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2014年5月10日 (土)

近づく財政破綻、乏しい危機意識

 BS朝日が10日のテレビ放送で日本の財政危機を取り上げた。2013年度末(今年3月末)現在の国の「国債及び借入金残高」が1025兆円、1年前に比べ33兆円増えたと財務省が9日発表したのを受けての特集である。国民1人当たり800万円を超え、今後、さらに増えていく国家債務。それが近未来に引き起こす財政破綻は国民経済・暮らしを破滅させると予想される。

 しかし、一般市民の多くは財政危機、財政破綻……と聞いても、何のことかわからない。経済に疎い出演者もピンとこない様子だった。それでも、経済学者の竹中平蔵、小黒一正両氏らの話は、番組の視聴者に財政危機への認識を多少なりとも植え付けたのではなかろうか。

 財政破綻が起きるのはいつか、という質問に対し、竹中氏は5~10年後、小黒氏は10年ぐらいまでの間に、と答えた。では、財政破綻を避けるにはどうすべきか。竹中氏の答は、歳入庁の創設と歳出改革、つまり「入」と「出」の両方だった。これは正解であり、急いで手を着ける必要がある。安倍内閣が進めるアベノミクスが行き詰まっている現在、これは重要な次の一手だろう。

 歳入改革でなすべきことは多々ある。国税庁と社会保険庁とを統合して歳入庁にするという改革案は財務、厚生労働両省の反対で実現しなかった。しかし、これらの一本化は、税金・保険料の徴収漏れを減らすとともに、行政の効率化につながる。私見だが、いまも残っている消費税の”益税”化は廃止すべきである。それに、今年度から個人の相続税の課税強化を図ったが、農地保有・相続に関する課税優遇は限定的にすべきだろう。

 また、歳出改革は、第一に、医療、介護、年金など社会保障歳出の思い切った効率化、削減が必要である。少子高齢化に伴ってこの分野の歳出圧力が高まるのは必定だが、検査漬け、薬漬け、重複通院などを改めることは欠かせない。カルテの電子化などが、とっくに実現できていないのは、政治が既得権益を打破しようとしないからである。

 地方交付税交付金を削減する努力も足りない。地方自治体の中央への甘えを許していては、地方の自立、主体性の確立が進まないし、国家財政の負担も減らない。国・地方の”役人天国”をいつまで許容するのかと言いたい。

 安倍内閣は、集団的自衛権、特定秘密保護法など、安全保障に関する法制度の改変にはエネルギーを集中するが、迫りくる財政破綻への対応策にはほとんど手を着けていない。4月に消費税の3%上乗せを実施したが、来年度の10%への引き上げについては慎重な構えを示している。たとえ10%に引き上げたとしても、歳出を増やさないための歳出切り込みが伴わなければ、国家債務は膨らむ一方だろう。

 目下、日本経済は、日銀の量的・質的金融緩和によりデフレからの脱却を図っている最中。したがって、歳出改革はデフレ脱却の道筋を踏まえつつ行なうという難しさがある。だが、それがいまの政治に課せられた難題である。国民が見れども見えずの財政危機を”見える化”することはメディアの使命ではなかろうか。

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