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2014年3月29日 (土)

原発への視点の違いが鮮明な朝刊の記事3本

 29日の朝日新聞朝刊は「オピニオン」欄で、東京電力の常務で原子力技術者のトップ、姉川尚史氏のインタビュー記事を載せている。「自然現象に対する謙虚さ、原子力安全に対する謙虚さというものが足りなかった」、「自然現象が原子力のリスクにどういうふうに影響するのかを見極めて迅速な対策をしていく精神、心がけ、行動パターン、安全文化……それらを作り上げ、(中略)気持ちを一つにしていくのに時間がかかります」「まだ改革の途上」と語っている。

 そして、日本には天然資源が少ないから、原発は続けるべきだととか、「人の英知でこのエネルギーをコントロールできる可能性がある。その可能性に賭けたい」とも言っている。インタビュアーは、東電の原子力技術のトップである同氏が「原発事故の核心を正面から直視し、自分の言葉で率直に語っている」ことを大いに評価している。

 たまたま、この日の朝日新聞朝刊は、連載「プロメテウスの罠」で、10年あまり前、内部告発で摘発されたトラブル隠しの責任をとり、東電の副社長・原子力本部長を退いた榎本總明氏の話を紹介している。

 東日本大震災の半年あまり前、月刊誌「エネルギーフォーラム」で、榎本氏は、原発が「何でもオープンにし、自由に批判し合う風土にあるアメリカで、数え切れないほどの議論と改善・改良を積み重ねて今の姿になってきた」と指摘したという。そして、いま、記者が「何でもまずは隠そうとし、批判を恐れて口をつぐむ風土では、原発を動かすことは不可能ということか」と問いかけたら、「そこなんです。そこを変えないと本当の安全はありません」と答えたという。

 榎本氏は、東電の技術者が良心的で技術もよくわかった信頼できる人たちだとしながら、組織の文化から抜け切れず、そこの掟にしたがって動く面があると指摘している。

 この話から、日本の社会、企業社会の弱点が浮き彫りになってくる。組織や上司の指示、命令には文句を言わず従えというカルチャーだ。東電の原発事故は、異論に寛容でない企業風土が招いたものというのが、姉川、榎本両氏の言わんとするところだろう。しかし、大企業ほど、企業風土の変革は困難ではなかろうか。

 これに対し、29日の日本経済新聞は電気事業連合会がスポンサーの全面広告記事「日本のエネルギーと経済を考える」を載せている。内容は対談で、「原子力停止による”コストの積分”に目を向けよ」(吉崎達彦氏)、「問題の本質を見極めた総合的な判断と実行を」(澤昭裕氏)という大見出しがついている。

 日本の経済、エネルギー安全保障という大局に立ち、電力安定供給を図るには、安全が確認された原発の再稼働が必要になる。2人とも、そうした主張を展開している。スポンサーも当然、同じ認識だろう。だが、対談の2人は、榎本氏が指摘した日本の社会や企業のカルチャーの問題点をどう考えているのだろう。電事連もどう考えているのだろうか。二度と大きな原発事故を起こすことのないようにするためには、そこはきちんと答えを聞きたい。

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