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2014年11月26日 (水)

消費増税見送りで財政再建の道は狭くなったという伊藤隆敏教授

 安倍内閣が消費増税を1年半延ばし、衆議院解散・総選挙に打って出た。それでは財政再建はどうなるのか、政策研究大学院大学の伊藤隆敏教授が26日、日本記者クラブの会見で語った。伊藤教授は去る11月4日、首相官邸で開かれた有識者会議で「来年10月に増税すべきだ」と述べたが、会見では、いまもその考えに変わりはないとし、その根拠を詳しく語った。
 伊藤教授の話で印象深かった発言内容を以下に紹介する。
①いまの暮らしでいいと思う人は多いが、いまの生活は年間40兆円余の国債発行に支えられている。即ち、後の世代に付け回しをして、身の丈以上の生活をしているのだから、切り下げが必要である。
②日本の潜在成長率は年1%あるかないかである。政府の経済見通しは2%だが、これを達成するのはかなり大変だ。年間40兆円の赤字を埋めるには社会保障費(年間30兆円)を半減し、他の歳出も減らすしかない。それらを踏まえ、消費税を10%にすべきだと考える。
③自然増収、歳出削減に加え、成長戦略法案が次々に通ったとしても、2020年にプライマリー・バランス(PB)はマイナスなので2019~2020年頃にもう一回、消費税を5%上げる(計15%に)必要がある。ここが財政再建のラストチャンスだ。
④今回の選挙で与党も野党も消費税引き上げ延期に反対しない。それが示すように、消費税の引き上げに賛成か反対かを聞くのはナンセンスだ。増税の話はパッケージで議論しないといけない。初めて提案するのだが、「逆景気弾力条項」を設けたらどうか。好景気が2~3四半期続いたら、自動的に消費税率を引き上げる(景気が悪化しても引き下げはしない)とか、平均余命の伸びるのに応じて社会保障の給付開始を遅らせるとか。また、後の世代から見て、給付が厚すぎるので、自動的に財政再建ができるようにする知恵が必要である。
⑤潜在成長率を上げることが財政再建の王道である。2%成長は人口減を考えると3%に相当する。3%成長を5年ぐらい続けるには、バブル時代に戻らないと。したがって、異次元の成長戦略をやってもらわないと、潜在成長率の大幅引き上げはむりだ。
⑥政治家は選挙で当選することしか考えない。したがって、財政再建は長期政権でなければ取り組まない。経済危機になってから増税するというのはだめだ。景気のいいときに上げるべきだ。
 記者クラブでは、会見の際に講師に記帳してもらう。伊藤教授は「最後の選択 狭い道」と記した。財政再建のための対策がきちんと行われなければ、2020年あたりで恐ろしいことが起こる、と同教授は言う。

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