戦後史を徹底的に教えた。

 したがって、村山氏の意見にしたがえば、日本と中韓との歴史認識の問題はとても根が深い。

 また、村山氏は、講和条約を結んで国際社会に復帰したといういきさつがあるし、村山談話を歴代の総理大臣は「継承する」と言ってきたとして、「これは国際的な約束であり、否定することは無理。安倍さんもそうすると信頼している」と語った。

 ところで、私自身の受けた学校教育を思い起こしても、歴史の授業で日本の近現代の戦争の責任を考える類いのものはなかったように思う。戦争責任の話になると、日本国民は戦後ずっと思考停止に陥ったままだったのではないか。東京裁判の結果をすんなり受け入れたのは、日本人自身である。

 

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2014年2月26日 (水)

脱「成長」戦略と消費税

 経済学者の橘木俊詔氏と福祉経済学者の広井良典氏の対談による著書『脱「成長」戦略」~新しい福祉国家へ』を読んだ。今後の日本では社会保障制度がますます重要になる。いまでも財政危機が深刻だが、増え続ける社会保障ニーズにどう対処すべきなのか。そんな視点で同書を読むと、いくつか示唆が得られた。

 同書は、高福祉、環境保全、および”定常型経済”の3つから成る”定常社会”をめざすべきだという視点から成る。経済成長を通じて社会保障の充実や財政再建を果たそうとするアベノミクスとは異なる問題提起である。

 両氏はデンマークなど北欧の高福祉高負担国が日本のめざすべき道だと考えている。しかし、現在の日本では、高福祉は求めるが高負担はいやだという人々が少なからずいて、政党にも同様な主張をするところがある。これについて、両氏とも消費税を上げるしかないと言う。社会保障給付は年間100兆円を超えていて、かつ医療費だけでも毎年1兆円以上増加している。防衛費の削減、大企業への法人課税引き上げ、所得税の累進度引き上げで捻出できるカネとはけた違いに大きい。

 高福祉高負担か、低福祉低負担か。そもそも、「国民投票をやらないといけない」(橘木氏)、「各政党が高福祉高負担か低福祉低負担か、税中心か社会保険料かそのビジョンを示して、有権者が自分がよいと考えるものに投票することが政治本来の役割ではないでしょうか」(広井氏)。「高福祉高負担も必要なのだということを正面から問うような政党が出てこなかった」(同)。

 広井氏は社会保障制度の維持発展には消費税、相続税、環境税の3つが特に重要だとしながら、財源として大きいのは消費税だと指摘している。「社会保障費が国の予算の大半を占めている状況で、しかも社会保障費として支出する段階で所得の再分配効果が起きるのですから、結果として消費税率を引き上げて社会保障費を手厚くした方が、むしろ格差は圧倒的に小さくなり、生活保障がしっかりするという認識がもっと共有されるべきです」とも言っている。

 そして、消費税は「日本は端的に言えば、10%でも足りなくて、15%、さらに20%前後の水準にまで引き上げなければ、少なくともヨーロッパ並みの福祉を実現することは難しい」と言い切る。

 医療、生活保護などの各論についても、対談は参考になる。診療報酬は高度医療を担う病院や看護など入院部門が非常に低く、他方、診療所に手厚いので、是正が必要だという。

 増え続ける生活保護受給について、橘木氏は、高齢者の年金、医療などを充実するなら、生活保護費を引き下げるのに賛成だとし、中年・若年の無職者については働く場を見つける策のほうがいいと言う。広井氏は若者については、人生前半の社会保障という観点で、「雇用も重要ですが、教育も含めてしっかりと支援を厚くしていって、理想としては結果的に生活保護を受けなくてもいいということになればいい」と指摘している。

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2014年2月22日 (土)

手芸の店を閉める主人の嘆き

 都内某所を散歩していたら、手芸の糸などを売る小売店が閉店セールをしていた。そこの年輩の主人はこんな風に嘆いていた。

 「いまどき、手芸用品を買う人は50歳以上の人(女性)ばかりですよ。それより若い女性は関心も持ちませんね。いまの親は娘に手芸を覚えさせようなんてしません。勉強しなさいと塾に通わせる。それに、親はスーパーでおかずを買って子供に食べさせたりしている。娘は大人になっても、手芸には関心を持ちませんよ。

 もともと、かみさんが手芸が好きでしてね。なので、昔、我が家の本業(商店)のほかに、手芸品の店を設けたんです。当時はものすごく売れ、大量に鐘紡などの毛糸を仕入れてもすぐなくなった。かみさんはお客さんに頼まれ、編み機を買って編むようになった。その注文が多くて、毎日、深夜まで仕事をしていましたよ。だけど、その結果、かみさんは右手が腱鞘炎になってしまった。治療費がかかり、とてもじゃないが、編む仕事はやっていられなくなった。その後、かみさんは手芸品を売る商売だけやってきたんです。

 でも、手芸の好きな人は減る一方。スーパーなどができて、ここの商店街も、お客が減って、閉める店が相次いだ。うちでは日本橋横山町の問屋から手芸用品を仕入れていたんだけど、仕入れ先の3軒ともつぶれてしまった。取り引きする小売り店が減って経営していけなくなったんです。

 あちこちで、魚屋とか八百屋も減っているでしょ。卸売市場を通さないでスーパーなどが産地などで直接買い付けるようになったので、卸売市場もその影響を受けているし、個人商店も少なくなっている。

 ここの商店街はすっかりさびれてしまいましたよ。子供たちも跡を継がない。我が家では、娘は嫁に行き、息子は公務員になった。まあ、よかったですよ。だから、ここの商売は私の代で終わりです。」

 ここの主人の話は何十年間かを振り返っての述懐だが、日本の敗戦(1945年)と復興、そして高度成長、安定成長、長期停滞と激しく変動を続けた日本の経済社会の一断面図である。

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2014年2月18日 (火)

雛のつるし飾り、河津桜をめでる

 関東圏で今冬二度目の大雪が降ったあと、南伊豆を旅した。温暖な土地で、別荘が多く建てられたのもよくわかる。伊東から下田までの間に、私鉄の伊豆急行をつくった五島慶太(東急電鉄)はさすがだと改めて思う。国鉄が地元民の敷設要望に応じなかったのと比べると、余計にそう思える。

 伊豆稲取駅で降り、雛のつるし飾りを見て回った。女の子の初節句のとき、雛段の両側に、天井から赤いひもで吊り下げて飾る「つるし飾り」。兎、猿、鳩などの動物、花、とうがらし、大根、桃などの植物、それに、這い子人形、枕、座布団、草履、巾着など、それぞれに謂われがあり、いずれも赤ちゃんの幸せを願うものである。日本がいまほど豊かではなかった頃の、親の愛情の深さをしみじみと感じたことである。

 主要な展示場以外にも、小規模な展示がいくつかあり、一般の店でも飾っているのが見受けられた。また、素戔嗚神社では、石段に雛人形を飾り、両側に大きなつるし飾りを立てていた。雛のつるし飾りが町おこしの大きな役割を担っているように思われる。

 ちょうど、訪れた日は、大荒れの天気のあとで快晴。大島の山の上に雪が積もっているのがよく見え、右に利島をはじめ、伊豆七島を皆、はっきりと見ることができた。

 次に河津駅で降り、有名な河津桜を見た。川に沿って土手に植えられた桜の樹を見るのだが、駅に近い下流域では五分以上咲いた樹もあったが、上流のほうは、二、三分程度が多く、満開はしばらく先だと思われた。桜はまだでも、菜の花が土手の歩道の脇に咲いていた。菜の花の鮮やかな色彩は目を引き付けてやまない。

 ”花より団子”ではないが、花見の名所には飲食関係の店が軒を連ねる。河津でも、桜の樹の数よりも沿道の売店のほうが多いように見受けた。店の客引きもさかんで、いささか気分を損ねる。

 稲取にせよ、河津にせよ、観光の名所となったのはたかだか数十年のことである。しかし、最初は個人の小さな試みだった。それが仲間を増やし、大きく花開いた。

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2014年2月12日 (水)

放射能汚染を科学的に究明した本『土壌汚染』に感動

 中西友子東京大学教授が昨年9月下旬に出版した『土壌汚染 フクシマの放射性物質のゆくえ』(NHKブックス)を読んだ。”フクシマ”以降、放射能、放射線、放射性物質などという言葉がメディアにしょっちゅう出てくる。ベクレル、シーベルトなども同様。そこで、それらの定義を知るため、同書に手を伸ばしたのだが、通読して、放射性物質による汚染のメカニズムなどを科学的に究明していることに感心した。

 同書に教わったことの1つは、土壌表面に付着した放射性セシウムは土壌に吸着して離れない、傍の植物の根でも吸い上げることができないということである。当初、樹木の葉に付いたセシウムにしても、枯れて地上に落ちたら、分解し、土壌に吸着される。

 福島県の山に落ちた放射性セシウムも土壌や木の葉にくっついていて、雨水によって流出することはほとんどない。

 また、土壌に付いたセシウムは表土の5cmぐらいまでしか汚染していない。とはいえ、この汚染された表土をはぎとるという工学的な除染をすれば、農業の基盤である微生物に富んだ貴重な土壌表層を失うことになる。

 畑を天地返しし、よく混ぜて鋤き込めば、表土の放射線測定値は大きく下がり、作物を育てることができる。そのほか、さまざまな除染の方法が研究されているが、可能な限り、大切な土壌という資源を生かす方法を用いるべきだ。

 国や県がコメの汚染をチェックしているが、それは玄米が対象。精米し、水でとぎ、水を加えて炊くと、放射性セシウムの濃度は10分に1以下に下がる。種子には子孫にできるだけ害を与えないようにする性質があるからではないか、という。

 桃などの果樹・果実の放射能汚染は、樹皮に付着した放射能とほぼ同じ量のセシウムが幹の中に入って起きる。しかし、果実や剪定・落葉などで樹体内のセシウムは減っていく。

 乳牛の餌に放射性セシウムを混ぜて2週間与え続けたあと、混入を止めたら、牛乳中のセシウムは減り、2週間後にはほぼなくなった。放射能汚染の牛を処分する必要はなかったのではないか。

 生物濃縮は起きていないらしい。代謝された放射性セシウムはいずれ土壌に吸着し、生物にはあまり蓄積されないのではないか。

 きのこによっては、高い濃度のセシウムを蓄積しているものがある。生えた場所の近辺に局地的な循環系を形成し、菌糸を伸ばして落ち葉から栄養と一緒にセシウムを採り込み、寿命が来たら、また栄養源になるという循環をしているという。

 放射能汚染を追究する場合、過去に、米ロや中国が行なった核実験による放射性物質の降下による影響も考慮しなければならない。

 

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2014年2月10日 (月)

ほどほどにしてほしい言葉づかい「……させていただく」

 内閣官房が発信している安倍総理大臣のメッセージ、その2月10日付けを読んでいたら、「ソチのオリンピック選手村を訪問 選手団の皆さんを激励させていただきました。」というくだりがあった。「激励させていただきました」は、「激励しました」とか、「激励してきました」、ないしは「激励してまいりました」というのが首相としての普通の言葉づかいではないかと思う。

 政治家に特に目立つのだが、何かにつけ、「させていただく」という表現を耳にする。それに「お願いをさせていただく」などというように、謙譲の「お」を付けるのも耳障りだ。国会の質疑などで、まともに日本語をつかえない政治家のやりとりを聞くのはやりきれない。

 最近は、安倍首相はじめ、教育問題で改革を唱える人が多い。だが、まともな日本語すら話せない”偉いさん”から、そうした問題提起を聞かされるのはどうも……。

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2014年2月 7日 (金)

フィンランドの原発関連施設立地事情もかつての日本と同様

 小泉純一郎元首相が脱原発を唱えるようになったきっかけは、フィンランドのオルキルオト島に建設中の放射性廃棄物最終処分場を視察したことだといわれる。地下437mに10万年間、管理するというとほうもないプロジェクトについては、映画「100、000年後の安全」が詳しい。

 このプロジェクトに関係する3人が来日し、今月6日に日本記者クラブで会見した。フィンランドの労働・経済産業省エネルギー局次長ヘルッコ・プリット氏、放射線・原子力安全センター(STUK)所長ペッテリ・ティーッパナ氏、そして最終処分場の建設管理にあたるポシヴァ社広報部長ティモ・セッパラ氏の皆さんである。

 3氏のプレゼンテーションおよび質疑で知った同国の事情からいくつか興味深い点を紹介すると――

・「フィンランドの発電量に占める原子力発電はおおよそ30%。最終的には2020年代に、7基の原発で全発電量のおおよそ60%をまかなうだろう」(プリット氏)。

・「フィンランドは天然資源に恵まれていない。エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合は2020年までに38%になるだろう。バイオ燃料についてはEUの目標の2倍の20%を目指している」(同)。

・オルキルオトにはすでに原発が2基あり、さらに高放射性廃棄物最終処分場ができるが、「地元住民の反対はほとんどなかった。恩恵もあり、全般的には良好に受け入れている」(セッパラ氏)、「新たな原発建設も熱い支持がある。失業率の高い過疎地であり、雇用が数十年間保証されるから、スムーズに受け入れている」(プリット氏)。

・「STUKは放射線・核エネルギーの利用に関する規制機関である。安全について分析、情報の提供や提案を行なう。信頼の獲得が重要で、それにはオープンでなければいけない。核エネルギー法はSTUKに、より独立性を与えるために改正された。フクシマの教訓を反映した政令改正が2013年に行なわれた」(ティーッパナ氏)。

・原発関連施設が集中立地することについては「いろいろ検討している。ゼロから立地する場合は(分散について)考えねばならない。原発事故が起きた場合の住民避難については、どのくらい遠くまで避難するか、関係官庁で検討している」(同)。

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2014年2月 6日 (木)

診療報酬は上がるだけ

 中央社会保険医療協議会(中医協。厚生労働相の諮問機関)が5日、4月からの診療報酬引き上げ案を決めた。初診料は120円(4.4%)上げて2820円に、再診料は30円(4.3%)上げて720円にする。このほか、入院基本料の2%程度の値上げ、歯科の初診料、再診料引き上げ、調剤基本料の値上げなども決定した。

 診療報酬は消費税非課税なので、医療関係機関は消費税が3%引き上げられても、患者にその分を上乗せして請求することはできない。このため、仕入れコストの上昇分を診療報酬に上乗せすることにしたものという。

 消費税アップによる医療関係機関のコスト増について、政府は約5600億円(診療報酬の1.36%に相当)と試算しており、それを上記のような主要項目の報酬引き上げで賄うというわけだ。

 しかし、少子高齢化のもと、毎年増え続ける社会保障費を抑制することが財政健全化の重要な課題であり、なかでも医療費の増大に歯止めをかけることが強く求められている。診療報酬の中で、削減できる費用項目を洗い出して、4月から引き下げるぐらいのことがどうして行われないのか。

 中医協は日本医師会など医療関係機関と、健康保険組合などの支払側、それに学識経験者など中立の三者構成である。しかし、事務局を務める厚生労働省は、政治力の強い医師会側の意向を無視できず、結果として医療費削減に精力を注ぐことなく、その増加に手を貸してきたと言わざるをえない。

 審議会の三者構成はそこでの結論が適正であるかのような印象を国民に与える。だが、何を議論するかは事務局、つまり厚生労働省の現局に任されている。言い換えれば、社会保障制度を広い視点でとらえることなく、各論に終始しているのが実態である。これでは、国の歳出の最大項目にメスを入れることなく財政破綻に向けて歩んでいることになる。安倍政権は社会保障制度の改革・効率化に関心がなさそうだ。

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2014年2月 2日 (日)

フェルドマン氏の財政再建シナリオ

 危機的な日本国の財政状況に対し、どのような財政再建シナリオが可能だろうか。1月21日に日本記者クラブで会見したロバート・アラン・フェルドマン氏(モルガン・スタンレー・MUFG証券チーフエコノミスト)は、何もしないシナリオ、想定する内閣府のシナリオ、および同氏が起こり得ると予測するシナリオの3つを挙げた。

 このうち、同氏が起こり得ると予測するシナリオによると、2020年の一般政府収支は14.7兆円の赤字だが、対GDP比基礎的財政収支は1.8%の黒字となる。これで財政再建の第1ステップである基礎的財政収支の均衡が達成される。

 しかし、そのためには、想定される内閣府のシナリオの一般政府収支赤字34.8兆円に比べ、約20兆円も赤字を削減しなければならない。そこで、削減額を増税と歳出削減とで半分ずつ賄うとすれば、消費税率は16.7%に引き上げる必要があるし、高齢者向けの1人当たり実質社会保障支出を2012年に比べ26.9%削減しなければならないという。同氏は「このシナリオが2020年までに起こり得るのではないか」としている。

 ところで、財務省が「2014年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」を発表、その末尾に「2020年度までの仮定計算」を付している。4つのケースを示しているが、その中の1つ「歳出効率化・経済成長1.5%」では、2020年度の基礎的財政収支は9.1兆円の赤字。また「歳出自然体・経済成長1.5%」のケースだと、基礎的財政収支は14.1兆円の赤字という。

 ちなみに、後者の場合、税収が62.4兆円で、国債費がその半分強の33.5兆円を占める。どう見ても異常な事態である。財務省の試算はいろいろな仮定の上に立ったものだが、どれを見ても、財政再建は政府・与党が死にものぐるいで取り組むべき焦眉の課題であることを示している。

 安倍首相の靖国参拝を機に、中韓両国は日本を外交的に孤立させようと積極的に活動している。これに対し、安倍政権は欧米やアジア諸国に十分納得されるような反論をしていない。日本外交の危機である。安倍首相以下、自民党政権はそのことを理解していないように見える。財政をめぐる日本国の”病い”も相当に重い。憂慮せざるをえない。

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