« ほどほどにしてほしい言葉づかい「……させていただく」 | トップページ | 雛のつるし飾り、河津桜をめでる »

2014年2月12日 (水)

放射能汚染を科学的に究明した本『土壌汚染』に感動

 中西友子東京大学教授が昨年9月下旬に出版した『土壌汚染 フクシマの放射性物質のゆくえ』(NHKブックス)を読んだ。”フクシマ”以降、放射能、放射線、放射性物質などという言葉がメディアにしょっちゅう出てくる。ベクレル、シーベルトなども同様。そこで、それらの定義を知るため、同書に手を伸ばしたのだが、通読して、放射性物質による汚染のメカニズムなどを科学的に究明していることに感心した。

 同書に教わったことの1つは、土壌表面に付着した放射性セシウムは土壌に吸着して離れない、傍の植物の根でも吸い上げることができないということである。当初、樹木の葉に付いたセシウムにしても、枯れて地上に落ちたら、分解し、土壌に吸着される。

 福島県の山に落ちた放射性セシウムも土壌や木の葉にくっついていて、雨水によって流出することはほとんどない。

 また、土壌に付いたセシウムは表土の5cmぐらいまでしか汚染していない。とはいえ、この汚染された表土をはぎとるという工学的な除染をすれば、農業の基盤である微生物に富んだ貴重な土壌表層を失うことになる。

 畑を天地返しし、よく混ぜて鋤き込めば、表土の放射線測定値は大きく下がり、作物を育てることができる。そのほか、さまざまな除染の方法が研究されているが、可能な限り、大切な土壌という資源を生かす方法を用いるべきだ。

 国や県がコメの汚染をチェックしているが、それは玄米が対象。精米し、水でとぎ、水を加えて炊くと、放射性セシウムの濃度は10分に1以下に下がる。種子には子孫にできるだけ害を与えないようにする性質があるからではないか、という。

 桃などの果樹・果実の放射能汚染は、樹皮に付着した放射能とほぼ同じ量のセシウムが幹の中に入って起きる。しかし、果実や剪定・落葉などで樹体内のセシウムは減っていく。

 乳牛の餌に放射性セシウムを混ぜて2週間与え続けたあと、混入を止めたら、牛乳中のセシウムは減り、2週間後にはほぼなくなった。放射能汚染の牛を処分する必要はなかったのではないか。

 生物濃縮は起きていないらしい。代謝された放射性セシウムはいずれ土壌に吸着し、生物にはあまり蓄積されないのではないか。

 きのこによっては、高い濃度のセシウムを蓄積しているものがある。生えた場所の近辺に局地的な循環系を形成し、菌糸を伸ばして落ち葉から栄養と一緒にセシウムを採り込み、寿命が来たら、また栄養源になるという循環をしているという。

 放射能汚染を追究する場合、過去に、米ロや中国が行なった核実験による放射性物質の降下による影響も考慮しなければならない。

 

|

« ほどほどにしてほしい言葉づかい「……させていただく」 | トップページ | 雛のつるし飾り、河津桜をめでる »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 放射能汚染を科学的に究明した本『土壌汚染』に感動:

« ほどほどにしてほしい言葉づかい「……させていただく」 | トップページ | 雛のつるし飾り、河津桜をめでる »