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2014年2月 6日 (木)

診療報酬は上がるだけ

 中央社会保険医療協議会(中医協。厚生労働相の諮問機関)が5日、4月からの診療報酬引き上げ案を決めた。初診料は120円(4.4%)上げて2820円に、再診料は30円(4.3%)上げて720円にする。このほか、入院基本料の2%程度の値上げ、歯科の初診料、再診料引き上げ、調剤基本料の値上げなども決定した。

 診療報酬は消費税非課税なので、医療関係機関は消費税が3%引き上げられても、患者にその分を上乗せして請求することはできない。このため、仕入れコストの上昇分を診療報酬に上乗せすることにしたものという。

 消費税アップによる医療関係機関のコスト増について、政府は約5600億円(診療報酬の1.36%に相当)と試算しており、それを上記のような主要項目の報酬引き上げで賄うというわけだ。

 しかし、少子高齢化のもと、毎年増え続ける社会保障費を抑制することが財政健全化の重要な課題であり、なかでも医療費の増大に歯止めをかけることが強く求められている。診療報酬の中で、削減できる費用項目を洗い出して、4月から引き下げるぐらいのことがどうして行われないのか。

 中医協は日本医師会など医療関係機関と、健康保険組合などの支払側、それに学識経験者など中立の三者構成である。しかし、事務局を務める厚生労働省は、政治力の強い医師会側の意向を無視できず、結果として医療費削減に精力を注ぐことなく、その増加に手を貸してきたと言わざるをえない。

 審議会の三者構成はそこでの結論が適正であるかのような印象を国民に与える。だが、何を議論するかは事務局、つまり厚生労働省の現局に任されている。言い換えれば、社会保障制度を広い視点でとらえることなく、各論に終始しているのが実態である。これでは、国の歳出の最大項目にメスを入れることなく財政破綻に向けて歩んでいることになる。安倍政権は社会保障制度の改革・効率化に関心がなさそうだ。

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