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2014年7月20日 (日)

バングラのビル倒壊など世界の現実を突きつける「世界報道写真展」

 世界報道写真展(東京都写真美術館)を見てきた。毎年、オランダで開催される「世界報道写真コンテスト」で選ばれた入賞作品から62のパネルを展示している。「観察肖像」、「自然」、「スポーツ・アクション」、「現代社会の問題」、「日常生活」、「一般ニュース」、「スポットニュース」などのジャンルごとに選ばれたものだが、一番、強烈な印象を受けたのはバングラデシュのダッカ近郊サバールで起きた8階建てビルの倒壊に関する作品2枚(「スポットニュース」の部)である。
 昨年4月、繊維製品の縫製加工などの工場が5つ入居していたラナ・プラザが倒壊して、従業員ら1100人以上が死亡した。その倒壊後のビルおよび前の広場に集まった人々を一枚に収めた写真(ラフル・タルクデル撮影)は、その惨事のすさまじさを激しく訴えている。また、この倒壊ビルの瓦礫の中から見つかった2人の犠牲者が抱き合っている姿の写真(タスリマ・アクテル撮影)は、血の涙が物語るように、無念の思いが伝わってくる。
 先進国のファッション・ビジネスを支えているバングラの労働者は月収4千円かそこら。しかし、補償基金に寄付した先進国の大手小売り業者は4社しかないと、説明文に書いてあった。
 「自然」の部の組み写真、カッペル・コバルスキの作品「空から見た環境汚染」(2枚)は、ポーランドの石炭火力発電所などから出る排ガスや排水を写したものだというが、まるで茶、黒などの絵の具をぬりたくった抽象画のように思えた。
 ロシア北部の都市ノリリスクは真冬には零下50度Cで環境汚染もひどいという。エレーナ・チェルニショワの組み写真(「日常生活」の部)は、かつては収容所があったノリリスクでの暮らしの厳しさをうつし出している。
 「現代社会の問題」の部で1位に選ばれたのはジョン・スタンマイヤーの作品である。アフリカのジブチでは、写真のように、夜、海岸でアフリカの出稼ぎ労働者たちがそれぞれ携帯電話を高く掲げている。隣国のソマリアからの安価な電波をとらえ、外国の親類と連絡しようとしているのだそうだ。ハイテクと出稼ぎという世界の現実がそこに表れている・
 
 世界は多様性に満ちている。しかし、写真展で見た世界は、バングラのみならず、平和とか、暮らしの安心とかとはほど遠い、苦難にあえぐ人々がいかに多いか、を如実に示している。帰りのJR山手線で見かけた、着物姿の若い女性はネイルアートで手の爪をカラフルに飾り、足の爪も赤く塗っていた。脇目もふらずスマホを操作し、下車するときもホームを歩くときもそうしていた。たまたま写真展で世界の多様な現実を見てきたので、彼女の姿から、日本社会の豊かさ、平和などを改めて貴重なものだと認識した。
 
 

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