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2014年10月18日 (土)

女性活躍推進法案に見る民間企業のだらしなさ

 政府は17日の閣議で「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」を決定した。外資系を除く日本の企業においては、男性中心の雇用形態になっている。それを欧米のようにもっと女性が活躍できるようにしようというもので、このために、政府は「すべての女性が輝く社会づくり推進室」を設置した。

 確かに、日本社会では、何かにつけ、男が主、女が従という男女差が当たり前とされてきた。未だにそれが色濃く残っており、労働、暮らしなどでの男女差別をなくすことが大きな課題となっている。とはいえ、法律で民間企業に女性登用の数値目標や行動計画の作成・公表を義務付けるというのはいささか統制的な色彩が濃いように思う。国や地方公共団体およびそれらの傘下の公的組織だけに限るのが望ましい。本来、産業界が自主的に男女差の解消に取り組むべきであり、法による規制に唯々諾々と従うのはお粗末もいいところだ。

 個人的な取材経験だが、過去、上場しているような規模の日本企業で話をした女性たちは、ほとんどが受付、秘書、広報担当などで、役員や部課長は極めて少なかった。また、広報部門に電話し、取材の趣旨を説明しても、受け手の女性は男性に取り次ぐだけなので、こちらは改めて男性に説明をする、いわゆる二度手間になることが多かった。

 また、1970年前後の話だが、大手の鉄鋼メーカーの調査部にいた女性は、50歳になる頃、”定年”で退職した。また、大手電機メーカーの広報部の女性は「ずっと働いていたいけど、女性はほとんど昇給しないので、生活できない。仕方がないから結婚する」と言って退職・結婚した。

 私のいた新聞社の編集局では、1960年代、婦人家庭部とか文化部に1人か2人、女性記者がいるだけだった。その後、ゆっくりとだが、女性記者が増えたものの、同じ職場で産休が重なるようなことがあると、上司の男性は女性の採用に消極的になったりした。

 日本監査役協会が毎年開く大会に行ったことがある。1980年代後半のことである。一度に監査役が1000人以上集まるのだが、女性はほんの数人しかいなかった。基調講演に呼ばれた財界首脳が、ダークスーツを着た中高年の男性ばかりを見てぎょっとしたみたいだったことを思い出す。

 日本企業が1990年代後半あたりから、国際競争力を失っていったのは、グローバルな競争が”総力戦”になったにもかかわらず、過去の栄光を支えた日本的な雇用慣行、人事・経営組織、経営戦略などに閉じこもっていたからではないか。企業で働く男性も、労働組合も、自由、平等などの基本的な価値をきちんと理解せず、狭隘な日本型経営に追随していた。

 そうした日本的なものから脱却すること、つまりCSRが、現代の経営者や企業幹部に求められている。とはいえ、今回のように法律で強制されるのではなく、企業の自主的な取り組みによるべきであろう。統制を喜ぶ雰囲気が日本の経済界にあることは危険な兆候である。

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