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2014年12月23日 (火)

長時間労働を減らすには

 中国の上海市中には、中国人の守るべき価値観12項目が貼り出されているという。12項目とは、「富強、民主、文明、和諧、自由、平等、公正、法治、愛国、敬業、誠信、友善」。同じような漢字を使っているからといって、日本語と同じ意味だとは限らないが、なかなか興味深い。

 日本人としては民主、自由、平等、公正、法治などという言葉が、およそ民主国家と正反対の中国で唱えられているのには違和感を抱いてしまう。上海人も、この12項目の掲示には目もくれないらしい。スローガンは政治的なもので、庶民には関係ないということだろう。だが、個人的には、なぜ、この12項目を突然、掲げるようになったか知りたいところだ。権力闘争か何かが背景にあるのだろう。

 以上は前置き。厚生労働省が「今後の長時間労働対策について」を発表した。過労死等防止対策推進法が議員立法として成立したのを受けて、「長時間労働削減推進本部」を9月末に設置した。その下に、過労死を引き起こす長時間労働を減らすための「過重労働等撲滅チーム」、「働き方改革・休暇取得促進チーム」、「省内長時間労働削減推進チーム」を設けており、新たに来年1月、各都道府県労働局に「働き方改革推進本部」を新設する、という。

 この「働き方改革推進本部」では、都道府県労働局長や労働基準部長が地域の企業に対し、自主的に働き方を見直すよう働きかけることにしている。その際、地方自治体や労使団体などとも連携して、気運の醸成などにも努めるという。

 過労死を招くような長時間労働の削減は誰にとっても望ましい。だが、これまでろくに進まなかった。したがって、過労死等防止対策推進法の制定や厚労省の長時間労働削減推進本部の設置などが、単なるスローガンにとどまるおそれはなくはない。

 問題は、残業で稼ぐのが当たり前になっている現実をどうやって改めるかだろう。いまは労働組合自体が三六協定で長時間残業を肯定しているのである。答えの1つは、時間外労働賃金の割増率を50%以上とか休日100%へと高くすることではないか。そうなれば、経営側が時間外労働を減らそうとするだろう。そのためには、労働運動がもっと闘争に本腰を入れる必要がある。

 労働を終えてから次の就労までの間が少なくとも11時間は空いていなければならない、という法規制を設ける必要がある。このILO(国際労働機関)のルールを、日本国はいまだ法制化していない。政府は労使の主張を超えて、働く者を護ることに徹すべきではないか。

 厚労省は、都道府県の働き方改革推進本部の設置にあたって、仕事と生活の調和を図ることができる環境の整備だとか、地域の特性を生かした魅力ある就業の機会の創出などといったスローガンを掲げ、「地方創生」につなげる、と言っている。しかし、どうにも美辞麗句くさい。お役所仕事にとどまらないことを望む。

 

 

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