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2014年2月22日 (土)

手芸の店を閉める主人の嘆き

 都内某所を散歩していたら、手芸の糸などを売る小売店が閉店セールをしていた。そこの年輩の主人はこんな風に嘆いていた。

 「いまどき、手芸用品を買う人は50歳以上の人(女性)ばかりですよ。それより若い女性は関心も持ちませんね。いまの親は娘に手芸を覚えさせようなんてしません。勉強しなさいと塾に通わせる。それに、親はスーパーでおかずを買って子供に食べさせたりしている。娘は大人になっても、手芸には関心を持ちませんよ。

 もともと、かみさんが手芸が好きでしてね。なので、昔、我が家の本業(商店)のほかに、手芸品の店を設けたんです。当時はものすごく売れ、大量に鐘紡などの毛糸を仕入れてもすぐなくなった。かみさんはお客さんに頼まれ、編み機を買って編むようになった。その注文が多くて、毎日、深夜まで仕事をしていましたよ。だけど、その結果、かみさんは右手が腱鞘炎になってしまった。治療費がかかり、とてもじゃないが、編む仕事はやっていられなくなった。その後、かみさんは手芸品を売る商売だけやってきたんです。

 でも、手芸の好きな人は減る一方。スーパーなどができて、ここの商店街も、お客が減って、閉める店が相次いだ。うちでは日本橋横山町の問屋から手芸用品を仕入れていたんだけど、仕入れ先の3軒ともつぶれてしまった。取り引きする小売り店が減って経営していけなくなったんです。

 あちこちで、魚屋とか八百屋も減っているでしょ。卸売市場を通さないでスーパーなどが産地などで直接買い付けるようになったので、卸売市場もその影響を受けているし、個人商店も少なくなっている。

 ここの商店街はすっかりさびれてしまいましたよ。子供たちも跡を継がない。我が家では、娘は嫁に行き、息子は公務員になった。まあ、よかったですよ。だから、ここの商売は私の代で終わりです。」

 ここの主人の話は何十年間かを振り返っての述懐だが、日本の敗戦(1945年)と復興、そして高度成長、安定成長、長期停滞と激しく変動を続けた日本の経済社会の一断面図である。

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