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2014年3月 9日 (日)

日米中関係の将来の悪夢を指摘するウォルドロン教授

 去る7日(金)の日本経済新聞朝刊は「経済教室」欄で、ペンシルベニア大学のアーサー・ウォルドロン教授の「日米中関係の行方(下) 米国との同盟、過信は禁物」と題する論考を掲載した。読んで、正直、ゾッとした。中国の軍事的脅威から日本が安全を守ろうというなら、英仏、その他の国が保有するような「最小限の核抑止力を含む包括的かつ独立した軍事力を開発すべきだ」と述べていたからだ。

 北京で開催されている全国人民代表大会で、中国は今年の軍事費を12%余増やす方針を明らかにした。総額は日本の3倍ぐらいで、ほかの費目に含まれる軍事予算を合わせた全体はもっと多いといわれる。こうして通常兵器と核兵器を開発している中国の脅威に対して、日本はどうすべきか。米国の抑止力に頼れるだろうか。

 それについて、ウォルドロン教授は、「日本は……全領土を自らの手で守れるような軍事力を今すぐに持つ必要がある」、だが、今後10年間に中国の軍事力のほうが圧倒的に強くなると言う。

 そして、日中間の武力衝突が起きた場合、米政府は中国との妥協、譲歩(たとえば尖閣諸島の領有権を放棄せよと)を日本に促すのではないかと懸念を表明する。米本土への核攻撃に対する報復以外には、米国は核兵器を使用しないだろう、と言う。対抗する軍事力がなく、米国の抑止力があてにできない日本は、「核兵器を保有する侵略国との紛争に直面する可能性がある。日本にとってそれは悪夢以外の何物でもない」と同教授は断言する。

 英国は原子力潜水艦に核弾頭を搭載して航行し、「英国を攻撃する者に壊滅的な打撃を加える態勢を整えている」し、フランスも同様で、「こうした抑止力によって他国から攻撃を受けないことを保証している」という。同教授は英、仏などにならうよう日本に勧める。

 以上、ウォルドロン教授の言うように、中国が共産党一党独裁のもと、軍事大国の道をひた走っていく可能性は大きい。そして、尖閣諸島などを自国の核心利益と勝手に定義し、海洋強国への態勢固めに進もうとするだろう。それに対して、平和と民主主義の国家、日本はどうやって国土、国民の安全や生活などを守ることができるか。その場合、核兵器の保有が本当に必要か、またそれが国際社会に許されるだろうか。日本は国土が細長く、外からの侵略に対して防御しにくい国である。戦争をしないで国を守る方法はないのか。

 一方、中国共産党の支配が崩壊することを期待する声も少なくない。中長期的には、その可能性も少なくはない。しかし、いたずらにそれを待つわけにはいかない。

 おりから集団的自衛権と憲法解釈が政治の争点になっているように、国の安全保障のありようをめぐって国民が多角的な視点で、真剣に考えるべき時期に入ったようだ。ウォルドロン教授の「経済教室」は、その意味で重要な論点を提示しているように思う。

 

 

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