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2014年3月25日 (火)

税理士法改正に見る会計士との権益争い

 3月20日、税理士法改正を含む所得税法等の一部を改正する法律が成立した。税理士界にとって2001年以来の税理士法大改正とされるが、その最大のポイントは公認会計士への税理士資格自動付与の廃止という。

 公認会計士と税理士は、会計学や税法をマスターした人たちが資格試験をパスして行なう業務。会計士は監査法人に所属して会計監査業務を行なうことが多く、税理士は会社、商店などの税務書類の作成などを担ってきている。しかし、従来、会計士の資格を得た者は自動的に税理士の資格も与えられていたので、個人で税務業務中心に会計事務所を営むことも少なくない。

 このように、公認会計士が税務サービスを実施することに対し、日本税理士会連合会はかねて職域を奪われるとして不満を抱いており、法改正を要求していた。税理士にも監査ができる道を開くとか、公認会計士になったからといって自動的に税理士の資格を持たせないようにしたいというのが税理士界の強い要望だった。

 その結果、2006年の会社法改正では、税理士に対し、会計参与の制度が創設された。会計専門家が取締役と共同で計算書類を作成するなど、税理士業務の範囲が広がった。今回の税理士法改正では、公認会計士試験をパスした者が税理士の資格を得るには、別途、税理士資格試験を受け、税法に属する科目の試験に合格することが必要となる。

 公認会計士試験には税法の科目も当然含まれている。したがって、二重に税法の試験を受けさせることには公認会計士界が反対していた。しかし、政治力では圧倒的に強い税理士界の主張が通った。

 ところで、税理士試験を受けないでも税理士になれる”バイパス”はほかにもある。官公署で国税などの税務関係の業務に長い間、携わってきた人たちである。国税庁、国税局などの退職者の多くは、企業の税理士として元の職場に顔をきかす。これは国税庁お手盛りの天下りとも言えよう。一般の税理士たちの本音を聞くと、「まともに試験を受けたらパスするかどうか疑わしい」という。しかし、国税庁は税理士界の所管官庁であり、税理士界にとっては、いざというときの駆け込み寺でもある。だから、表だって国税OBを職域荒らしとは言わない。

 監査法人、公認会計士の分野は金融庁の所管。グローバル化に伴う国際会計基準の導入や、大企業の不祥事などで、さまざまな課題に直面している。職域争いをしているひまはない。結果として、会計士界と税理士界との対立はほとんど話題にもならないのである。

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コメント

拝啓
大体の所は合っていますが、今回の税理士法改正では、公認会計士が税理士登録するには、国税審議会の指定する、税理士試験税法科目と同程度のレベルの研修、修了試験に合格した者に、税理士登録を認める、というものです。その国税審議会の指定研修の修了、最終試験合格しないと税理士になれませんから、それを受講、選択、合格せずの人は、ただの公認会計士のみ、ということになります。
                         敬具

投稿: 一税理士 | 2014年4月 5日 (土) 20時57分

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